鉄道車両と自動車を見比べてみると、実に多くの共通性が見られます。
例えばハイブリッド車と言えば日本の“お家芸”とも言う技術です。しかし近年では鉄道車両にもハイブリッド車が出始めました(例:八ヶ岳の麓を走る小海線のキハE200)。とは言え、自動車向けハイブリッドもまた鉄道車両の技術の応用です。例えばハイブリッド車では、交流三相モータを発進時は駆動用に、停車時は回生制動に使います(モータが発電機となるため)が、これはインバータ制御の鉄道車両の技術を応用したものです。実際鉄道車両の回生ブレーキを含めた電気制動は、重い鉄道車両を止めるべく極めて強力であり、初期のプリウスは回生制動が強すぎて「カクッ」と止まるブレーキでした。
あと近年乗用車・商用車問わず付いているABSも、元々は鉄道車両の滑走防止装置を転用したものです。ちなみに、日本で初めて滑走防止装置を装着した鉄道車両は、初代新幹線車両である0系です。
現在、日本において、ディーゼルエンジンを積んだの鉄道車両の主力は液体式(トルクコンバータ)となっています。言うまでもなく、これと同じなのが自動車のトルコンATです。そして自動車のトルコンATも、近年のはほとんどが直結機能(=ロックアップ)付になりましたが、鉄道車両の液体式変速機は1950年代、すなわちごく初期から直結機能を搭載していました。余談ですが、デンマークではクラッチレスMTを採用したディーゼルカーがあるそうです。ヨーロッパで自動変速式のクラッチレスMT(VWのDSGなど。GT-Rやランエボにも似たシステムが搭載されている)が広く採用されているため、鉄道車両にも応用出来たのでしょう。
また、多くの鉄道車両、とりわけ新幹線車両に搭載されているセミアクティブサスペンションは、自動車にも似た物が搭載されています。TEMS等の電子制御式サスペンションがそれです。加えて、少し前の高級車にはオプションで100万円以上するアクティブサスペンションが搭載されていました。そのアクティブサスペンションは現在東北新幹線の一部車両(はやて、はやぶさ向け)に付いています。
そして、これは技術そのものではないのですが、自動車・鉄道車両共に特殊なものを除きほぼ国産で賄われているということです。とりわけ鉄道車両は、大正時代から今に至るまで一部の特殊な車両(例:広島のグリーンムーバ等の外国製の超低床路面電車。ただし近年の超低床路面電車は全て国産)を除きほぼ国産で賄われて来ました。自動車も、戦後間もない頃は一部の高級車は輸入に頼らざるを得ませんでしたが(実際皇室専用車は1967年に日産・プリンス・ロイヤルが出るまではキャデラック等の外国製を使っていた)、今日ではどうしても外国製でなければならないケース(例:連節バス)を除きほぼ国産で事足ります。