以下、完レポになりますで未プレイの方や、
ネタバレが嫌な方は即Uターンしてください。
また、あくまで私が選択したものであり、
結果を保証するものではありません。
選択肢は載せていません。
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???「思い出して・・・祐美、私は・・・あなたの・・・」
(私の・・・?)
彼がそう言いかけた時、襖が大きく開いた。
(信長様・・・!)
はっとして見ると、信長様が不思議そうな表情で立っている。
信長「話し声がしたようだが、誰かいたのか?」
(え・・・?)
視線を戻すと、さきほどまで青年がいた場所には誰もおらず、部屋の中には私と信長様以外に人の姿はない。
(いなくなった・・・? 夢だったのだろうか・・・)
「・・・いいえ、誰も」
夢とうつつの境目で呆然としながら、信長様に答える。
信長「・・・そうか。 まあ良い」
信長様は釈然としない様子だったか、部屋の中へ入ると私のぞばに腰を下ろした。
信長「新しい水を用意してきた。飲めるか?」
「・・・ありがとうございます」
信長「熱のせいか、やけに素直だな」
上半身を起こす私の背を、信長様がそっと支えてくれる。
信長「ゆっくりと飲め」
私の唇に水差しを近づけ、優しく慎重に水を飲ませてくれる。
(美味しい・・・)
熱を帯びていた口の中が、冷えた水のおかげですっきりとした。
信長「元気になるまで、俺が祐美のそばにいてやる」
私を見つめる信長様の眼差しは温かく、その低い声は優しく胸に沁みこんできた。
(・・・この言葉に、偽りはないように思える)
私が人質であることは事実だけれど、今は、信長様のこの眼差しと言葉を素直に信じたかった。
一通り水を飲み終えると、私はまた褥に横になる。
信長「水のほかにほしい物はあるか?」
「・・・いいえ。 食欲はありませんから」
信長「そうか。 水差しはここに置いておく。 欲しくなったらすぐに言え」
信長様は書物を持ち込んできたらしく、ひざの上に置いてめくり始めた。
その様子を見つめていると、不意に視線がぶつかる。
信長「どうかしたか?」
「いえ・・・。ただ、驚いて・・・」
信長「俺はお前が心配なのだ。信じられぬか?」
(私が、心配で・・・)
偽りのない信長様の瞳を見つめながら、私は小さくかぶりを振った。
(この方を・・・信じてみよう・・・)
自然に笑みがこぼれていたらしく、愛しげな眼差しで、信長様は私の髪に触れる。
信長「お前の笑みが見れて嬉しいが、今は無理をせずよく眠って、早く元気になれ」
「お前は元気なほうが良い」
そっと髪を撫でられた瞬間ーー。
(この感触・・・さっきも・・・)
夢の中で、美しい青年に髪を撫でられた感触を思い出した。
(あれは本当に夢だったのだろうか・・・)
信長「どうした?」
「あ・・・いいえ・・・」
ふいに浮かんだ面影を振り払うように、私は目を閉じた。
信長「・・・安心して休め」
低く優しい信長様の声を聞きながら、私はまたまどろみの中へと落ちていった。
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ガタッ・・・
「ん・・・?」
物音がしたような気がして、目が覚めた。
(気のせいかもしれないけれど・・・)
なぜか妙な気配を感じて、私は暗い部屋の中、目を凝らした。
その時ーー。
「んんっ!」
誰かが突然私の口元を押さえ、体の上にのしかかってきた。
(誰!?)
???「大人しく、ついて来い」
(私を連れ去ろうとしている・・・?)
「んーーっ!」
もがきながら必死に声を出そうとする。
???「声を出すな。来い!」
視界の隅に、月明かりを反射させる刀の刃が見えた。
(下手に逆らえば、何をされるかわからない。大人なしく従うしかないのだろうか・・・)
あきらめたかけたそのときーー
信長「何をしている・・・貴様!」
隣の部屋から飛び込んできた信長様が、刀を鞘から引き抜き、私を襲う人影に斬りかかる。
???「うっ・・・」
背後からの束縛が消え、どさりと床に倒れる音がした。
信長「祐美、大丈夫か!」
駆け寄ってきた信長様が私の体を強く抱きしめる。
思わず、私は信長様にしがみついていた。
信長「もう大丈夫だ。怖い思いをしただろう・・・」
ぎゅっと私を抱きしめながら、信長様はあやすように優しく背を撫でさすってくれる。
信長「お前が無事でよかった・・・。心臓が凍りつく思いというものを、初めて味わったぞ」
「信長様・・・」
信長様の気持ちに、私の胸は熱くなった。
信長「お前に手出しをした者を俺は決して許さぬ」
憎悪を抑えきれないらしく、信長様は恐ろしい形相をしていた。
「あの・・・助けてくれて、ありがとうございました」
素直に礼を口にすると、信長様は険しかった眼差しを和らげた。
信長「ああ・・・。お前には嫌なものをみせたな」
信長様は私から離れると、手にしたままだった刀を鞘にしまう。
秀吉「殿! 何事ですか!」
直後、秀吉様をはじめ家臣たちが慌しく部屋へとやって来た。
秀吉「これは・・・」
部屋の中の惨状を見て、秀吉様たちの顔色が変わる。
信長「祐美が狙われた。連れ去るつもりだったようだ」
「サル、ただちにこの部屋を片付け、誰がはなった刺客なのか探れ」
秀吉「祐美さまが!?た、ただちに!祐美様は別のお部屋へ・・・」
慌てふためく秀吉様を前に、信長様はふわりと私の体を抱き上げた。
「な、何を・・・」
信長様は真剣な眼差しを向け、私抱く腕にぎゅっと力をこめる。
(信長様の心臓の音が聞こえる・・・離れなきゃと思うのに・・・なんだか心地いい・・・)
信長「俺の部屋へ連れて行く」
(信長様の部屋に・・・!?)
あらがおうとするものの、熱のせいで体には全く力が入らない。
信長「お前を一人にするべきではなかった。片時もそばから離してはならぬと、今わかった」
(まさか・・・信長様の部屋で一夜をともに過ごさせるおつもりなのだろうか・・・?)
信長様の腕の中で、私は呆然とその言葉を聞いていた。
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信長9日目①に続きます→
