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『EUROPA UNIVERSALISⅢ』の日本語版マニュアルより

 

【神聖ローマ帝国】

 

この時代においてもう1つ異彩を放っていたのが神聖ローマ帝国です。

8世紀の名君シャルルマーニュが初めて名乗った【ローマ帝国】という称号は、

『ヨーロッパ・ユニバーサリスⅢ』の時代にはゲルマン系国家の多くがその権威を認めるようになっていました。

また、神聖ローマ帝国という政体そのものが、権威国同士を結び付け、域内の調和と相互防衛体制をある程度のレベルに保つ接着剤のような役割を果たしていました。

 

 

とはいえ、構成国同士の小競り合いがなかったわけではありません。それどころか、帝国への加盟問題をめぐって戦争になったことは、幾度となくありました。それにも関わらず、神聖ローマ帝国には結束力のようなものも確かに存在し、帝国の持続が脅かされた場合には諸国が力を合わせたのです。

 

 

神聖ローマ帝国の構造とそれを統治していた〔ルール〕は、実際には一定ではありませんでしたが、このゲームでは15世紀の神聖ローマ帝国をモデルにすることにしました。その影響力は、歴史上の神聖ローマ帝国と比べて少し小さくしてありますが、これはゲームのバランスを取るための処置です。

 

画面右下のスペシャルメニュー・ツールバーにある『神聖ローマ帝国』ボタンをクリックすると

現在の皇帝と選帝候(正確には皇帝や選帝候が治めている国)、それに構成国が表示されます。一番上に表示されている、双頭の鷲によって飾られた盾に描かれているのが、現在の皇帝の紋章です。その下にある7つの盾に描かれているのは、帝国の重鎮である選帝候の紋章です。そのさらに下にある多数の小さな盾に描かれているのは、帝国に加盟している国々の紋章です。

 

 

【神聖ローマの皇帝】

元首が神聖ローマ皇帝を務めている国には、幾つもの特典があります。これらの特典は、元首が死去するまで有効です。

 

●神聖ローマ皇帝という称号は偉大さの象徴であり、元首が神聖ローマ皇帝を務めている国は毎月僅かながら国威が増えます。

 

●皇帝を補佐し、帝国にとって重要な交渉事にあたる人材として、毎月1人、外交官が余計に増えます。

 

●皇帝の密偵は並の密偵より有能なので、通常より5%高い確率で任務に成功します。

 

●毎月、加盟国数*1ダカットを、皇帝が治めている国の安定度向上のため支払っているものと見なされます。ただし、あくまでも『見なされる』だけなので、実際に加盟国の国庫から1ダカットが引かれるわけではありません。

 

●皇帝が治めている国には、毎月大きな人的資源ボーナスがあるので、連隊の編成や欠員の補充が通常より素早く完了します。どれくらいのボーナスがあるかは、加盟国の総数によって決まります。

 

●神聖ローマの皇帝は通常より大規模な常備軍を擁することが可能です。これは扶養可能な連隊数の増加という形で表されますが、維持費用は皇帝が治めている国の国庫から支払わねばなりません。扶養可能な連隊がどれくらい増えるかは、加盟国の数によって決まります。

 

 

【神聖ローマ帝国の構成国】

ゲーム開始直後から、いくつかの国は既に神聖ローマ帝国の構成国と見なされています。

どの国が構成国かは、インターフェースに表示されている紋章を見れば分かりますが、スペシャルメニュー・ツールバーの『帝国マップモード』ボタンをクリックすれば、メインマップでも確認することが可能です。

 

神聖ローマ帝国を構成している国は、人的資源や軍事力の限界の増大に加えて、毎月の『安定度』への投資の増額という形でもボーナスがあります。

これらは規模こそ小さいものの、内容的には神聖ローマ皇帝が治めている国にもたらされる特典と同じです。また、構成している国同士の関係には、毎月僅かながらボーナスがあります。

 

特別なランダムイベントがあると、構成国が増えることがあります。キリスト教国で、加盟国と隣接しており、なおかつ神聖ローマ皇帝が治めている国との関係がきわめて良好な国は、神聖ローマ帝国への加盟を誘われることがあるのです。ただし、帝国から除籍されることもありえますので、加盟後も皇帝が元首と務めている国とは良好な関係を保つようにしましょう。

 

 

【選帝候】

神聖ローマ帝国には『選帝候』という特別な地位にある元首が治めている国が7つあります。

これらの国には相応の特典があります。また、現在の皇帝が死去した場合には、7人の選帝候の投票によって次の皇帝が選出されます。

 

選帝侯が治めている国は、現在の皇帝が治めている国との関係を良好に保つのと同時に、国際社会での評判も良好な状態に保つべきです。それを怠った場合には、ランダムイベントによって選帝侯の地位を剥奪されることすらあります。

 

また、戦争や外交の結果、他国に併合された場合、その国の元首は選帝候たる資格を失います。選帝侯の席に空きができても、特別なランダムイベントを通じて、皇帝がすぐに次の選帝候を選出します。選帝侯に選ばれるのは名誉なことです。よしみを通じたがっている他の加盟国から様々な『贈物』が送られてくるでしょう。

 

 

【皇帝の選出】

皇帝が死去すると選帝侯たちによる選挙が行われ、最も多くの票を集めた国の元首が次の皇帝に選ばれます。選帝侯たちはそれぞれが1票を持っており、自分が推す加盟国に投票します。どの国を推しているのかは、選帝侯が元首を務めている国と加盟国の関係、更に候補となっている加盟国の国威やランキングによって決まります。

 

最も多くの票を得て晴れて神聖ローマ皇帝に選ばれた元首は、終生この地位にとどまることができます。得票数が同じだった場合には、前皇帝の後を継いだ元首に優先権があります。得票数が同じだった候補の中に前皇帝の候補者が含まれていなかった場合には、最も国威が高い国の候補が玉座を受け継ぎます。

 

自国から神聖ローマ皇帝を選出したいなら、外交によって最低でも1人か2人の選帝侯を味方につけなければなりません。現在の選帝侯がどの国かは、インターフェースを見れば簡単に分かります。その選帝侯が支持している(つまり選挙があった場合に投票する)構成国がどこかは、選帝侯の紋章の横に表示されている小さな紋章を見れば分かります。

 

選帝侯の紋章をクリックすると、メインマップの表示が自動的にその選帝侯の首都を中心としたものに変化し、その国との外交インターフェースが現れます。どうすれば選帝侯の歓心を得られるのか、よく考えてください。目標は、選帝侯が治めている国との関係に置いて、他の国に勝ることです。それには数カ月の時間と大量の贈物が必要かもしれませんが(皇帝の座を狙っている他国と競争になることもあるでしょう)、皇帝になることで得られる特典には、苦労を全て正当化するだけの価値があります。

 

摂政評議会によって統治されている国や人的同君連合の下位加盟国の元首が神聖ローマ皇帝に選ばれることはありません。もちろん選帝侯が治める国との関係改善を図るのは勝手ですが、皇帝選挙で投票してもらえるようになるためには、正当な元首による統治を回復していなければなりません。言うまでもないことですが、神聖ローマ帝国に加盟していない国が投票対象になることはありませんし、自国と戦争状態にある国に投票する選帝侯もいません。

 

 

【神聖ローマ帝国との戦争】

神聖ローマ帝国は同盟ではありません。構成国同士で戦争をするのは自由ですし、構成国が構成国でない国から攻撃されようと、他の構成国が同盟国として参戦することもありません。もちろん関係向上を狙って同盟などの外交的関係を築くことはあるでしょうが、他の構成国はおろか、皇帝が治める国に宣戦布告したとしても、それによって通常以上の不利益を受けることはないのです。ただし、神聖ローマ帝国の加盟国、とりわけ皇帝が治めている国は、一般の国よりも大規模な戦力を動員できることだけは忘れないでください。

 

もう1つ、皇帝であることによって得られる特典の多くは、神聖ローマ帝国加盟国の総数に影響されることも肝に銘じておくべきでしょう。皇帝になりたいのであれば、加盟国がそうでない国に脅かされている場合には、救いの手を差し伸べることも検討するべきでしょう。

 

神聖ローマ帝国を滅ぼすことを目指している場合は、話が正反対となります。つまり、帝国の構成国を滅ぼせば滅ぼすほど皇帝の力は弱まり、いざ皇帝の国と干戈を交える際には、戦いを有利に進められるわけです。