共産主義を標榜する、世界初の社会主義国として誕生したソヴィエト連邦。
社会主義国という壮大な実験の果てに、1世紀と持たずに腐敗して崩壊。
社会主義と共産主義の失敗は世界の教訓となりました。




現ロシアの国歌は、そのソヴィエト連邦時代と同じ曲であることは周知のとおりです。
それこそが、ロシアの国歌=通称『祖国はわれらの為に』です。






世界で最も格好良いとも言われる本国歌のルーツは、かつてロシア革命を主導したポリシェヴィキ党の党歌にあり、また三四半世紀の間に歌詞が幾度か変わっています。
(ポリシェヴィキ=ロシア社会民主労働党)




ポリシェヴィキ党歌



1936年に製作されたのが、ポリシェヴィキ党歌。歌詞は全く違いますが、曲は現在のものの原型であることが分ります。




その後、1944年より国歌に制定された際、歌詞が一新され、曲もアレンジが加わりました。
独裁者スターリンの存命中だったので、スターリン版と呼ばれる歌詞です。


1944年版ソヴィエト連邦国家
(1944~1955)




スターリンの死後、フルシチョフによるスターリン批判を経て、しばらく歌詞のない時代=音楽だけが流されるという時期が続き、1977年、書記長に就任したレオニード・ブレジネフの下で歌詞が一変されたものが、ソ連国歌としての最終版になりました。


歌詞からスターリン賛美する部分が削除されています。


1977年版ソヴィエト連邦国歌(ブレジネフ版)
(1977~1991)





共通するのは、『自由なる我らが祖国』という歌詞。
ソ連が自由とか嘘つくなという感じですが、まあ国歌は理想などを歌い上げるものですからそこを批判するのは野暮というものでしょうか。









ちなみにソ連国歌は、崩壊の年(恐らく)にポップ調のアレンジで演奏されており、
ソビエトの崩壊と、新しい時代の到来を感じさせます。




そして現在のロシア連邦国歌に繋がります。
ソ連の崩壊に伴い、エリツィン大統領のもと国歌が『愛国歌』というものに一時的に代わりました。しかしこれが浸透せず、のちのプーチン大統領によって、ロシアの国歌がソビエト連邦時代の曲に戻されたのです。


ロシア連邦国歌
(2001~)



ウィキペディアより歌詞抜粋

Россия — священная наша держава,
Россия — любимая наша страна.
Могучая воля, великая слава —
Твоё достоянье на все времена!

Славься, Отечество наше свободное,
Братских народов союз вековой,
Предками данная мудрость народная!
Славься, страна! Мы гордимся тобой!



ロシア、聖なる我らの国よ
ロシア、愛しき我らの国よ
力強き意思は、大いなる光栄は
汝が持てる物は世々にあり!


讃えられて在れ、自由なる我らが祖国よ
幾世の兄弟なる民族の結束よ
父祖より授かった民族の英知よ!
国よ讃えあれて在れ!我等汝を誇らん!





かつての共産主義賛美の曲とは異なり、ロシア国家としてのナショナリズムを高揚させる歌詞となり、これがロシア人にとっても評価が良いらしいです。
また、ロシアでは法律によって1日に2度、公共放送で国歌を流すことが義務付けられているそうです。日本での君が代のゴタゴタが瑣末なものに感じてしまいますね。