それはまだ駆け出しの汁男と呼ばれていた頃だ。![]()
時代の流れは、人数物!いわゆるブッカケたる物が流行りの中心だった。
我々下っ端のエキストラや汁男は、毎日それなりに忙しく現場から現場へとハシゴを強いられることも多々あった。
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20人の時もあれば、100人の時もある!
毎日少なくとも2回、多くて4回くらいは精子を出す。![]()
すると単純計算で
5000円×4=20000円
税金ヌいてもなかなかの日当だった。![]()
ただ労力や体力は思いの外削られて行く。![]()
少しでも早く、この集団から抜け出して一人前の男優にならなければ、、。![]()
気持ちばかりが焦ってしまう。![]()
こうして集団行動を繰り返しているうちに、その中でもベテランと呼べる人。
日の浅い新人と顔合わせる機会が増える毎にわかるようになっていた。
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大抵の人は、顔隠したりコミュニケーション能力が薄かったりで孤立しているものだった。
俺はと言うと、相変わらず場違いな雰囲気を醸し出す異端児である。![]()
そんなある日、その集団を取り纏める人から声がかかった。
「メアドを教えてもらえれば、仕事を振りますよ!」![]()
M氏は、見た目どう見ても四十路過ぎの中高年。
ところが聞いてみてビックリ!
俺のいっこ下だった!!!
マジかぁ~![]()
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おらおら、焼きそばパン買って来いやぁ~![]()
なんて![]()
その後、俺はそのリーダーを団長と呼ぶようになるのだ。
(安田大サーカス??)
しかしながら団長のお陰で行動範囲は拡がり、初現場に伺う事も増えてきた。
そんな矢先、奴と出会ったのだ!![]()
50人は下らない大人数の現場で、両サイド25人づつに分かれてその時を待っていた。![]()
顔見知りもいれば、初めましての人もいる。
向い合わせの先頭を陣取っている面々を目で追って行った。![]()
すると丁度ベッドを挟んで目の前に一際目立つアイツ。
まるで【Men's egg】から飛び出したような派手な出たち。
(※Men's eggとは大洋図書が発売していた男性ファッション雑誌。)
ブリーチした髪にマルメン【丸井メンズ館】で揃えたチャラいシャツにダメージの入ったブーツカットデニム!
そして何より、
床のフローリングと同化してしまいそうなくらいに日焼けした全身!![]()
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いつになく視線を感じていた。
お互いにロックオン!![]()
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負けられない、、、![]()
コイツにだけは、、、![]()
俺は本能的にライバル視しざるを得ない心境だった。![]()
後にわかったことだが、その時彼も同じことを考えていたのだ。
とにかく目立つギャル男2人は何処の大人数現場でも目をつけられて
「お前ら2人は、不良学生役な!」![]()
などと、いつしかニコイチとしてコンビを組まされることも増えていった。![]()
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このライバル I君 は、俺のいっこ下で、もちろん有名になる為に業界入りをした、まさに同じ志しを持つ同志であった。![]()
この頃、ブッカケ物に追いつけ追い越せで人気がうなぎ登りだった企画。
それは、素人ナンパ物だったのだ。
俺たち2人は、この企画で成果を上げることにより、きっと出世の近道になるだろう。
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そう、後に2人は新宿ナンパ・渋谷ナンパ・池袋ナンパ・原宿ナンパと活躍することになるのだ!
まだ世の中がDVDではなく、まだVHSビデオデッキが主流だった時代の話である、、、。
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おわり
