サークル[小麦畑]さんが制作したフリーゲーム『デンシャ』をプレイしてみました。






私はたまにフリーゲームを漁りますが、はじめこのゲームを見たときはホラー系かと思いました。

が、このゲームはドラマ性が強いRPGでした。
音楽、演出が非常に凝っており、昭和初期を思わせるレトロな雰囲気を漂わせています。

乙女よ朗らかにや、兄は征くなどの戦争中の曲が歌ありで流れたりも。




☆物語☆

電車に乗っておばあちゃん家に向かっていた少年は、いつの間にか眠ってしまいました。

目を覚ました少年は、自分が眠る前と違う電車に乗っていることに気がつきながらも、不思議な電車の中を探索します。





きつねと天狗のお面をかぶった、謎の二人に導かれながら、少年は進んでいきます。
このゲームのポイントは、各車両に設置された車両番号のプレートをいじりながら進んでいくことです。



たとえば6号車のプレートを回転させていくと...



9号車になります。こういった方法で車両を移動します。
プレートを回転する以外にも裏返す、はずすなどの操作が可能で、これを行うことで、先へ進む手掛かりを見つけることができます。



画面下には列車編成があり、数字は車両番号です。

9号車の左隣には10号車、右隣りには4号車があり、通路を使って移動することができます。


また、初めの列車編成は

18-12-10-6-4-0

ですが、プレートをいじることで列車編成は常に変わります。


12号車のプレートをいじり、21号車にすると

21-18-15-10-9-4-0

となります。


プレートを回転していく中で、おかしな状態にしてしまうと、これまた不思議な空間に移動してしまいます。




特に目的もなく探索する少年ですが、ゲームとしては一人の少女の記憶を追っていくことが目的です。

車両ごとに決まった行動を起こしていくと、影だけしか映らない謎の少女の記憶が語られます。


この少女の記憶が何なのかは、序盤で大体がわかります。


まず、序盤で、70年前に日本が対米開戦したときのラジオが流れ、

真珠を入手した時、謎の二人組が現れて、『真珠!』『ワン!』というあたりから...。


少女の記憶は、太平洋戦争(大東亜戦争)の時代なんだということがわかる。

その嬉しかった記憶、辛かった記憶が、物語を進めていくと語られていきます。






少女の父親が徴兵され、南方に配備される。

帰ってきた父親は、マラリヤにかかっており、母親にも感染してしまった...と推測できます。
子供にとって難しいことは分からない、けれど、遠い国で戦争していることはわかる...。




私はこれをプレイしていて非常に切なくなり、今の日本に生まれ育った幸福を今一度実感しました。