その日俺は、神奈川県某所。。。
人里離れた山奥に佇むロケ地で、撮影に挑んでいた。![]()
東京から約2時間ほど車を走らせて、山道を登った先は
鹿や狸などの野生動物が現れても不思議じゃないくらい自然に恵まれた場所だった。
温泉地とは言え、季節は真夏
まして平日であれば観光客など望めず、辺りは閑散としていた。
老朽化が進んでいるその老舗旅館は、所々傷んでいる部分もあったが
レトロな味にも見える、そんな温泉宿であった。

(※画像はイメージです)
その日は、建物全てを貸し切りにしていたのだが、ネットなどで場所を特定されたら迷惑をかけてしまう。
そんな理由からか
実際にカメラを回していい場所は客室数部屋と露天風呂内に限られていた。
温泉物は冬にリリースする為に、撮影はどうしてもこの季節となってしまうのだ。
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今回のストーリーは単純だ。
温泉の女将と出張で東京から出向いて来た客(サラリーマン)との色恋を描く![]()
よくある演出の物語だった。
限られた時間の中で様々なシーンが順調に進んでゆく
早朝から始まった撮影も全ての収録を終えた頃、時計の針は終了予定より若干早い19時ちょっと過ぎを示していた。
外は朝から雲行きが怪しかった空から、ポツポツ降り出して来ていた。
雨が次第に雷雨に変わり、勢いを増しながら土砂降りに変わって行った。
「困ったなぁー!これじゃあ、前が見えないから運転厳しいかも、、、」
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ADが呟く
センターラインが無いような山路を長いこと走らせて来た場所だけに、この大雨では危険過ぎる。
機材をバラし、全ての片付けを終える頃には
話し声をかき消す程の雨音が、辺りに響いていたのだ。
もう、待機する以外方法が無い。
モデルとメイクさんを乗せた車は、撮影終わりと同時にすでにこの場を離れていたので問題無いが
残された我々5人は、そこでの足止めを余儀なくされてしまった。
もちろん宿泊の準備などなく
夕飯の支度などあるわけが無い。
昼間用意していた軽食を含め
おにぎりや、サンドイッチ、スナック菓子などで凌ぐことにした。
考えても仕方ない、、、
とりあえず温泉にゆっくり浸かり、その日の疲れを癒すことにした。

「雨が弱まったら出るしかないなぁ〜宿主にも迷惑かけてしまうし、、、」
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朝方訪れた時に鍵を開けて、場内を案内してくれた老婆がいたことを思い出した。
お年寄りのこと、きっと奥の部屋で休んでいるのだろう。
このような状況を宿主に話そうとフロントへ向かった。
辺りは暗くなっており、すでに小さな灯りだけが燈っていた。
宿主の姿はなく、呼鈴を鳴らしてみることにした。
「…チーン♪」
暫くすると奥から、年の頃80代くらいであろうか
宿主の旦那であるらしき老人が現れた。
「はいはい。」
白髪頭を後ろで結いて、細いフレームの丸眼鏡をかけた個性的なお爺さんであった。
小柄に見えたのは、多少腰が曲がって前傾姿勢だったからであろう。
我々は、宿主のお爺さんに、状況を説明すると。
「お困りであれば、奥の大部屋に寝具が重ねてあるから使って休むといい」
そう言うと、部屋の鍵を片手に長い廊下を歩き始めた。
踏み入れなかった場所である。
撮影では使用しなかった部屋が通路の奥に存在していた。
「大部屋で、普段使わない部屋だが、、、もし、、良ければどうぞ、、、」
主人は、そう言いながらドアにかかった南京錠の鍵を外してくれた。
16畳くらいあろうか?
長方形の広い部屋であった。
随分長いこと人が入り込んで居なかった雰囲気を察した。
いささかカビ臭い感じはあるが、畳は新しく張り替えられゴミ一つ落ちていない。
見渡してみても部屋が傷んだ様子もない。

柱に掛かっている日めくりカレンダーの日付は、十数年前から止まったままであった。
(たった5人の我々には広過ぎるのでは?)
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その時、全員がそう思ったに違いない。
まぁ、しかし
どうせなら部屋の真ん中を有意義に使おうかと
ご主人に言われた通り、重なってある布団を横並びに敷いて川の字で寝ることとなった。
俺は左端、真ん中がADそして監督とスタッフ
早朝からの運転や撮影準備で疲れていたのだろう
寝不足から、彼の寝息が聞こえてくるのに数秒掛からなかった。
それを見届けた俺もいつしか意識を失っていた。
5人全員が寝静まる中、外の雨音だけが響いていた、、、、、。
、、、、、、、、、、、、、、、
、、、「うぅ、、、うぅ、、、」
夜中、隣からなにやら聞こえてくる。
、、、、「苦しい、、、」
聞きなれた声、俺は声のする方を振り返ってみると、、、
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、、、、、、、、、、、、、、、、
真っ先に眠りに着いた、ADの彼がうなされている
「あぁ、、、ぐぁぁ、、」
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喉を掻き毟るような仕草
「く、、くる、、しい、、」
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、、、、、、、、、、、、
首に爪の跡が残る!
ついには、暴れ始めたのだ
その異様な行動に全員が目を覚まし、彼を押さえつけた。
「どうたんだ!!おい!!」
動きが止まり、目を開いた
「あれ?夢かぁ〜恐ろしい夢を見たんです!」
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額に冷汗を浮かべていた。
「そ、それが、、、、」
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AD曰く、
寝ていてふと目を開けると、天井から黒い影が、ゆっくり自分の目の前まで降りて来て
突然首を締め上げられたのだと言う。
この宿は、古民家まではいかないが旧い建造物である。

天井には、大きな梁が数本通っている。
「そうなんです、、、ちょうど寝ていたこの天井から、黒い人のような影が、、、」
この天井
この、、、、、、、、、
見上げてみた
、、、、、、、、、、、、、
固唾を飲む5人、、、、、、、
太い梁に、、、お札らしき紙が貼ってあるのが見えた、、、、

(※画像はイメージです)
そして
太い梁の周りを通したような、、
、、、、、、、、、、、、、、
切れたロープ、、旧いロープ??
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揺れていた、、、、、、、、、、
下は新しい畳???
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、、、、、、、、、、、
張り替えてから、全く使用感などない、、、、、
いやな予感、、、戦慄が走る、、、![]()
、、、、、、、、、、、、、、、
ガラーーーーーッ!!!!
突然開いた扉に慄いた!
「あんたら!いったいここで、なにやっとる??」
昼間いた宿主の老婆だった
旦那らしきご老人に、ここで休むように言われた事を説明した。
、、、、、、、、、、、、、、
「、、、、うちの亭主だが、、、、亡くなってるよ、、、この部屋で、、、」
!!!!!!!!!!
?????????
「あんたらが寝ていた、その上の柱で首を、、、つった、、んだよ、、、」
!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!
「鍵がかかってたはず、、、この部屋は、それ以来使っておらんよ」
!!!!!ダメだ!!!!!
やばい!やばい!やばい!
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エモいーーーーー!!!!
違う!!!!
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ヤバイ!!!!!!!!!!
俺達をこの閉された部屋へ、案内した老人はすでに亡骸。
それは間違いなかった。
フロントに飾られた創業当初の写真!
関係者並ぶ
その真ん中に、その老人は写っていた。
自害した理由は定かではない、、、
だが我々が体験した、このリアルな出来事だけが全てだ。
その後、逃げるように車を走らせ山路を降ったのだが
その時
雨が弱まっていたのか?
止んでいたのか?
今となっては記憶に残っていない。
そして
人里離れた山奥に佇む、その宿は
今でも存在しているのか?
知る者は誰一人いない
ただ
お盆が近づくこの頃になると
この出来事が頭の中を、過ぎるのである、、、、、、、。
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終わり
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【次回予告】
業界にはルールがある。
撮影するにあたって、交わさなければならない書類を作成するのだ。
- 出演承諾書
- 年齢確認
そして我々縁者は性病検査を受けて問題無いことを証明しなければならない。
しかし、そうはいっても、昔の時代には医療が追い付いておらず、完全に防げるものでもなかった。
それはある現場で、共演した男優からの一本の電話から始まる。
「もしもし、調子どう?体調なんとも無い?、、、
俺クラミジアに感染したみたいで、、、
病院いったんだよ、、、それで心配になって」
えっ!?![]()
そして、俺も検査を受けるため、渋谷道玄坂にあると言う
性病に詳しい病院、〇〇クリニックを訪ねることにした、、、、。
そこでTAKAを襲う
衝撃の出来事とは!?
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次回
8/7 金曜日19時を
乞うご期待!!


