『 ヴァン・ヘルシング』

ドラキュラの宿命のライバルといえば、彼の名前が頭に浮かぶ人が多いのではないだろうか。
しかし、彼がアムステルダム大学の名誉教授で、精神医学の権威であったことはあまりしられていない。

そして、その息子であるリヒター・ヘルシングが婿養子になって千葉県に住んでいる事はもっとしられてない…


「爺ちゃんが言うには、手長ババてーのは山にある防空壕から長い長い手を伸ばして、夜の海に手を突っ込んで鮑なんかを採って暮らしてるんだってー」

「ほう…それは中々興味深い話だな、でかしたぞ利人。流石はパパの子だ」

目をキラキラさせながら、南房総に伝わる妖怪『手長婆』の話をしているのが、私のかわいいかわいい息子の天谷利人。その息子の話を真剣に聞いている変人…もとい私の旦那リヒター・ベルモンド。まぁ、婿養子にきた彼の今の名前は天谷リヒター ちょっぴり呼びづらいけれど、私が聖子・ベルモンドにならなかった事には感謝している。

「ホーリーは、この手長婆って妖怪みた事あるのか?」

「私が子供のとき、友達と夜の海に行こうとしたら手長婆につれていかれちゃうからダメだって良く言われたよ」

「ほう…」

「あんたの国にある、歯の妖精やブギーマンみたいなもので、実際には存在しないのよ」

「パパ!歯の妖精とかブギーマンてなぁに?」

「利人はまだ子供の歯は抜けてないんだよな?歯の妖精さんは、抜けた大人の歯を夜寝る時に枕下に入れておくと、もって行ってくれるんだよ。かわりに利人の枕の下にはお礼にお金が入ってるんだ」

「ほんとう?ねぇ、ママほんとう?」

「利人、パパを信じなさい。絶対に歯の妖精も手長婆もいるんだから。それに、ママはサンタさんすら信じてないんだから」

「いや、ちょ…リヒター。サンタさんは絶対にいるってば」

「じゃあ歯の妖精さんは?」

「パパがいるって言うからいるんじゃないかな?ママのところにはきた事ないけど」

「うーん。たしかに日本にはいないかもなぁ…。よし!こんどお爺ちゃんに歯の妖精を送ってもらうからな!利人」



リヒターと出会った当初は、ドラキュラと戦っただの、狼男は実在するだのメルヘンチックな事を言っていて可愛い人だな~と思ったけど、メルヘンなのは頭の中だなんて思ってなかった。
結婚しても相変わらずメルヘンは治らず。私の頭痛の種だ。
あと、
聖子だからってホーリーって呼ぶのは本当に勘弁願いたい。そりゃ、新婚だった時は私も呼ばれてニタニタしてたけども…


「もう遅いから、二人とも歯を磨いて寝なさい」

「よし!利人、パパと歯磨き行こうな」
「はーい!」


この時は私はまだ、自分の生活が自分の思っている以上にへんてこりんでメルヘンチックになっちゃうなんて、
予想もしてなかったのです。
このままではネガティブモードだとおもって、テンションあげる為にipodさんをシャッフル起動。

1/2873の確率なのに2000曲近くがアップテンポなアッパーチューンな曲なのに、流れたのが

モザイクカケラ⇒紅茶⇒コイスルオトメ

のコンボ。

ほろりと涙が流れた。

癪なので銀杏きいてる