以下、完レポになりますで未プレイの方や、
ネタバレが嫌な方は即Uターンしてください。
また、あくまで私が選択したものであり、
結果を保証するものではありません。
選択肢は載せていません。
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私たちは近くにある茶屋へと入り、店の奥の席へと座った。
秀吉「それで、大切な話とは?」
家康「一刻も早く信長様の耳に入れていただきたいのです。今川が、織田を狙っている・・・と」
秀吉「今川が!?とうとう動き出したのか・・・」
(今川・・・?確か、信長様とは敵対している大名の名前・・・かんりの勢力だと聞いている)
(その今川が織田を狙っている・・・それはつまり戦がおきるかもしれないということ・・・?)
(信長様は優れて武将だけれども・・・もし戦となれば無事ですむとは限らない・・・)
家康「ええ。今川はこの地へ攻め入る機会を虎視眈々と狙っています」
秀吉「まさか、あの刺客も・・・」
呟く秀吉様に、家康様がうなずきを返す。
家康「刺客が送り込まれたという話も存じております。・・・そこにりう祐美様が狙われたということも」
家康「信長様の寵愛を受けている祐美様を手中に収めようと、浅はかに考えたようです」
「っ・・・!」
哀れむように、家康様は私をじっと見つめた。
私は、家康様の目を見つけ返し尋ねる。
「そのようなことを私たちに伝えて、あなたは大丈夫なのですか・・・?」
(先ほど秀吉様は家康様のことを今川の人質だと言っていた。身の危険はないのだろうか・・・)
家康「刺客を放ち、祐美様を攫おうとした今川のやり方が許せないのです」
秀吉「確かに、手口が汚すぎる。祐美様を狙うだなんて許し難い」
家康「どうしても、それを伝えたかったのです。今後の動向に気を付けてください」
秀吉「ああ、危険を冒してまで伝えてくれたことに感謝する。すぐ城へ戻らなければ・・・」
家康「ご武運をお祈りします。それでは、私も失礼いたします」
秀吉様は慌しく立ち上がり、茶屋を出ようとする。
「待ってください。家康様はこの後、どうなさるのですか?」
このまま家康様とわかれるのは気がかりで、問いかけた。
家康「私の身を案じてくださっているのですね。ありがとうございます」
振り返った家康様が淡く微笑む。
家康「私は今川へ戻ります。次に会うときは・・・敵かもしれませんね」
そうして家康様は背を向けて、歩き出し、茶屋を出て行ってしまった。
(優しそうな方だった・・・だけど。その裏には何か得体の知れない表情を隠し持っていそうな・・・)
秀吉「とにかく、城へ戻りましょう。祐美様!」
家康様が去った方を見つめていると、秀吉様に急かされた。
私は秀吉様と共に城へ急いだ。
家康様と別れ、私たちは息を切らし、城へと戻ってきた。
「秀吉様、信長様はどちらに?」
乱れた息を整えながら、先を走る秀吉様に尋ねた。
秀吉「殿はただいま軍議中のはずです。広間に向かいましょう!」
「はい」
秀吉「殿!殿!大変でございます!」
信長「どうした。サル、騒々しいぞ」
信長様は広間に飛び込んだ秀吉様と、その後ろにいる私をちらりと一瞥した。
秀吉「祐美様を襲ったのは今川の刺客です!」
秀吉「今川はこの地へ攻め入ろうと、躍起になっているのです!」
信長「祐美を襲ったのが、今川だと・・・?」
みるみるうちに信長様の顔つきが険しくなり、怒りが溢れ出す。
信長「よりにもよって祐美に手を出そうとするとは、命が惜しくないようだな」
秀吉「まことに許し難きことです。殿、今川の動向、このサルが探って参ります」
信長「探る?そんな時間は割いてやる必要はない」
獰猛な眼差しで宙をにらみ、信長様は不敵に笑った。その表情に背筋が凍る。
(恐ろしい方だ・・・だけど、どうしてだろう、私はこの方から目を離すことができない)
信長「命知らずな今川に、身の程を思い知らせてやる。今川との戦は近い。皆の者、準備をしておけ!」
秀吉「はっ!」
声を張り上げる信長様に、家臣の面々が答え、平伏した。
(戦・・・?戦が起きる・・・?)
恐ろしい予感に、私の背筋が冷たくなる。
(今川が私を狙おうとしたから・・・?もしそうだとしたら、戦なんてやめて欲しい)
(けれど、やめてもらうにはどうした・・・)
(信長様を止めなければ・・・)
そう思い、私は信長様に駆け寄った。
「信長様、戦なんてやめて下さい」
信長「なぜだ。今川はお前を傷つけようとし、俺の国を狙っている。戦わぬわけにはいかなだろう」
「ですが・・・、戦なんて、危険です・・・」
信長「俺を案じているのか?だが心配はいらぬ」
不敵に微笑み、信長様は私の頭をそっと撫でた。
信長「お前のために勝利すると約束しよう」
「信長様、今川は信長様をけしかけようとしているだけなのです。それで私を狙って・・・」
何とか戦を止めようと、私は必死で言葉を探した。
「私が信長様の寵愛を受けているなど、真実ではありません。私はただの人質です」
「ただの人質が攫われそうになっただけなのに、戦をするのですか?」
そこまで一気に訴えると、信長様は私に近づき、肩に触れてきた。
見上げると、険しい瞳がじっと見据えている。
信長「お前のために戦をするわけではない」
その一言が、胸に突き刺さった。
(・・・何を思い上がっていたのだろう・・・)
(人質の私のために戦をするはずなんてない、それが真実だ・・・それなのに・・・ばかげたことを口走って・・・)
己が恥ずかしくなり、信長様の視線から逃れるように顔をうつむけた。
信長「だが、お前の言葉をひとつだけ訂正しておく」
うつむく私の顎を捕らえ、信長様強引に上へと向かせた。
視線と視線がぶつかり、目がそらせなくなる。
信長「よく聞け。もはや、お前はただの人質ではない」
信長「祐美・・・お前は、俺にとって大切な存在だ」
そこまで言うと、信長様はきつく私の体を抱きしめた。(人質ではなく・・・大切な存在・・・?)
ずっと、胸の中でくすぶっていたわだかまりが解けて消えていく。
大切な存在ーー
その一言が、私の胸を騒がせていた正体へと結びつけた。
(ああ・・・そう・・・。私がこんなにも落ち着かなく、胸を締め付けられていたのも・・・同じだ・・・)
(私も・・・信長様を愛しいと思っている・・・)
ようやく自覚した気持ちに、私は自らのぶなが様の背に腕を回し、強く抱きしめ返していた。
信長様の思いに応えるように・・・。
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信長11日目①に続きます→
