1939年(昭和14年)
9月 ドイツがポーランドに侵攻 (第2次世界大戦のはじまり)
10月 ソ連がバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)に進駐
11月 フィンランドの冬戦争
1940年(昭和15年)
3月 フィンランドとソ連が和平を結び、戦争終結(モスクワ和平)
6月 ドイツの攻勢によりフランスが降伏
1941年(昭和16年)
6月 ドイツがソ連に侵攻。フィンランドの継続戦争
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フィンランドの子供たちは教科書の冬戦争から何を考え、何を学び、そして未来への教訓としていくのでしょうか。
突如としてソ連の侵略を受けたフィンランドは、マンネルヘイム将軍の指揮のもと戦い、世界の予想に反し善戦しました。これに対しソ連の最高指導者であるスターリンは激怒して軍の無能を強く糾弾し、指揮官を更送しています。
変わって指揮を執ることとなったティモシェンコ元帥は名将と名高く、フィンランドの防備を打ち破るべく入念な準備を開始しました。
左からスターリン、更迭されたヴォロシーロフ将軍、新たに任命されたティモシェンコ将軍。
1940年2月、ティモシェンコ将軍指揮のもと、ソ連軍はフィンランド軍の約10倍という大規模な兵力で侵攻を開始。フィンランドはよく持ち堪えましたが、防御が破られてしまいます。
ただソ連はこの戦争で予想を遥かに上回る犠牲者を出し、すぐ終わるはずだった戦争は2か月、3か月を過ぎても終わらなかったため、戦いを続けることに消極的になっていました。フィンランドはスウェーデン、ノルウェー、デンマークが支援を拒否し、イギリスやフランスからの支援を得られなくなったことでソ連との早期和平を望んでおり、両社の思惑によって冬戦争は終結することになりました。
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--モスクワ和平への道--
西側諸国がフィンランドに援軍を送ろうとしたので、スターリンは敵であるフィンランド政府と和平を締結する用意をした。これはソ連にとって大きな権威失墜であった1940年3月13日にモスクワ講和条約が調印され、その厳しい条項はフィンランド人にとって衝撃であった。
フィンランドはカレリア地峡、ラドガ・カレリア、北部サッラークーサモ地域、ルイバチ半島の西側部分とフィンランド湾の東側諸島を譲渡しなければならなかった。加えて、ハンコ岬は30年間貸与しなければならなかった。しかし、フィンランドは独立を保持した。
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アメリカ、イギリス、フランスといった国々は一様にフィンランドを支持しており、のみならずドイツと手を結んでいたイタリアやハンガリーでさえそうでした。このような政治的立場もあってソ連はフィンランドと和平を結びました。
戦術的には勝利していたはずのフィンランドは和平により、カレリアに住んでいたフィンランド人は難民となって、首都近辺への移住を余儀なくされています。
フィンランドは冬戦争を通じ、国家としての主権は守ることができたものの、多くの領土を失い、この結果がナチスドイツへの接近へ繋がります。
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-ドイツとの協力始まる--
休戦期はフィンランドの陰鬱な雰囲気で始まった。
カレリアを去ってフィンランドに移動した42万人の避難民の居住に加え、孤児や戦傷者の面倒を見なくてはならなかった。
戦争はまた経済的な敗北を意味していた。なぜならば、和平の結果、ソ連側に財貨をおいてきたからであった。
フィンランドはモスクワ和平が果たして守られるかどうかを疑い、軍は動員解除されなかった。
1940年春、フィンランドは他の北欧諸国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)からの支援を模索したが、ソ連は北欧の防衛同盟を構想することを禁じた。
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モスクワ和平が結ばれたのち、フィンランドは北欧諸国との協同を模索しますが上手くいかず、ドイツへの接近を図ります。ドイツと同盟を結ぶことは、イギリスやフランスを敵に回すことを意味することを理解しながら、他に手はありませんでした。
1940年8月、和平からおよそ5か月後にドイツ側からフィンランドに、協同の提案がされました。両国は、1941年4月までにソ連を共同攻撃する
ための交渉をおこなっています。その交渉は中々まとまらなかったようで、長期化しています。
1941年6月、ドイツが突如としてソ連に侵攻をはじめました。この攻撃は完全な奇襲であり、ソ連は意表を突かれて大損害を被っています。そしてドイツとソ連の間で戦争がはじまってから、ヒトラーはラジオを通じ『フィンランドはドイツの同盟国としてこの戦争に参戦した』と内外に発表。
ドイツのソ連侵攻から3日後、フィンランドはやむなく参戦することを決定。冬戦争で奪われた領土を取り戻すために始めたこの戦争は、時期を取って【夏戦争】あるいは【継続戦争】と呼びます。
フィンランドの目的はただ1つ、ソ連に奪われた領土を取り戻すことに他ならず、ドイツとの同盟も国家の主権を護るためでした。しかし、アメリカやイギリス、フランスはこの事情を汲み取ることはなく、『フィンランドはナチスの同盟国』として敵視し、フィンランドへ宣戦布告を行っています。
こうしてフィンランドは望むと望まざるとに関わらず世界大戦へ深く関わることになったのです。