前回、俺はAVのエキストラに応募し、電話で「仕事内容は突っ立っているだけ」という謎の内容を告げられ、当日を迎えた。
集合場所、そこは東京駅八重洲中央口の改札出ないで、カレー屋の前!!!
ハットを被ったアシスタントディレクターらしき例の彼が、一人一人に切符をくばっていた。
どうやら、◯◯線にて千葉房総方面に向かって行くらしい。
切符と同時に渡されたのはスポーツ新聞や漫画週刊誌。
いったい何に使うのだろうか?
ホームに電車が到着した。
先刻の打合せで言われた通り、一番後部車両に我々全員が乗り込んで占領しようと言うのだ。
もちろん数人は、一般客も混じっている。
とは言え、20人程のエキストラが一部に集結すれば、やけにその車両ばかりが満員状態。
朝の通勤ラッシュのようだ。
(※イメージです)
ドア近くの座席に女子高生の制服を着た女優らしき女性が座った。
その両隣に、どうやら男優2人。
次第にウトウト居眠りを始める彼女。
男優達の手が太腿や胸を弄っている。
これ痴漢物?
ちょっとマジかよ!
ここはセットじゃないのよ~~
リアルガチ車両!!
一般客だっているじゃん!
我々エキストラの役割はと言うと、
行為に及んでいる主役の周りに何食わぬ顔で立ち、スポーツ新聞や雑誌を読んでるフリをすること。
いわゆる壁というヤツだ。
「いや、やめてくださ、、い、、」
「ダメっ、、、」
時折きこえてくる淫靡な声が気になって仕方ない。
だから俺は雑誌読んでるフリして・・・
ガン見する。
しかしそんなことをしていると、辺りを見通しているアシスタントディレクターから注意を受ける。
「見ないで知らん顔して下さい」
くぅ~、気になるわ~~
電車内での行為は、駅に到着する度に中断し、一般客を受け入れる。
こんなゲリラ撮影に許可などもちろん無い!
許される筈も無いのだ!
後に通報があり、このような撮影は一切出来なくなる。
それは俺がエキストラとしてデビューした、4年後の出来事。
時代背景だろう。
その頃のアダルト業界は何でもあり!
イケイケドンドンで、逮捕されなければ何をしてもいい。
そんな風潮さえも感じていたのだった。
そして終点手前の駅を迎えた。
いつの間にか制服を切り刻まれた女優がホームに着くや否や、ドアが開くと同時に逃げ出すように外へ飛び出した。
我々も怒濤の如く車両を後にした。
「カーーーット!!」
短髪の中年監督の声が響く。
それにしても、いったいここは何処??
田舎特有の雰囲気を感じる場所だ。
端折っていたが、実はここに辿り着く間も、何度か乗り換えてより遠くへと向かって来ていた。
ここで一旦、駅を出て近場の定食屋で昼飯休憩。
言い忘れていたが、東京駅待ち合わせは朝の9時。
ちょうど通勤ラッシュが終わる頃だったのだ。
定食屋の中は、ほとんど我々。
いったい皆んな、どんな素性を抱えた連中だろう?
「俺のようにセクシー男優を目指して来てる輩はいるのだろうか?」
天ぷら定食をかき込みながら、そんなことを考えていた。
外では食べ終えた人達がタバコを燻らしている。
俺はと言えば田舎の空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。
「おーいっ!」
中年監督が誰かを呼んでいる。
辺りに人は、、
居ない、、
俺??
「派手なアニキ!フェラ抜きいける?」
どう言うこと??
鳩が豆鉄砲を食ったような顔の俺に容赦なく続ける。
「ここから折り返しで帰るんだけどさー。
車両にトイレが付いてるから、そこで彼女にフェラ抜きされてよ!
トイレに誘い込むから、面白がってついていくギャル男な。」
そう言うと中年監督は高笑いした。
いや、笑い事じゃねぇ!!
そんなこといきなり??
しかしよく聞いてみれば、エキストラだと手取り8千円。
このフェラ抜きを受ければ、15000円に跳ね上がると言うのだ。
人より目立ったからこそ選ばれ、得たフェラ役。
やらない選択は無いよね!
でも
まさかーまさかのチン〇出し!
やってやるぜ俺!
チャンスを掴むんだ!
つづく