以下、完レポになりますで未プレイの方や、
ネタバレが嫌な方は即Uターンしてください。
また、あくまで私が選択したものであり、
結果を保証するものではありません。
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澄んだ青空に惹かれるように、私は木刀を抱えて外へ出た。
「和尚様、少し稽古をしに出かけて参ります」
声をかけると、和尚様はほきを動かす手を止め、微笑んでうなずく。
円戒和尚「気をつけるのだぞ。暗くなるまでには必ず帰ってきなさい」
「はい!」
綺麗な景色を見渡せる丘。
お寺からすぐ近くにあるこの場所は、私のお気に入りだった。
「よし、頑張ろう」
寺に来て、学問や武芸を和尚様が教えてくださるようになってから、私は剣術にのめり込んでいた。
和尚様の稽古がない時でも、こうして一人で稽古をするのが日課となっている。
稽古を積めば積むほど成果が出るような気がして、純粋に楽しかったのだ。
(昨日読んだ指南書を持ってくればよかった・・・)
内容を思い出しながら、姿勢を正し、構える。
「えいっ!」
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無心で木刀を振り続けていると、額から汗が伝い落ちた。
(少し休憩をしよう)
ざあっと音を立て、風が私の横を通り抜ける。
「--・・・っ!」
ふと、振り返ったそこに、見知らぬ少年が立っていた。
(誰!?)
咄嗟に木刀を構え、私は彼をにらんだ。
「そこで何をしている」
少年 「何って、別に」
私が強くにらんでいるにも関わらず、少年は怯むことなく、涼しげなただずまいを崩さない。
(身なりがとても良い・・・。この辺りの者ではなさそうだけれど・・・)
少年 「それよりお前、結構強そうだな」
少年はゆっくり歩いてくると、私の少し前で立ち止まり、脇に差した刀の柄に手をかけた。
少年 「勝負をしないか?」
「え?」
少年 「退屈していたんだ。俺の相手をしろ」
命じることに慣れているかのような物言いだった。
(随分と自信がありそうだけど、私だって剣術の稽古を頑張っているんだ。毎日稽古を
しているのだから、たとえ男の子が相手でも引けはとらないはず)
「・・・わかった」
しばらく考えてから、私は少年にうなずいた。
少年 「木刀相手だ。鞘から抜かずにいく」
初めての勝負だと思うと、緊張と興奮で胸の鼓動が早まる。
(絶対勝ってみせる!)
(それに、稽古の成果を出す良い機会だ)
少年 「お前から、かかってこい」
余裕を見せる少年の声を合図に、私は構えた木刀を振り上げ、前に飛び出した。
ガッ--!
木刀と刀の鞘がぶつかる音が響く。腕に、じんとしたしびれが走った。
少年 「思っていたよりも良い太刀筋だ」
私の渾身の一撃を受け止めながら、少年は余裕を見せた微笑を浮かべている。
少年 「今度はこっちから行く」
攻めに転じる少年の攻撃に備え、後ろへ退く。
追いかけるかのように、少年が鋭い一撃を放った。
まるで疾風のように速く、筋の美しい一太刀だった。
「く・・・っ」
なんとか受け止めた。けれども、あまりに重たい衝撃が二の腕に伝わる。
(負けていられない!)
すかさず私は反撃に出た。立て続けに太刀を浴びせると、少年も攻撃を続けてくる。
必死で太刀を受け止めると、少年の顔が間近に迫っていた。
少年 「俺とやりあえる奴に初めて会った」
(そうは言われても・・・私は受け止めるが精一杯だ・・・)
少年は楽しそうに、余裕をのぞかせている。
(悔しい・・・負けたくない・・・!)
きっと前を見据え、私は再び少年に向かっていった。
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長くなったので③に続きます→