以下、完レポになりますで未プレイの方や、

ネタバレが嫌な方は即Uターンしてください。


また、あくまで私が選択したものであり、

結果を保証するものではありません。








選択肢は載せていません。










◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



信長「申してみよ」


信長様も真顔になり、父上の真剣な眼差しを受け止めている。


父上「後ろ手の縄を解いてくださらぬか。死ぬ前に一度だけ、両腕で娘を抱きしめたいのだ」
信長「・・・・・・」


死。という恐ろしい言葉に私は息を飲んだ。


「父上、死ぬとはどういうことなのです!?」
父上「わしは戦いに負けたのだ、祐美」
父上「それにわしはこの戦を一国の主としてではなく、親としての気持ちで挑んだ」
父上「神威家のために多くの家臣を死なせてしまった。わしは潔くここで果てようと思うのだ」
「・・・・・・っ」


その言葉に計り知れぬ父上の覚悟を垣間見て、胸が締め付けられた。
(私のためを思って下した父上の決断が・・・このような結末を招いてしまった・・・)


父上「負けたその運命がいかなるものかお前もよく知っているだろう」
父上「お前をもう一度抱きしめることができるならば、心に残すことはもうない」
信長「それは許さぬ。神威家は織田と血縁となり、ともに天下統一を果たすために働いてもらう」


きっぱりと言い切る信長様に、父上は目を見開く。


父上「天下統一ですと・・・!」
信長「そうだ。貴重な兵力を失うわけにはいかない」


頼もしげに口元に笑みを浮かべる信長様を、私は呆然と見つめていた。
(天下統一・・・。そのような果てしない夢に、この方は突き進まれようとしているのか・・・)


信長「神威家は織田家と今以上の強固な契りをぬ結び、天下に俺に力を知らしめる役割がある」
信長「父上殿にはまだまだ生きてもらわなくてはな」


父上の拳は震え、座を正すと地に頭がつくほどに平伏した。


「信長様・・・ありがとうございます!」
信長「行くぞ」
「え?」


突然、信長様は私の体を抱き上げ、まるで攫うように歩き出した。


「あ、あの・・・」
信長「神威殿、祐美とは後でゆっくり話す時間を与える。今は俺がもらっていくぞ」
父上「かしこまりました」


仕方がないといった様子で父上はうなずいている。
そして信長様は当然のように私ごと馬に乗り上げた。



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



戦の傷跡の残る合戦場を走り抜け、信長様はどこかを目指している。


「信長様、一体どこへ・・・」


私を腕の中に抱き込んだまま馬を走らせる信長様の顔を見上げた。


信長「二人きりになれる場所だ。もう、邪魔はいらぬ」


その声には焦れた色がにじんでいた。
(私も・・・信長様と二人で、話しがしたい・・・)
馬から振り落とされぬよう、私は信長様の胸元にぎゅっと掴まった。






森の中を通り過ぎると、急に視界が開け、澄み渡る青空と、眼下に広がる景色が見えた。
緩やかな風が頬を撫でながら、通り過ぎていく。
(なんて見事な景色・・・)


信長「下りるぞ。俺に掴まれ」


腕を広げて待つ信長様に広い胸に、私は飛び込んでいった。


信長「ここなら邪魔も入らず、祐美を二人だけでゆっくりと過ごせるだろう」


私を抱いたまま、信長様が丘の上を歩いていく。
そして、見晴らしの良い場所で立ち止まると、わたしをそっと地面に下ろした。


「見事な景色ですね・・・。ここから、合戦上も見える」
信長「ああ。こうしていると、地上に見えるすべてを手に入れたような錯覚に陥る」

「そう思うのは信長様だけではないでしょうか?」
信長「ふっ・・・そうかもしれぬな」


目を伏せて微笑むと、信長様は私の体を引き寄せ、その場に座り込んだ。
その胸の中に囚われ、身動きがとれず困惑する。


信長「俺は、すべてを手に入れたいのかもしれない」
「すべてを・・・?」
信長「ああ。そうしてお前をこの腕の中に捕らえ・・・それでも飽き足らず、この国すべてを欲してしまう」


(この国、すべてを・・・? それはつまり、天下を・・・)
父上に語って聞かせた、天下統一の話を思い出す。
(しかし、信長様にならそれすら可能なのかもしれない・・・)
(この方は、二万五千の兵相手に、たった二千で挑み、勝利を掴んだのだ)
勇猛で恐れを知らぬ信長様になら、いつか天下を取ることも夢ではないのかもしれない。
信長様が見つめる景色を、私もその腕の中から静かに眺めていた。
(この方のそばで、こうしてずっと、同じ景色を眺めていきたい・・・)
そんなことをぼんやり考えていると、ふと、信長様の腕に切り傷があることに気がつく。


「信長様・・・! 怪我をなさっているではありませんか」


あわてて私は自身の襦袢の裾を破くと、信長様の手首を取った。


「化膿しては大変です。応急処置ではありますが・・・」


傷口に布を巻き付ける様子を、信長様が黙って見つめている。


「痛みましたか?」
信長「いや、お前の手際の良さに感心していたのだ」


見上げると信長様は愛しげに私に笑いかけ、なおも強く抱きしめてきた。


信長「惚れ直したぞ。祐美、お前は俺にとって最高のいいなずけだ
「信長様・・・」


(それは、私も同じ気持ちです・・・)
気恥ずかしくて言葉に出来ずにいると、信長様の手が頬に触れる。
そのまま、しばし無言で見つめ合う。
(こうして見つめ合っているだけで・・・、胸の中がいっぱいになる・・・)
いつになったらこの胸の騒がしさは、収まってくれるのだろうか。
もしかしたら、一生このまま、信長様に対して胸を高鳴らせ続けるのかもしれない。


信長「祐美・・・、お前を離さない。一生俺のそばにいろ
「はい・・・」
信長「・・・愛している


荒々しく重ねられた唇から伝わる信長様の吐息に、私の唇も熱を帯びていく。


「のぶ・・・な・・・・・・さ・・・」


愛しい人の名前を呼ぼうとすると、すぐにより深く重ねられる唇にさまたげられる。
その激しくも愛しさに溢れた口付けに、私は目を閉じた。
(この口付けこそが、信長様の気性を表している気がする・・・)
強引で、身勝手に振舞って、私を翻弄する。
けれど私は、それを嫌だと思うどころか惹かれてしまうのだ。


吐息を乱す唇が離れると、私は信長様を見上げ、微笑んだ。


「いつかのように、私を逃がさぬと言ってください」


強気にそう言ってみせると、信長様は笑顔になった。


信長「ああ、わかった」
信長「お前が逃げようとしても、俺は逃がさぬ。・・・一生逃がさぬ
「はい」


(これからはもう、人質でも、敵でもない)
私にとって信長様は特別なお方で、信長様にとってもきっと・・・。
(信長様を拒んできたけれど、今は信長様にこんなにも惹かれ、そばにいたいと思う)
(私は信長様のそばから離れません)
(信長様の目指す先までずっと、ついていきます)
私たちは口付けを交わしながら、寄り添い合い、飽きるまで丘の上から景色を眺めていた。






                ラブラブ織田信長 HAPPY ENDラブラブ















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