こんにちは!

 

さて、今回はとっても貴重な体験をしたお話です。

 

なんと、ついに、感染症対策の司令塔とも言われる「米国疾病予防管理センター(CDC)」に現地訪問させていただきました!!

 

真相は分かりませんが現地のご担当者曰く、国外(アメリカ以外)から民間企業の人間が訪問することは初めてだそうな。。

 

こんなに貴重な経験をさせていただいたご縁に本当に感謝しています笑い泣き

 

普段から僕がお伝えしているコンサル内容はまさに「CDCガイドラインが中核」と言えるほど参考にさせてもらっています。

多分この先二度とないチャンス。買い物をするのがやっとの英語力でも話せるよう事前に質問集とか作ってみたり、毎日YouTubeの英会話聞いてみたり、などなど自分なりに勉強してきました。が、本番では通訳の方がしっかり説明していただいたので英検4級の僕でもしっかりとその内容を把握することができましたニコニコ

 

余計な話はさておき、受講したレクチャー内容を早くお伝えしたいので本題に入りますね。

 

 

 

  CDCの体制と役割

 

まずCDCの体制はこのようになっています。

 

本部:ジョージア州アトランタ

支部:ワシントンD.C.、コラロド州、ペンシルベニア州、他世界約60カ国

創設:1946年

職種:感染専門医、薬剤師、感染症対策看護師、臨床検査技師、臨床工学士、滅菌技師、生化学者、遺伝子学者、病理学者、法医学者、疫学者、統計学者、官僚、他

ちなみに今回僕たちのチームが訪問したのは「ワシントンD.C.支部」です。

 

主な役割としては、

・疫病に対する様々なデータの統計、検査、分析等によりエビデンスとしての情報発信

・国内外における人々の健康と安全の保護を主導する立場にある連邦機関であり、米国保健福祉省の下部機関

・疾病の予防と管理に関する活動、環境衛生に関する活動、さらに健康増進および教育活動

など米国民の感染防止対策や健康増進を目的とした各種活動の開発と実施を行っており、国の最前線の防御として24時間365日体制で対応しているそうです。

COVID-19のパンデミックでは、流行当初より複数の臨床検査の開発や州および地方の公衆衛生研究所のサポートによって検査の能力の向上を行い、そこで得たデータにより世界的にもCOVID-19の対応を先導したことは報道でも広く知られているかと思います。

 

 

 

 

  次のパンデミックに向けて

 

COVID-19に匹敵するような世界的パンデミック再来は今後も懸念しているとのこと。しかしながら現時点でCDCからアメリカ国内や他国への指導権限は持っていません。

よって検査データの情報共有や公共保健プログラム、各ガイドラインをいかにアナウンスしていくのかが重要となり、そのために現在60か国にあるカントリーオフィス(支部)との連携強化を今後も強化していくことが課題としていました。

 

また、2020年以降のパンデミックにおいて日本の「3密対策」や「政府と保健所の連携」は感染防止におけるモデルケースとして参考にしていたと知り、個人的にとても嬉しかったです。やはり日本の衛生管理は世界的にも注目されていたんですね。

 

ちなみに先日の報道にもありましたが、バイデン大統領は日米首脳会談後の共同記者会見で、年内にも「CDCの日本事務所」を新設して今後のパンデミックに対して日米の連携を深めていくと表明していました。

 

今後日本でも感染防止対策がより発展することに期待したいです。

 

 

 

  医療環境への感染防止対策

 

さて、ここからは僕からの質問に対して回答いただいた内容になります。やはり医療環境コンサルタントとしては「環境面の感染防止対策」をCDCがどう捉えているのか、が非常に気になる領域です。

 

まず結論から言うと、医療環境における感染防止対策で最も重要なことは「検査:評価:教育のサイクルを回すこと」だそうです。

 

病原体は当然目に見えないので、どこまでキレイにすればいいのかは環境衛生上とても難しい問題です。

だからこそ環境表面の汚染レベルを定期的に検査⇒それを専門的に評価⇒スタッフへの教育に繋げることが基本であり、これを繰り返すことが最重要であるということでした。

 

ちなみに帰国後、実際に行う環境表面の検査を想定しましたが、外来や病棟など多くの一般清潔区域では浮遊細菌測定器やフードスタンプ培地など比較的費用のかかる検査でなく、ATP検査や紫外線照射による見えない汚れの確認でも日常的な衛生管理においては十分な評価と改善指導に繋がるというのが個人的な意見です。

※この件については感染管理認定看護師の方や検査を専門とする企業様と現在検証中です。

 

 

それと、医療施設では清浄度区域毎の作業方法や使用する環境薬剤をしっかりと分析することも同様に重要だとされていました。

病院の中でもウイルスや細菌の生息状況は場所によって当然大きく異なります。しかし僕の知る限りではその区域毎に清掃や消毒をトレーニングされたスタッフはまだまだ少ないです。この部分についても今後の課題として広く情報共有しながら取り組みたいと感じます。

 

 

 

 

 

まとめ

 

CDC訪問の概要、いかがでしたでしょうか?諸々の不足でご理解しにくいようでしたら申し訳ありませんあせる

まだまだ細かくお伝えしたいことは沢山あるのですが、僕自身も内容をもう一度しっかり分析しながら今後に反映させていければと思います。

 

一見理想論にも感じる内容もあったかもしれませんが、間違いなく医療施設の感染防止対策に求められることでもあると思います。

ただし、これ実現させていくための経費や管理体制も含めて大きな改善が必要になることも事実です。これからの仕事の課題にしてまた奮闘していきます!

 

今回レクチャーを先導していただいた現地ご担当者の方々(氏名は伏せます)と同行チームの皆さんに改めて感謝します。

 

 

次回はアメリカの病院が行う環境サービス(清掃・消毒業務)のあり方について更新する予定ですので興味のある方はぜひご覧くださいニコニコ

 

 

 

こんにちは!

 

 

 

今日は知り合いのクリニック開業医さんが久々のお休みとのことでランチご一緒させてもらったんですが、仕事のタイムスケジュール聞いてると激務すぎて目眩がしましたよ。

 

 

とにかく時間がない。朝も昼も夜も。ダメ押しだったのが、「これでも(急性期)病院の勤務医時代よりは大っ分ホワイトですよ〜あはは。」

 

 

 

 

 

 

 

いや、ホントにこ○す気ですか?

 

 

僕も社会人3年目くらいまでは相当なブラック勤務でしたが、あの頃が優しく思えて仕方ないですが。ランチの四川麻婆がもう全然辛く感じなくなってきてるんですが。

 

 

そりゃ来年から医師の働き方改革にもなる訳ですよ。

 

 

 

ということにドン引きしつつ、お話はクリニックの環境整備について。

 

コロナ禍から患者さん達も明らかに「清潔」なことへのニーズが高まっているとのこと。

 

5類に移行したとはいえ、確かに感染力が弱まったわけではないので普通に発熱患者さんも増えてる。

 

こちらの先生曰く、「最近は衛生への取り組みを上手く宣伝して集患に繋げているクリニックも多い。だけど私含めて看護師や事務員さんも、環境の消毒をどうやればいいのかまでは正直良く知らないんですよ、道具の準備やコストや効率性も含めてね」

 

仰る通り、病院では清掃や消毒などのいわゆる「環境サービス」は委託会社が担当しているところがほとんど。だけどクリニックなどの診療所でこれらを委託している所は多くないはず。

 

であれば自分たちで毎日忙しい中でこうした環境整備にも追われているのでしょう。。

 

 

さらに消毒剤や道具なども、ホームセンターなどで買える市販品は業務用と比べると耐久性も低いし、何よりランニングコストでみたら高く付く場合が多い。

 

かといって業務用を仕入れると初期費用がばかにならない。

 

診療所経営も難易度高いです。。

 

 

 

 

で、〆の杏仁豆腐で思い出したのが、先日の衛生製品を取り扱ってるメーカーさんと商談した時の話。

 

結論的には、業務用のそのまま使える消毒製品や清掃用具を、医療施設が(医療関連サービスの)業界卸値で購入できるルートを広められないかというプラン。

 

元々は自分たちで清掃していた検査施設の方の要望を受けて開発検討していたんですが、考えてみれば診療所や調剤薬局にも同じ課題があるんですよね。

 

ちなみに、業界卸値というのは定価の50〜70%

 

 

正直ボランティアに近いサービスなので、相当にスキームしないと代理店さんにも迷惑かかってしまうためそこは慎重に。

 

まぁ時間は少しかかるかもしれませんがやってみる価値はありそうですね。

 

 

 

 

 

あと、僕が推奨したい製品の中にはEPA(アメリカ環境保護庁)で消毒効果の認証を受けている製品もたくさんあるので、見せ方によっては患者さんへクリニックの衛生管理をアピールするにも繋がるかもしれない。※こちらのサイトがわかりやすいかもです↓↓

 

 

 

 

 

 

ということで花椒と唐辛子にお腹を下しながらこのブログを書いている訳ですが、こうやって何気ないことが医療施設のコストや生産性に繋がることもまだまだ沢山ありそうだなぁと感じた1日でした。

 

 

 

 

 

 

こんにちは!

 

今日、都内の医療法人さまからこんなご相談をいただきました。

 

「いやぁ、今の清掃会社から値上げ交渉を受けてるんですけど、何とかなりませんか〜?」

(そんな「ドラ○も〜ん」みたいに、とかちょっと思いながら)「とりあえず仕様書と契約の金額を見せていただけますか?」と言って見せてもらった内容にかなり驚きました。

 

僕は前身で総合ビルメンテナンス業のマネジメント管理を15年近く担当していたのでコスト管理や人員管理はかなり詳しい方です。

 

そんな僕からするとこの仕様書は残念ながら全くムダだらけとしか言えませんでした。

 

率直に「え、この業務の提案はホントに専門会社から受けました?」という印象。

床のコーティングを年に何回も契約したり、この梅雨時期にガラスクリーニングを計画されてたり。さらに病院にとって必要な高頻度接触面の消毒などはほぼ皆無なうえ、コロナ渦での業務協力も得られなかったそうです。。

 

挙げ句の果てに「どうも仕様通り作業履行されているか怪しい&(委託)本社や営業所の人が来てスタッフ教育とか見たことない」とのことガーン

 

ビルメンテナンス業界も厚生労働省から値上げを推奨されるくらいなので、厳しい経営状況なのはわかります。

 

でも、病院はもっと厳しい状況だと思うんです。

※過去のブログ↓

 

 

 

そんな医療業界に良いサービスを適正な価格で提供する努力を怠ったら委託する意味ありますか?と正直思ってしまいます。

 

 

今、持ち帰った病院の委託仕様書を練り直しながらこの記事を書いています。

 

一つ言えることは、僕は近い将来、「環境部門で病院のコストと品質を両立させるサービスを確立させようと決意しました」というお話でした。

 

考えてたらお腹空いたのでめっちゃ辛くしたカレー食べますカレー

 

 

こんにちは!

 

今日、6月11日は「傘の日」だそうです。全国的に梅雨入りになってきましたね雨

ジメジメとした湿気と気圧の変化で偏頭痛持ちの僕はしんどい季節です。。

 

そんな梅雨時期から気をつけたい感染細菌として、今日は「レジオネラ感染症」を記事にしたいと思います。

 

レジオネラ感染症で記憶に新しい事件だと、今年の3月に福岡の老舗旅館から3,000倍以上のレジオネラ属菌が検出されたことがメディアでも報道されていましたね。

 

私がコンサル支援する病院でも過去にレジオネラ感染症が広がり、その時は大掛かりな対策を行いました。

 

この記事ではレジオネラ属菌と感染症に関する特徴と感染防止対策を説明しますので医療施設の皆様はもちろん、日頃のご家庭でも参考していただければ幸いです。

 

  まずレジオネラってどんな細菌?

レジオネラ感染症とは、一般的にレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)をヒトが吸入するによって感染します。主にに水を媒体にしており、加湿器や循環式浴槽などの装置や、温泉や河川などで誤嚥したりすることも感染源となります。

 

レジオネラ属菌はヒトからヒトへ感染するという報告はありません。しかし、高齢者や新生児、免疫力が低下している人はこの細菌に感染しやすく、重症化もしやすいので医療施設や高齢者や子どものいるご家庭は特に注意が必要です。また、透析患者や悪性腫瘍患者、喫煙者やお酒をよく飲む人などもリスクが高いというデータがあります。

 

 

  感染した時の症状と治療法

この細菌の感染は主に肺感染症で、発熱、頭痛、咳、息切れなどの症状がみられます。もし重症化した場合だと呼吸不全や敗血症ショックなどの合併症を起こす危険性があります

 

レジオネラ感染症は早期の診断・治療が重要で、治療には主に抗生物質が用いられます。レジオネラ感染症は感染症法上の四類感染症に分類されており、医療施設で医師が陽性診断した場合には直ちに保健所へ届け出る必要があります。

 

昨年も年間で2,000件以上の国内感染報告がされていて、そのうち80名余りが亡くなっています。

 

 

  感染防止の対策は?

このレジオネラ属菌は20~45℃で最もよく増殖し、60℃以上では死滅します。そのため、水の温度を適切に管理することに加え、加湿器や循環式浴槽などの装置は、毎日水を入れ替えて洗浄することがとても重要になります。

※浴槽に湯を張る場合、遊離残留塩素濃度は0.4〜1.0mg/Lを維持するようにしてください。

 

病院では、公衆浴場法や旅館業法に基づく条例等に従って定期的に浴槽水や加湿器、冷却塔、飲用蛇口などからのレジオネラ属菌検査を行い、陽性率や基準値を把握することが求められます(装飾用噴水やスプリンクラーなどは見落としガチなのでご注意を)。

 

しかし万一、施設内での発生源が確定された場合は、直ちに給水システムの消毒を行うことが必要になりますので、専門業者と速やかな連携をとりましょう。

また、設備機器の検査と水の入れ替え管理だけでなく日々の日常清掃でも、洗面シンクや浴室(特にシャワーヘッドの取り外し清掃)など水回り消毒をルーティン的に行うことが求められます。

 

 

まとめ

レジオネラは身近な細菌であり、重篤な感染症を引き起こす可能性があります。

そのほとんどは施設の対応により感染防止が有効になりますので、日頃の給水設備管理や検査、消毒を怠らないように心掛けましょう。

 

 

【参考文献】

厚生労働省「レジオネラ対策ページ」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html

 

「医療施設における環境感染管理のためのCDCガイドライン」監訳 満田 年宏

 

 

こんにちは!

 

医療施設の環境整備で「消毒」ってなかなか大変ですよね。。作業は簡単でも人の手でやることがほとんどなので時間も労力もかかるんです。

 

特に診療所や老健施設などは外部委託せずに自分たちで環境整備している施設も多いのではないでしょうか?

 

今回はそんな消毒を効率よく行うための薬剤を紹介します♪

 

 

  消毒と洗浄をワンステップに

 

物や環境表面の消毒を行う前には汚れを取り除く必要があります。消毒薬で推奨されている「アルコール」も「次亜塩素酸ナトリウム」もウイルスや細菌には作用しますが、汚れを取る洗浄の効果はないんです。

 

つまり、中性洗剤などで汚れを取り除いた『洗浄』を行なってからアルコールや次亜塩素酸ナトリウムで『消毒』を行う2度手間の必要があるんです。

 

ただでさえ忙しいのに同じ場所を何回も拭く仕事なんて大変ですよね!しかも、しっかり洗浄をしないまま消毒していると物の素材によっては劣化を早めてしまいますガーン

 

この煩わしさを解決してくれるのが『洗浄』+『消毒』をワンステップで行える『加速化過酸化水素』です!

 

へ?と思われた方、もう一回聞いて下さい『加速化過酸化水素』です。

 

はい。結局何なのかと言いますと、過酸化水素という元々消毒に使用していた化学品に界面活性剤や水溶性溶剤などの洗浄成分を加えた薬品です。

 

 

このありがたい加速化過酸化水素は、以下のような特徴を持っています。

  • 高い除菌・除ウイルス性:さまざまな細菌やウイルスに対して短時間で不活化することが確認されています。新型コロナウイルスに対しては、0.5%の溶液で1分以内に99.9%以上の除去効果があるとされています。
  • 優れた洗浄効果:過酸化水素による酸化作用と界面活性剤による乳化作用で、汚れを効率的に落とすことができます。洗浄と同時に除菌・除ウイルスができるので、作業時間やコストを削減できます。
  • 安全性と環境性:過酸化水素は水と酸素に分解されるので、残留物や有害物質を残しません。また、引火性や腐食性が低く人体や対象物への影響も少ないとされています。アメリカ食品医薬品局によって食品添加物としての安全性も認められています。

世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)からも、この加速化過酸化水素は特に医療機関での環境消毒に毎日使用する薬剤として推奨されています。

 

 

  加速化過酸化水素の利用例

 

という効果が認められて、加速化過酸化水素は医療施設や食品向上、ビルメンテナンスなどの分野で幅広く利用されています。以下にいくつかの事例を挙げてみます。

  • 医療施設:内視鏡や手術室などの医療機器や環境の消毒に用いられています 。新型コロナウイルスの集団感染が発生した客船ダイヤモンド・プリンセス号では、船内消毒にこの薬剤が使用されました 。
  • 食品業界:食品工場やレストランなどの食品衛生管理に用いられています。食品添加物としても使用できるので、食器や調理器具などにも安心して使えます。
  • ビルメンテナンス:安全性も非常に高いのでオフィスや学校などの公共施設の清掃・消毒に用いられています。希釈不要で使える製品もあるので、準備作業も簡単です。
ちなみに、僕は日頃の病院との打ち合わせではこんな製品を推奨しています。

 

まとめ

 

加速化過酸化水素は高い除菌・除ウイルス性と洗浄効果を持ち、安全性と環境性も高い製剤であることから医療施設はもちろん、様々な施設の表面消毒にとって最適だと言えます。さらにワンステップ作業による労力や費用削減も期待できます。

加速化過酸化水素を使って、清潔で安全な環境を作りましょうキラキラ

 

 

【参考文献】

加速化過酸化水素 - Wikipedia :

日本手術医学会「手術医療の実践ガイドライン」(2013年改訂版)

医療福祉環境感染防止 - 医療|東栄部品株式会社 

「医療施設における消毒と滅菌のためのCDCガイドライン」満田年宏 訳・著

 

こんにちは!医療環境コンサルタントとして毎日様々な方から勉強させてもらっています。

 

ブログを通して医療施設の問題や解決策について情報共有していきますので、業界の方の参考になれば嬉しいです♪(医療業界以外の人も興味があればぜひ見てくださいね!)

 

さて、第1回は病院経営の実態について書いてみます。

病院経営は医療の質や安全性だけでなく、社会的な責任や経済的な効率性も求められるとても難しい分野です。特にこの3年間、新型コロナウイルスの流行によって病院経営は大きな影響を受けました。

コロナ関連の補助金が支給された一方で、受診控えやワクチン接種などによって、収入や費用は大きく変動した病院もありますし、感染症法上5類への移行も影響し助成金が廃止になったことで厳しい状況に追い込まれている病院もあります。

 

では、病院経営の黒字と赤字の実態はどうなっているのでしょうか?この記事では、厚生労働省や日本医療法人協会などが公表したデータをもとに、病院経営の現状と課題について僕なりの見解を加えて解説していきます。

 

 

  病院経営の黒字と赤字の割合

 

まず、近年の病院経営の赤字と黒字の割合から見てみましょう。厚生労働省が公表した「医療経済実態調査」によると、2020年度の一般病院(精神科病院を除く)の損益率は6.9%の赤字でした。これは2019年度の3.1%の赤字から悪化しています。しかし、コロナ関連の補助金を含めると0.4%の黒字に転じています。つまり、補助金がなければ多くの病院が赤字に陥っていたことになります。

全日本病院協会が公表した「医療機関経営状況調査」によると、2021年度の医業利益(医業収益から医業費用を差し引いたもの)は、一般病院で平均約2億円の赤字でした。これは2020年度より約1億円悪化したことを示しています。また、2022年度でもほぼ同等値となり、赤字病院の割合は7割を超えていることになります。

 

コロナ禍であれ程に奮闘してくれていた医療従事者の方を思うと、このデータはやるせ無い気持ちになりますね。。

 

 

  病院経営の赤字要因

 

次に、病院経営の黒字と赤字の要因を見てみましょう。病院経営の収入と費用のバランスは、様々な要素によって影響を受けますが、ここでは主なものをいくつか挙げてみます。

 

収入面

  • 診療報酬:病院が提供する医療サービスや薬の公定価格であり、病院経営の最大の収入源です。診療報酬は2年に1度改定されますが、近年は医療費抑制のために引き下げられる傾向にあります。また、診療報酬は地域や診療科目によっても異なります。例えば、都市部では地方部よりも診療報酬が低く設定されています。また、外科や整形外科などの手術を多く行う診療科目では、内科や小児科などの診察を中心とする診療科目よりも診療報酬が高くなっています。
  • 介護保険事業:病院が提供する介護サービスに対して支払われる保険料です。介護保険事業は、高齢者の入院期間を短くすることで医療費を抑える目的で導入されましたが、介護サービスの需要は増加しています。しかし、介護保険事業の収入は診療報酬よりも低く、また介護サービスにかかる人件費や物品費は高いため、利益率は低いと言われています。
  • 関連補助金:直近で最も注目されていた助成金はやはり新型コロナウイルスの流行に伴って、政府や自治体から医療機関に対して支給された補助金です。コロナ関連補助金には、コロナ患者の専用病棟や集中治療室(ICU)を確保するための「病床確保料」や、「感染対策強化料」、「感染対策特別手当」などがあります。また、コロナワクチン接種に関する「接種料」や「接種管理料」も含まれます。コロナ関連補助金は、受診控えや手術延期などによる収入減を補填する役割を果たしましたが、補助金の支給額や条件は変動しやすく、また補助金頼みの経営は不安定であるという指摘もあります。

費用面

  • 人件費:医師や看護師などの職員の給与や福利厚生費などです。人件費は病院経営の最大の費用であり、平均して医業収益の約半分を占めています。人件費は職種や地域によっても異なりますが、近年は医師不足や看護師不足などによって人件費が上昇しています。また、医療従事者の働き方改革が進むことにつれて、残業代などによる人件費増加も懸念されます。
  • 物品費:医薬品や医療機器などの購入費や消耗品費などです。物品費は医業収益の約2割を占めています。物品費は医療技術の進歩や薬価改定などによって変動しますが、近年はコロナ対策に伴うマスクやガウンなどの感染防止用品の需要や価格が高騰しています。
  • 建物管理費用:水道光熱費や建物・設備の維持管理費、借入金の利息費などです。その他費用は医業収益の約1割を占めています。その他費用は病院の規模や立地などによっても異なりますが、近年はエネルギー費や固定資産税などが上昇しています。
  • 委託費用:病院がアウトソーシングしている業務があります。代表的なものでは医療機器の保守業務や院内清掃、給食、寝具提供などです。どの業務も共通しているのが人件費や材料費が高騰していることにより従来の委託価格から値上がり傾向にあります。加えて、2022年11月、厚生労働省より「ビルメンテナンス業務に関する契約 (公共調達)の最低賃金引上げ」という緊急の通知がされたことにより、清掃や設備、警備業務などの会社からはこれから堂々と値上げ交渉を受ける可能性が高くなります。

 

 

  病院経営の課題と対策

 

まさに雁字搦め状態とも言える病院経営です。。このように収入と費用のバランスが難しい分野であり、コロナ禍でさらに厳しい状況に直面しています。

では、病院経営の課題と対策は何でしょうか?ここでは独自の見解を踏まえていくつかの例を挙げてみます。

 

収入面の課題と対策

  • 診療報酬への対応:診療報酬は医療費抑制のために引き下げられる傾向にありますが、これは病院経営にとって大きな打撃です。診療報酬の引き下げに対応するためには施設毎様々ですが、医療サービスの効率化や質の向上、患者数の増加などが共有します。また、診療報酬以外の収入源を開拓することも重要です。例えば、健康診断や予防接種などの自由診療や、健康保険組合などと連携した在宅医療や介護サービスなどを提供すること有効になるかもしれません。
  • 関連補助金の情報収集:補助金の支給額や条件は変動しやすい反面、新たな補助金や助成金が導入されることも多くあります。これらの情報を素早く収集し、可能な限り適応していくことが求められます。
  • 患者受け入れ体制強化:一方で補助金頼みの経営は不安定であるという指摘もあります。補助金に依存し過ぎないためには、患者の受け入れ体制やサービスを強化することが必要です。例えば、感染対策を徹底した衛生環境をアピールすることや、オンライン診療や在宅診療などを活用することで患者数の増加を見込める可能性もあります。

費用面の課題と対策

  • 人件費対策:人件費を抑えるためには、やはり医療従事者の負担減をいかに実現させるかが重要になるに加え、職員の採用や配置と教育や評価などの人事管理を効果的に行うことが必要です。例えば、医療事務や介護士などの補助的な職員を活用することで、医師や看護師の業務負担を軽減することができますし、DX導入による生産性向上も一定の効果があります。また、医師や看護師の働き方改革やキャリアアップ支援を行い離職率を下げることで求人費などの軽減を図ることができます。
  • 物品費対策:物品費は医療技術の進歩や薬価改定などによって変動しますが、感染防止用品の需要や価格が高騰しています。物品費を抑えるためには、物品の購入や管理、使用などの物流管理を効率化することが必要です。物品の在庫や消耗量をデータ化して分析することで適正な発注量や使用量を決めることや、物品の共同購入や値引き交渉などを行うことで、物品の調達コストを下げることができます。これらにもDX導入は効果を発揮するかもしれません。
  • 委託費対策:一般的には複数の委託会社から相見積もりの取得や委託業務仕様書の見直しなどが挙げられますが、やり方によっては院内環境の質が大幅に低下する危険があり、改善にさらなるコストが必要なケースも出てきます。これに対して僕が近年推奨しているのは、「委託業務の内製化」です。一部の業務を病院が直接運営することで大幅に経費を抑えられることが判明しています。アメリカの病院を訪問した際にはすでに多くの施設で内製化が進んでいて、経費改善だけでなく品質の向上にも成功しています。
経費改善に向けた対策についてはまた別のブログで詳しく発信していこうと思います!
 

 

まとめ

 

病院経営の実態、いかがでしたでしょうか?専門用語が多くなることもあってか、読み辛いようでしたらすみません汗

 

病院経営はやはりバランスがとても難しい分野であり、これからさらに厳しい状況が続くことが予想されます。病院経営の黒字と赤字の実態は、診療報酬や関連補助金などの収入面と、人件費や物品費などの費用面によって大きく変わります。これらの対策は、収入面では診療報酬の引き下げへの対応や患者受け入れ体制の強化を図ること、費用面では人件費の上昇や物品費の高騰に対応することに加えて委託費用の見直しが重要です。

 

施設によって運営状況や構造も大きく違うので一概に共通するものばかりではありませんが、医療サービスの質と効率化の両方を追求することはどの病院も目指していると思います。病院が医療に専念できる環境作りに向けて、僕も少しでも力になれるよう色々な知識をもっともっと勉強しなければいけませんねニコニコ