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| キャティ・ケイ氏 |
10月24日(米国時間)、ネバダ州ラスベガスにあるリゾートホテル「Mandalay Bay Resort and Casino」にて、米IBMのデータベース製品「DB2」やビジネス分析ツール「Cognos」などのユーザーに向けた年次カンファレンス「IBM Information On Demand 2011」が開幕した。今年で6回目となる同イベントは、初日に1万1000人の来場者を記録した。オープニングセッションでは、IBMの「ビッグデータ」に対する考え方が示されたほか、情報活用やビジネスアナリティクスに関するユーザーの成功事例が紹介された。
●データをパズルのピースで考える
現在、IT業界において主要なキーワードになっているのがビッグデータである。先ごろIT調査会社の米Gartnerが発表した「2012年の戦略的テクノロジートップ10」でも重要トレンドとして挙げられている。
「あらゆるビジネスにおいて、もはやデータを活用しないという選択肢はない」——。同カンファレンスの司会進行を務めるBBCワシントン特派員、キャティ・ケイ氏は声を張る。同氏の長年の取材活動やキャスター経験を踏まえてデータによる裏付けがいかに重要であるかを物語っている。そうしたデータ活用を行う上で不可欠なのがITであり、IBMはその進化に対して計り知れない貢献をしている。ビッグデータ時代に突入し、同社の存在価値はますます高まるだろうとしている。
ビッグデータについて、IBMのチーフサイエンティスト(Chief Scientist)で、Entity Analytics group IBM Distinguished Engineerを務めるジェフ・ジョナス氏は「新しい物理学だ」と語る。物理学においては、2つまたはそれ以上の物質が互いに力を及ぼしあうという概念を「相互作用」と表現するが、ジョナス氏によると、まさに企業におけるデータは相互作用しており、1つ1つは意味を持たず、組み合わせて初めて価値を創造するものだという。
分かりやすい例として、ジョナス氏はジグゾーパズルを用いて説明した。ピース単体では特別な意味は持たないが、1つ1つのピースを隣り合わせていくことで全体のイメージを浮かび上がらせたり、あるピースが別々のシーンをつなぐ役目をしたりする。
また、データはコンテクスト(文脈)で考えるべきだとジョナス氏は話す。その考えに従うと、悪いデータや誤ったデータでも一定の価値はあるという。「Googleの検索エンジンはユーザーの入力エラーをデータベースで記憶しており、別の場面、あるいは別のユーザーが同じミスをしたときに正しい検索ワードをリコメンドすることで効率化につなげている」とジョナス氏は強調する。データがデータを見つけるのであり、データが多いほど関連性やパターンを人やシステムは理解するとしている。
「コンテクストをいかに蓄積するかが、ビッグデータ活用における強い企業と弱い企業の差になるのだ」(ジョナス氏)
●全社員にデータ活用を徹底
さらに、情報活用によって企業が競争優位に立つためには、大量のデータを蓄積、加工、分析するだけにとどまらず、データに洞察を加えて将来を予測し、行動に移さねばならない。まさに、本イベントのテーマ「Turn Insight into Action(洞察を行動に変える)」を指しているのである。
この情報活用における一連のプロセスを取り入れることで、世界的な金融危機を脱した企業がある。アトランタに本社を構える米SunTrust Banksだ。同社は、フロリダ州やジョージア州を中心に1661の支店と2919台のATMを持つ全米最大規模の銀行である。同社は2006年にIBMのデータウェアハウス(DWH)とビジネスアナリティクス(分析)ソリューションを導入。これによってリスクを事前に予測しリーマンショックを乗り切るとともに、現在でも事業を着実に成長させている。
以前のSunTrustは、例えば、ある事業のレポーティングをする際、人員を大量に導入して社内に分散するデータをかき集め、100ページを超える“誰も読みたくない”レポートを作成していた。データ活用に関するツールやプラットフォームも脆弱だった。同社のシニアバイスプレジデントで、Corporate Business Intelligence & Analytics Groupのポール・エドミストン氏は「必要な情報を発掘するのに、実に業務の4割もの時間を割いていた」と振り返る。ビジネス分析ソリューションを活用し効率的なレポーティングを実現することで人材リソースの最適化が可能となった。
加えて、2万8000人の社員すべてにデータの重要性を訴え、データ活用を推進することで、データに対する深い理解や洞察を持つようになったという。その結果、作成されるデータやレポートの質が向上するとともに、組織を超えて一人一人がデータを「共通言語」とするようになった。「手間のかかることだったが、やるべき重要なことだった」とエドミストン氏は力を込める。
この企業変革が実を結んだのが、サブプライムローンやリーマンショックなど一連の金融危機である。「倒産などの危機が連鎖する恐怖があり、多くの企業は実体が分からずにやみくもな施策を打っていたが、SunTrustは日常的にデータから洞察を得て市場を分析していたので、その恐怖の実体やリスクの限界を明確に測定できたのだ」と、シニアバイスプレジデントで、Risk Management & Technology担当のH・P・ブナエス氏は胸を張る。同様に、自動車販売業者が相次いで破たんした2009年の自動車産業の不況なども乗り切ったという。
「ビジネス分析を企業経営に取り込んだことによって、情報から顧客の行動や市場の動向が見えるようになった。それに基づき、スマートな決断ができるようになったのだ」(エドミストン氏)[伏見学,ITmedia]
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