弊専攻の修論発表は、わたしが知る限り国内で最も遅く、自分の時は3月中頃に発表(口頭諮問)、3月末(卒業式の3-4日前)に修論本体を提出、でした。
(ここまで書くともうわたしの所属がバレてしまいそうですが)
もはや修論本体なんて審査もクソもありませんよね。自分のものも、(先輩のものも...(小声))出来は酷いものです。。。
なんでわざわざこんなに遅くするんですかね、ほんと。
他の研究科なんてはやいとこだと年内に発表終わって1月に修論提出であと2ヶ月は人生最後の春休みだというのに、そいつらの卒業旅行の投稿を見ながら修論を書き終えたのを覚えてます。
(当時はコロナ前だったので卒業が確定した人たちで旅行に行く、という「卒業旅行」というのがありました。これもそろそろ死語になるのかな。)
とはいえわたしは博士課程進学が決まってましたからとにかく研究を進めなければならない立場だったので、そんなことどうでもよかったんですけども。
まあそんなところにいた関係で、これをお読みの皆様はもう発表なんて全部終わって今更プレゼンテーションの話なんて、と、お思いかもしれませんが、うちのM2はまさに今、発表資料作成に追われてるわけです。
ということでプレゼンについて、そもそもわたしがプレゼンをどういうものと捉えているか、そして準備をどうやってるのか、それなりにこだわりがあるので、ちょっとここで紹介してみようと思います。
まず、ポスター口頭問わず、最も大事なのは「話」です。
もう少し意味を細かくいうと、「話者の言葉」「耳から入ってくる情報」です。
これ、結構思い違いしてる人いると思いますよ、わたし自身もそうでしたし。
特にポスターなんて、それっぽく結果を盛り付けたらOK、みたいに思うけど、そんなん全然ダメです。
はっきり言って、話だけで内容が伝わるならスライドとかはなくてもいい。
現にTEDとか、資料なしで話者がステージで話してるだけですよね。
なので、話の内容を最大限伝える(=印象付ける)ための小道具として、スライドやらポスターを使う、と考えるべきです。
(まあ理系の場合は実験結果とか数式とかを用いざるを得ないので、それを客観的証拠とか関係を端的に表すものとして示す、という意義もあるとは思いますが。)
となるともうお分かりだと思いますけど、まずストーリー(=論理構成、何を話すか)を考える、これが最初にすべきことです。
とはいえ、必要な結果とかは全部揃ってるから大丈夫なはずだー、と思っているあなた、多分そのままだといざ作り始めると全然ダメです。
(ダメ、というのは単なる結果の羅列になって終わり、ということ)
なぜかというと、意外と「なんでその研究をすることに意味があるのか(=問題は何か)」「それに対して何をしたのか(=問題をどう解いたのか)」という一連のロジックは、持っている結果だけでは明確にならないからです。
...特に前者はね。
なので、ストーリーを構築するにあたって、スライドではなくまず原稿を書き上げる、をお勧めします。
前、プレゼン資料を準備するときスライドからやるか原稿からやるかの議論が、ミュージシャンが曲から書くか詞から書くかみたいだね、という話になったことがあるのですが、私は、まず原稿からやる派です。
理由は上に書いた通り、まずストーリー(論理)の構築をしたいから、です。
で、この時、かなりクオリティの高い原稿(そのまま本番で喋って大丈夫なレヴェル)を作ってください。
なので、話すことリスト、みたいにするのではなく、「えー」とか、一息つくポイント、とか(ネタを挟むならネタも...)まで考慮した上で、何度も声を出して読みながら、作ってください。
やってみるとわかるんですけど、原稿って書いただけでは読みやすい(=聞き手が理解しやすい)ものにはならないのです。
一文が長すぎる、とか、指示語が、自分の中ではわかっていても聞き手からしたら全然、みたいなことはよくあります。
なので声を出しながらやることを強くお勧めします。
ただ、この時点ではまだスライドはできてない(存在しない)ので、完璧を目指しすぎても時間の無駄なので、とりあえず今自分が描いているストーリーの範疇でのベストなクオリティを目指してください。
あとで書きますけど、次スライド作って、それの見え方次第で原稿直して、またスライド直して、、、という自己無撞着な(SCFな、ともいう、、、のですがこの言葉の意味は量子化学界隈にしか伝わらないか、、、)作業になるのでね。
あ、ちなみにどこから書くか、ですけど、結果とか、変えようのないところから書いていって、それに合わせたイントロを書く、がやりやすいかと思います。
これは別の記事で書こうと思ってますけど、同じ結果でもイントロは、書く(=見る)人によって変わると思います。
本来研究とはある特定の問題を解くために行うものですけど、やってるうちにやってることが別のことになってしまって、解かれた問題が、自分が当初解こうとしていた問題からすり替わってる、なんてことはよくありますからね。
で、まあなんとかこれで論理が「大体」出来上がれば、そこで初めてスライドに着手しましょう。
(ちなみにですけど、上記の作業は結構時間かかります。確認のデータを取ったり、こう言ってしまって大丈夫か調べ物をしたりするので、長いときは原稿の第一稿だけで1週間くらいかかります。でもこれは基礎というか骨組みなので、時間をかけるべきです。)
さっきも書いた通り、スライドは「話の内容を最大限印象付けるための小道具」です。
従って、スライドには話す内容以外の内容は載せてはいけませんし、話す内容にあることを削ってはいけません。
(個人的には、これを理系っぽく「必要十分な」情報量、とわたしは呼んでいます)
これも意外とできてない人多いです。
でね、できてないとどうなるかというと、聞き手はすごく変な気持ちになるんですよ。
・まず、スライドの情報量が多すぎる場合。
(「多すぎる」というのは絶対量ではなく、話す内容以外のものも入っている、という意味。)
初学者にありがちなパターン。とりあえず載せとこっか、的な。
聞き手は、スライドのどこが重要なのか、は(少なくとも話し手であるあなたほどは)わかっていません。
なので聞き手は、「(話し手が)重要だと思って話していて、かつスライドに載せられている内容(以下A)」の説明を聴きながら、
「(話し手が)あまり重要ではないと思ったから話さないけど、ちょっとは重要だからとりあえずスライドに載っけておこう、として載せた内容(以下B)」まで理解しようとしてしまいます。
こうなると、聞き手側としては、(A)の話が中途半端にしか聞けないので、(A)についての半端な理解と、(B)についての「こういうことなのかなあ」という程度の微妙な理解(説明がないので)、しか得られないことになります。
これは、おかしな話ですよね?
話し手からしたら本来は、まず(A)を最大限に伝えたいはずなので、(B)をヘタに入れたことで(A)の理解を妨げてしまっているんですよ。
なので、良かれと思って入れた(B)が、逆に(A)の理解を妨げてしまうんですね。。。
あと、こうなることをわかってる人からすると、こういう発表者に対して「ヘタに(B)を入れることで印象が悪くなるということを知らない人なんだな」という印象を持ち、評価が下がります。
(少なくとも私はそうです。(また別記事で書くかもですけど、就活セミナーの人事の発表の大くはこんな感じでした。))
・スライドの情報量が少なすぎる場合。
個人的には、「多すぎる」よりはマシです。なぜなら、話への集中力は下がらないから。
ただ、話してる間の「目のやり場」に困ります。
だって、話してることはどこにも書かれてないんだもん。
で、あまりにも「スライドに書いてないこと」の話が多すぎると、どこに書いてるの?と探し初めて話への集中力はちょっと削がれるかも。
ただ、特に理系の場合、絵や写真がないと伝えづらいことが多い気がするので、話だけだとどうしても理解が遅く(=聴衆が頭を使わないといけなく)なります。
(実際このブログの内容も、本当に最大限伝えようとすると、絵とかイラストを使った方がいいんだろうなと思っています。
が、そこまでやる余裕がないのでやってません。。。)
...なので、まあスライドの情報量、と、話す内容、は同一にしましょう(=「必要十分」な量をスライドに入れましょう)という話でちた。
スライド本体についてなのですが、細かいフォントとか文字サイズは「伝わるデザイン」とかでググれば良いpdfやサイトがあるので、それを参考にすればいいと思います。
ただ、意外と載ってなかったことでここでお伝えしておきたいのは、
情報は上から下、左から右
です。
聴衆というのは無意識にスライド一枚の中の論理関係を探るものです。
なので、複数の情報をスライドに載せる場合、どの順番で話されるか(聴衆が)予測しやすく配置しましょう。
それが、上から下、左から右、なのです。
(1スライド1メッセージというルールがありますけど、ここではそういうことではなくて、例えば、Xという結果が得られた、なのでYだと考えられる、みたいな論理だと、2つの情報(Xという結果、と、Yと考えられる、という考察)があるわけで、この時やめとくべきなのは、Yが上にあってXが下、とか、Yが左でXが右、ですよという話。)
ちなみにだけど、そうした方が自分も喋りやすいと思いますよ。
個人的に良い発表として、次にどんな話が出てくるのか、聴衆が予測できるような発表、というのがあると思っています。
予測通りな話がきたら、(聴衆が)自分の考え方が正しいと確認できる安心感を与えられますし、
結果はPになるだろうなと予測させておいて、実は得られた結果はQでした、とかだと、ええなんで!?とか面白い現象だ、と思ってもらえたり、など、なんやかんやで聴衆を印象付けられますから。
ちなみにpowerpointだとアニメとかで、図とか式とかが順番に出てくるようにできますけど、あれ、個人的にはあんまりお勧めしないです。
なぜって、とりあえず載せれるなら載せといた方が、次にくる話が予測しやすいですから。
ただ、ネタバレになりそう(大事な結果を見せる直前まで伏せておきたい)、とか、どうしてもそのスライドの情報量が(絶対量として)多くなりそうという場合には、アニメ機能を使うのはもちろんアリだと思います。
さて、これで一旦スライドができたら、試運転してみましょう。
...と言いたいところですが、多分スライドはできないと思います。
なぜなら、たぶん作ってるうちに、原稿の論理構成からちょっと変えた方がいいな、となってると思うからです。
なので、だいぶ前に書いた通り、自己無撞着(SCF)的に、内容のすり合わせ(←主に原稿側の)を行いながらスライドと原稿を作っていくのが良いと思います。
ただここでも基本的には「原稿→スライド」がやりやすいと思います。
スライドを作りやすいロジックをまず立てて、それに沿ったスライドを作る、という感じですね。
それから分量ですけど、個人的には最後の"Summary"(「まとめ」とも)まで全部読んで、時間ぴったり、くらいがおすすめです。
本番は何が起こるかわかりませんけど、最悪サマリーは、「これがまとめです」で終わり、という手があるので、1分くらい緩衝時間を設けておくのがいいと思います。
あと、サマリーのスライドで終わることをお勧めします。
「ご清聴有難うございました」とか"Thank you for your attention."だけで終わるのはやめておきましょう、という話です。
というのも、なんやかんやでサマリーのスライドって映りっぱなしになってる時間が多い気がするからです。
単純に、座長の「ご講演有難うございました、では質疑応答に移ります」の数秒間、聴衆はスライドをじっくりと見れますからね。
特に質問が出なければ、サマリーみて、「その項目もうちょい詳しく教えてくれませんか」とかの質問もしやすくなりますからね。
それから、原稿を覚えるかどうか、ですが、わたしは「話す内容、その順番程度は覚える」としています。
なぜかというと、毎回一言一句同じように喋るのはほぼ不可能と思うからです。
喋ってるうちに若干言い回しは変わるし、そもそも聴衆とある程度は対話しながら、なので完全な「ロボット」になってしまうのはあまりお勧めしません。
ただ、スライド見て適当に喋る、だと、論理の流れが必ずしも最適にはならない気がするので、原稿を作ることを通して最適な論理を構成し、その論理構成を、覚える、ようにしましょう。
そうすると勝手に情報量も毎回一定になるので、時間が大幅に伸びたり縮んだりということはないのかな、と思います。
わたしのプレゼンテーションの「こだわり」、まあこんな感じでしょうか。
修論卒論がこれからの人も、もう終わったという人も、人生でプレゼンをすることはまだまだあるでしょうから、何かの参考になれば幸いです。
特に、原稿からやるかスライドからやるか、は、人それぞれなので、こういう考え方の人間もいるよ、ということで。