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| 発売されたばかりのiPadを使った授業に取り組む児童たち=昨年6月、兵庫県洲本市(写真:産経新聞) |
タブレット型のコンピューターは新しいものではない。1990年代には既にペン入力のタブレット端末があり、マイクロソフトは2002年にウィンドウズXPのタブレット版を発表、富士通など国内メーカーからも搭載機が発売された。しかし、成功したと評価されたものはなかった。その歴史を変えたのは、iPad(アイパッド)だ。
「IT革命は19世紀に米カリフォルニアで起きたゴールドラッシュの再来。多くの起業家が生まれ、パソコン、インターネットなどの『金(きん)』が見つかったが、スティーブ・ジョブズはiPhone(アイフォーン)やiPadにより、まだ金が掘り尽くされていないことを示した」
ベストセラー『「超」整理法』シリーズの筆者で経済学者の野口悠紀雄さん(70)は、ジョブズ氏が果たした役割をこう説明する。
◆「クラウド」の可能性
昨年1月27日、ジョブズ氏はプレゼンテーションでまずスクリーンにiPhoneとノート型パソコンの2つを並べて映し、その中間にクエスチョンマークを大きく表示した。
「この間に何かないだろうか」。聴衆への問いかけは、あたかも金鉱脈を探す採掘者の言葉だ。何かがあるとするなら、それには既にあるiPhoneやノート型パソコンより優れた分野がなければならない。その分野とはインターネット閲覧、電子メール、写真、ビデオ、音楽、ゲーム、電子書籍。その全てで優位性を実現したものとして、iPadを紹介した。
プレゼンの舞台には、革張りの上品なイスと、サイドテーブルが置かれていた。IT機器の発表には不似合いだが、ジョブズ氏は自宅のリビングにいるかのようにこのイスに腰掛け、iPadのデモを行った。机上から解放されたパソコンがノート型なら、ラップトップ(ひざの上)からも解放され、生活に溶け込む存在がジョブズ氏が再定義したタブレットであり、iPadなのだ。
昨年4月の発売以降、iPadは後継モデルも含めて今年9月までに3600万台以上が出荷され、プライベートから教育、医療など多様な分野で活用されている。
野口さんは、iPadの可能性を大きく広げるものとして、「クラウド」サービスを重視する。メールやメモ、資料、原稿などのデータを全て手元の端末に入れるのではなく、グーグルなどのサーバーに保存しておき、端末から自在に読み書きできるようにするのがクラウドだ。
「以前の携帯情報端末は孤立していた。クラウドを使えば、過去数年間の私の仕事をiPadなどですぐに引き出せる。iPadはどこでも書斎やオフィスを開ける魔法のつえのような存在になれる」
◆クールであること
ゴールドラッシュの例えで、野口さんは「ジョブズは金採掘者に『ブルージーンズ』を売ったリーバイ・ストラウスにも似ている」と言う。
「ゴールドラッシュに群がった採掘者たちは、瞬く間に金を掘り尽くし、多くは経済的に破綻した。しかし、ストラウスは金を掘らずに、採掘者たちがほしがった丈夫でクール(格好いい)なジーンズを作って売り、成功を収めた。人と同じことをせず、みんながほしいと思ったものを作った点でジョブズは同じだ。これからゴールドラッシュと同じことがIT業界で起こる。スマートフォンやタブレットに群がる日本企業は、採掘者たちと同じ運命をたどるのか、ジョブズの道を行けるのか」
有用なだけでなく、クールであること。野口さんはそれを「シリコンバレーがあるカリフォルニア特有の文化」というが、クールに対するジョブズ氏のこだわりは、尋常なものではなかった。(鵜野光博)=次回は16日掲載、 テーマは「デザイン」
【プロフィル】野口悠紀雄
のぐち・ゆきお 1964年、大蔵省入省。72年、エール大経済学博士号取得。一橋大教授、東京大教授、スタンフォード大客員教授などを経て、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大名誉教授。11月24日に『クラウド「超」仕事法』(講談社)刊行予定。
「この記事の著作権は産経新聞に帰属します。」
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