オブリビオンの中に出てくる書物の一つ『我らをいかに理解するべきか』です。
恐らくこれを書いたのはデイドラ。
デイドラが何かという前に、エルダースクロールズの世界観を簡単におさらいします。
NIRN(ニルン)。いわば地球です。
様々な人間が住んでおり、エルフやドワーフのほか、トカゲ人間のアルゴニアン、チーター人間のカジート、東方種族のアカヴィルなど多種多様な種族が住んでいます。
MUNDUS(ムンダス)とは、あらゆる定命の者(命に限りあるもの)が住む世界を包みこんでいる世界。いわば宇宙です。ゲーム中、空を見上げてその先にあるのがムンダスです。
OBLIVION(オブリビオン)とは異次元です。人間が住むNIRNと対照的にデイドラと呼ばれる種族が住むのがオブリビオン。人間世界でも言葉の喋れる知的生物、喋れない動物という区別がありますが、デイドラ世界も同様です。
最も力を持ち、デイドラ達を束ねるのが16人のデイドラロードです。
AETHERIUS(エセリウス)は概念的な精神世界です。
生命が死んだとき、その魂がここに送られると言われています。
エイドラと呼ばれる神々が住む世界とも言われます。
デイドラとは、オブリビオンに住む生物の総称。
デイドラは寿命という概念がないため、人間と異なり不老不死です。
外的要因によって死しても、その魂は闇に送られ再び蘇ると言われます。
デイドラの中でも高い知性を持つのがドレモラ。
デイドラ全てを統括しているのが、デイドラロード=デイドラ王。
知性あるデイドラ達は、人間を定命(じょうみょう)の者=命に限りある者と呼んでおり、蔑んでいます。
デイドラの種族の一つ、ドレモラ。
~我らをいかに理解するべきか~
*死と敗北と恐怖*
我らは死を知らず、死に恐怖することはない。
肉体が潰えれば、その魂も一度は闇に沈むやもしれぬが、いずれは戻ってくる。
むろん、我らとて恐怖を感じないわけではない。
我らとて苦痛や恥、敗北や闇を感じれば、そういったものを恐れもするものだ。
スカンプはあまり意思を持たぬがゆえ、それほど恐怖を感じることはない。
ヴェルマイも意思など全く持たぬから、これも恐怖とは縁がない。
ドレモラは高度な自我を持つがゆえ、自らの恐怖に打ち勝つため、その恐怖を御していかなくてはならない。
*一族の結束*
我らは定命の者のように『生まれた』のではないから親兄弟は持たぬが、一族だの、同族だのといった関係は存在する。
この一族同士のしきたりのようなものは実に強固で、心身共に強い影響を受ける。
それこそが力と意思だ。
*誓約による結束*
我らは自らの意思で役目を果たすものである。我らは強きに仕えるが、それは自らの身を守るためである。
一族は長きにわたる慣習で仕えているが、むろんその慣習とて不変ではない。
ドレモラも長いことメエルーンズ・デイゴンに仕えているがそれも常にというわけではないのだ。
そうした慣習は、誓約による結束に揺らぎがなく、また信頼を分かち合っている間は安泰である。
この結束が揺らぐ時、苦痛、恥、敗北、闇、そして巨大な恐怖が齎される。
*人間について*
スカンプは滑稽な生き物で、ヴェルマイは野蛮な奴らだと思われているかもしれない。
では人間は、我らが人間をどう見ているか想像できるだろうか?
言ってしまえば人間は獲物で、我らが狩人だ。
そしてスカンプはいわば猟犬で、ヴェルマイは勢子。
人間の肉は甘美で、それを追いかけるのは、ほんのお遊びなのだ。
人間がキツネの賢さや野ウサギの素早さを讃え、猟犬がその肉を引き千切るのを見て嘆くのと同じようなもの。我らの誘惑を巧みにかわし、罠を上手く潜り抜けるようなことがあれば、我らも獲物を讃え、こっそりと拍手を送ることもある。
とはいえ、あらゆる現世の物事と同じく、人間もいずれはすり減りぼろぼろになることだろう。年を取り、醜く老い、弱く、愚かになっていく。遅かれ早かれ日々失っていくのだ。
時折獲物が窮鼠猫をかむこともあるが、些細なことだ。傷つき弱ったとしても、我らはまた力を蓄えるために飛び去るだけのこと。たまに貴重な品をなくしてしまうこともあるが、それもまた乙なもの。もっと楽しい狩りをもたらしてくれる。
*人間の不思議*
人間には寿命があり、いずれ死と堕落と敗北とが運命づけられている。
どうも我らと人間との間には深い溝が横たわっているようだ。
――そんな運命で、人間はなぜ絶望しないのだろうか?
-終わり-
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デイドラは強いものに仕える、といっても事大ではなく、その力を認めて主君として仕える。
基本的にデイドラ達は力の強弱で全てを決定するため、弱きものを守るとかいう概念が生まれにくいようです。
この書物によって、デイドラの考え方が多少理解できますね。
いずれ老いて死ぬことが運命づけられた人間、それでも絶望せずに生きることに対し理解ができないらしい。実に大きなお世話ですね。