19世紀中盤から後半にかけて、北欧ではスカンジナビア主義と言う概念が勃興し、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの三国を一つの国として統一しようという動きがあった。



しかし、この動きは同時期にドイツで激化の一途をたどっていた大ドイツ主義ほど大規模なものにならず、結局は1905年にノルウェーがスウェーデンとの連合を解消して独立国となり、カール15世(1859~1872年)を筆頭に訴えてきた汎スカンジナビア国家の設立は夢に終わった。



だが、この動きはこの時点で完全に断絶されたわけではなく、第二次世界大戦前後に中立防衛同盟形成運動へと姿を変え、微弱ながらも北欧諸国の意思決定に影響を与えた。




もし、連合国枢軸国共産国の対立による緊張が欧州全土を包み込みつつあった1930年代に、再びスカンジナビア主義がスカンジナビア半島で燃え広がったとしたら。



もし、スカンジナビア半島を軍靴で蹂躙した侵略者が、統治の道具としてスカンジナビア主義を利用したとしたら。



果たして、北欧諸国はどのような運命を辿ることになったであろうか?





というIFシナリオ。





デンマーク、スウェーデン、ノルウェー

これらの国々はかつて一つになろうとする動きがありましたが、それは世界情勢の中で非現実的なものとして実現しませんでした。しかし第二次大戦期において北欧の国々はバラバラに動いていたために、各国は凄惨な傷を負うことになります。



ノルウェー→ドイツに占領される

デンマーク→ドイツ占領される

スウェーデン→不干渉を決め込む

フィンランド→孤立無援でソ連と戦う



その反省から、大戦後に北欧理事会が設立されたという背景があります。

しかし、史実でバラバラだった北欧の国々が、もしも一つになったら...一体どうなっただろう?というIFが今シナリオ。

このIFシナリオは、1936年のスウェーデンでゲーム開始することでイベントを進めることができます。




ドイツやソ連と言う脅威が、北欧統一を促進したということになっています。

汎スカンディナヴィア主義の再燃です。





開始直後に、連邦形成イベントが発生するのが特徴。

形成するを選択すると、3国が連邦を組みます。









これによって成立するスカンディナヴィア連邦

デンマーク王室とスウェーデン王室が共存する緩やかな連合で、国家元首はスウェーデン王。

19世紀初めより続く、ベルナドッテ家です。

14世紀に存在したカルマル同盟、北欧統一の夢がまさに実現したのです。




スカンディナヴィア連邦は、基本的には枢軸国と連合国双方に対し好意的中立を守っているため、何もしなければ大戦に巻き込まれることはありません。

ソ連という脅威も、フィンランドという緩衝国の存在で直接の被害を被ることもないでしょう。


殻にこもり、産業発展に尽力すれば、大戦後に疲弊した主要国に代わり列強になり替わることも可能です。







首都も新たに選定。三王国に繋がりのあるイェーテボリを首都にします。


また、今回は民主的政体ではなく、若干の独裁色を強めていくため、

選挙イベントを上手く活用しました。


権威的民主主義。戦前日本のような、ファシズムではないけれども、多少の制限がある民主主義政体です。


ただし、このゲームにおける『権威的民主主義』は独裁制に分類されるため、選挙イベントの類が一切発生しません。




●スカンディナヴィアの工業力

20(スウェーデン)→50(スカンディナヴィア)に変化。

国力増強とはいえども、ドイツやソ連の半分にも満たないため、軍備を整える前に工業力を伸ばさなければいけない。



●軍備

陸軍は言うに及ばず。装備、士気、規模、全ての面でドイツとソ連には敵わない。従って、真正面から戦うのはNG。独ソを一手に敵に回すなんてのはもってのほか。戦うのであれば不意を突くしかない。




●方針

ナチスドイツ、およびソ連の両者を打倒し、北欧帝国によるあらたな欧州秩序を創りだす。もちろん、その秩序からは英仏を締め出す。



最初は連合国に加盟し、独ソとの技術力の差を少しでも埋めます。

ただし、英仏の為にドイツと戦うつもりは毛頭ないので、戦争勃発の直前に連合国からは脱退する予定です。




大国ソ連。

スターリンの粛清直後で基盤は脆弱ながら、極めて巨大な陸軍を保持しており

ナポレオンすら退けた冬将軍に護られる国土は鉄壁。


フィンランドと言う緩衝国があるので、しばらくは放置します。

フィンランドにいなくなられると困るので、スカンディナヴィアの枠組みには入れない。






覇権主義のドイツ。

世界でもトップクラスの統制を保つ軍隊で、

欧州に新たな秩序確立をもくろむ。


スカンディナヴィアとしては、真正面からドイツと戦っても勝ち目はないので、黄色作戦の発動に合わせて、宣戦。

このタイミングを持って、機甲師団を用意して一気にドイツ本土を占領する。





宥和政策まっただ中の、チェンバレン内閣イギリス。

世界一級クラスの海軍を持ちますが、陸戦ではまったく当てになりません。

ゆえに、味方として戦っても当てにならない。



アジアの列強国、日本。

おそらく今回はほとんど接触はないだろうが、もしもソ連を倒せたらアジアに進出したい。そのために障害となるのは間違いなく日本。



1936年におこるスペイン内戦。

この世界では共和派が勝利し、スペイン共和国が存続した。

政体も近いし、将来を考えてスペインとの同盟を打診したが...。





同盟を打診しても、全く脈なしでした。

現状、スカンディナヴィアと組むつもりはないらしい。
将来的な心変わりに期待するしかない。



1937年7月、支那事変始まる。




この世界の日本は、国民党相手にしょっぱなから泥沼の長期戦に陥っていました。

局地的に戦闘に勝利しながらも、中国の人海戦術の前に進軍を阻まれ、黄河で攻勢限界に達する始末。



一応、蒙古と華北政府を樹立させるも、烏合の衆。

戦線には全く影響していません。














1939年9月、ドイツがポーランド侵攻を開始。

これに呼応しソ連はフィンランドへの侵攻を始める。

いわゆる冬戦争です。



戦争の災禍に巻き込まれる北欧ですが、この状況で、スカンディナヴィアはずっと指をくわえて見ているわけにはいきません。


ドイツの拡大を傍観した場合、史実通りにフランスは降伏すると思われます。

そののち、ソ連との戦いにおいて間違いなくドイツはスカンディナヴィアに協調を【要請】してくるでしょう。その場合、スカンディナヴィアの中立は危ういものになります。


また、ソ連のフィンランド侵攻を黙って見ていた場合、遠からずフィンランドはソ連に屈し、スカンディナヴィアにとっての緩衝国は意味を失います。

フィンランドが枢軸に協力をしても、またいわゆる『フィンランド化』はスカンディナヴィアにとって非常に危険な状況を迎えます。





★冬戦争(ソビエト連邦視点)


【独ソ不可侵条約を締結したことで、ソ連は自らの勢力圏と定められた地域で思うがままに影響力を行使できるようになり、その結果バルト海諸国を無血併合した。


だがフィンランドだけは同様の要求に屈しなかった。

外交圧力がだめなら、武力を使うしかない。


ソ連の作戦計画に書かれたように、オウルに進撃してフィンランドを南北に分断すると同時に、南からヘルシンキに向けて攻勢をかければ、数週間以内に片がつくはずである。


その後の統治は、すでに編成されている忠実な共産主義者の傀儡政権に任され、現地の労働者階級もそれを支持するはずだ。

これがうまく行かない理由など、どこにも見当たらない。】










※画像は別シナリオのものを代用

この戦争は当時露骨な侵略戦争と非難され、ソ連の国際連盟追放の要因になりました。

イギリスやフランス、イタリアなどの国は、フィンランドへ物資、援助を行おうとします。


ただし、フィンランドへ物資や軍隊を送る際は、スカンディナヴィア半島を通過する必要がありますが、それに対しドイツ政府は声明を発表します。

「フィンランドへの援助はいかなる場合も認めない」と北欧を恫喝し、恐怖したノルウェーもスウェーデンも、米英仏のフィンランド援助の為の通行を拒否。


その結果、フィンランドは実質的に孤立無援のまま、ソ連と戦うことを余儀なくされました。







今シナリオにおいてスカンディナヴィアは勿論、直接的軍事介入を選択します。これによって、スカンディナヴィアは成立後にして初めての対外戦争に突入。

しかし、スカンディナヴィアは一切何もしません

『フィンランドのために参戦した』という口実が必要なので、初めから勝ち目のない戦闘に、貴重なスカンディナヴィア軍を消耗させる気はかけらもないのです。

そしてフィンランドはまもなくソ連と講和。

『フィンランドのために参戦する!』と発表したスカンディナヴィア連邦は国境から一切動かずファニーウォーをやらかす。

これに対してフィンランドはさぞ憤慨しただろうが、やむなくスカンディナヴィア連邦加盟の申請をしてくる。


が、今回は拒否。緩衝国を直接統治するなんて愚考はしません。

まだまだフィンランドには利用価値がある


●1940年5月

ドイツ、黄作戦発動。

ベネルクス侵攻開始。


1週間後、スカンディナヴィア連邦、ドイツに宣戦布告。



この時点で、スカンディナヴィア軍の兵力はおよそ30万人。

および戦車2000。この兵力を持って一気に進軍しドイツ中枢を即座に押さえます。

フランス方面に侵攻しているドイツ主力が引き返してくる前に、ドイツ軍の補給線を途絶させる。







ポツダム包囲戦。

ドイツ本土防衛軍1個軍を包囲殲滅することに成功します。

開戦から2週間足らず→ベルリンを占領

この状況下で、ヒトラー政権はオストマルクのウィーンを臨時首都として抗戦を表明。


スカンディナヴィアは、これから先の方針を決める必要があります。




シュレースヴィヒ・ホルシュタインなどの歴史的に縁ある土地にとどめるか、ドイツ本土全てを征服するか。後者の場合、世界の信用を大きく失います。

ただ今さらイギリスやフランスの顔色など窺う必要はありません。

かつてのバルト帝国の夢よ再び。『全てを取り返す』を選択します。






フランス方面に進軍していたドイツ軍は、スカンディナヴィアの補給線遮断が成功したことで陸路の補給が不可能に。海路はイギリスの王立海軍が目を光らせているためになおさら不可。


西部戦線では逆に追い詰められるドイツ機甲師団の姿がありました。

そんな中、信じられない事態が起こる。


フィンランドのリスト・リュティ政権、ドイツと同盟締結を宣言。

連合国陣営およびスカンディナヴィア連邦に対し宣戦布告。



...信じられない。スカンディナヴィア連邦とは、冬戦争では一緒に戦ったであろうに。スカンディナヴィア軍はなにもしなかったけど



恩知らず、いや身の程知らずとも言うべきフィンランドには制裁を加えねばならないでしょう。緩衝国たる国が、その役目を果たせない時どうなるか、身をもって知るが良い。