以下、完レポになりますで未プレイの方や、

ネタバレが嫌な方は即Uターンしてください。


また、あくまで私が選択したものであり、

結果を保証するものではありません。








選択肢は載せていません。










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(眠っている今なら・・・逃げ出せるかもしれない)

仰向けになり、信長様は気持ち良さそうに眠っている。

(目を覚まさないうちに・・・)

気配を殺しながら、ゆっくり立ち上がる。

(馬に乗って駆けてしまえば、信長様に追いつかれる心配もない)

つながれている馬の鼻面をそっと撫でてみると、人なつこくすり寄ってきた。

(大人しい子だ。これなら私にもきっと従ってくれるはず)

手綱に手をかけ、静かに鞍の上へ乗る。

しかしその瞬間--。


ヒヒィーーンッ!!


「あ・・・っ」


私が背に乗った瞬間、馬は激しく暴れはじめた。

(急にどうしたというの!?あんなに大人しかったのに・・・!)


「どうどう!」


なだめようとするが、荒ぶった馬は輪足を力任せに振り落とそうとする。

(落ちる・・・!)


信長「何をやっている!」


信長様の怒声が聞こえるのと同時に、私の体が空中に放り出された。


「・・・・・・!!」


目の前の世界がぐるりと回り、体が宙へと舞う。次に来る衝撃を覚悟し、私は目を閉じた・


信長「く・・・っ!」


「・・・っ」


しかし、恐れていた痛みは感じられない。

(え・・・?)

恐る恐る目を開けてみると、すぐ間近に信長様の顔が見えた。


「・・・!」


信長「手を焼かせるな」


(私・・・信長様の腕の中にいる)

信長様に抱き留められ、二人で地面に倒れ込んだのだと知る。

(私を助けてくれた・・・?)


信長「無謀な女だ。死にたいのか?」


「離して下さい!」


はっとして離れようとするが、覆い被さって来た信長様が、私を地面に縫い止めるように押さえつける。


「痛・・・っ」


両腕を掴まれ、身動きを封じられた私は必死に体をよじった。

(なんて強い力・・・。腕が外せない)


信長「ずいぶん必死だな」


信長様は余裕のある笑みを浮かべている。

(面白がっている・・・悔しい・・・)

私は唇を噛み、まっすぐに信長様をにらむ。


信長「どうした?男の振りをしていたくせに、俺を退けることすら出来ぬのか?」


(私を挑発して・・・)

(離してくれないのなら・・・!)

私は思いっきり信長様の頬を張ろうとした。


信長「おっと・・・、凶暴だな」


しかし造作もなく受け止められてしまう。


信長「だが、それぐらい活きが良くなければな」


信長様は愉快そうに笑っていた。


信長「どうだ?女のお前はこんなにも弱い存在だ」


力の差を見せつけるように、信長様はいたずらに押さえつける力を強めてみせる。


信長「その弱さを認めずあらがおうとするその姿、見ていて実に愉快だな」


(人をもてあそんで・・・意地が悪い・・・)


信長「不満そうな目をしているな・・・」


顔を近づけ、信長様は私の耳元で低く囁いた。

吐息が耳をくすぐり、無意識に体がびくりと震える。

それを見て、信長様がまた低く笑った。


信長「どうした?おびえているのか?」


「おびえてなどいません」


試すような目をする信長様に即座に反論する。


信長「ふっ、それでこそ俺のいいなずけに相応しい女だ」


(なんて傲慢な方なんだろう・・・)

眉を寄せて見上げる私の上から信長様が退く。

しかし、ほっと安堵したのも束の間、膝裏に手を差し込まれ、体を抱き起こされた。


「あ・・・っ、何を」


突然抱き上げられ、私は反射的に信長様の首に腕を回し、しがみついてしまった。

(動揺したとはいえ、恥ずかしい・・・)

慌てて腕を離そうとすると、信長様にそれを止められる。


信長「掴まっていろ。馬に乗せるぞ」


そのまま馬に乗せられてしまい、私は黙り込んだ。


信長「帰るぞ。お前の城へな」


「・・・・・・」


口惜しさと恥ずかしさ・・・様々な感情が乱れ、私は信長様の顔を見ることができなかった。


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馬に揺られ、信長様の城にだんだんと近づくと、改めて心に強い口惜しさがわきあがる。

(折角の逃げられる機会を逃してしまった)

(しかも逃げるのに失敗した上に、信長様に助けられてしまうなんて大失態だ・・・)

うちしずむ気持ちで手をぎゅっと握りしめると、かすかな痛みが走る。

見ると、手のひらに擦ったような跡が残っていた。

(馬から落ちるときに掴んでいた手綱の跡・・・)

(あのまま馬から落ちていたら、こんな怪我ではすまなかったはずだ)

(信長様が抱き留めてくれたから、手をすりむく程度で済んだのだ)


信長「どこか痛むのか?」


「・・・いえ」


いらぬ弱みを見せるのは悔しい気持ちがして、私は言葉を濁した。


信長「痛むところがあるのなら素直に言うことだ。さあ、着いたぞ」


信長様はひらりと馬から下りると、私のほうへ手を伸ばす。


「! 一人で下りられます」


信長「いいから掴まれ」


差し出された手を、いつまでも取ろうとしない私を、信長様が強引に引き寄せた。


「なっ・・・!」


傾いた体は、そのまま抱かれるように馬から下ろされ、たくましい腕に包まれる。


信長「このまま部屋まで連れて行く。一人で歩かせると、また逃げ出すかもしれないからな」


にやりと、信長様はからからうように唇をゆがめた。

(本当にこのまま部屋まで連れて行くつもりのようだ・・・)

私を腕に抱いたまま廊下を進んでいく信長様は、堂々としている。

しかし、私はあまりの恥ずかしさに居たたまれず、顔を上げることすら出来ずにいた。



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信長4日目②に続きます→