■2024年はピエール中野のバンド加入から20年の節目の年。

TKと345に感謝を伝え、

「バンドっていいよね!」 





“ピエール中野”の名前は、スティック回しがピエロのようだったことから付けられた 


【ライブレポート】※ネタバレあり 8月9日、凛として時雨が

『凛として時雨 TOUR 2024 Pierrrrrrrrrrrrrrrrrrrre Vibes』の東京公演をZepp Hanedaで開催した。

バンドは2023年にメジャーデビュー15周年を迎えたが、

2024年はピエール中野のバンド加入から20年という節目の年。

今回のツアーはそれを記念して東名阪で行われ、貴重なセットリストでオーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ。

 ライブはレゲエ/ダブの要素を含んだ凛として時雨らしいサマーソングでスタートし、

ピエール中野がさっそく軽快なスティック回しで盛り上げると、

ライブ序盤に早くも『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice 3』の主題歌となっている最新曲「Trrrrrrrrrrrrrrrrrrrue Lies」を披露。

ピエール中野の誕生日である7月18日にリリースされたこの曲は、

TKの低音のデスボイスをフィーチャーしつつ、

息をつかせぬプログレッシブな構成が実に時雨らしく、

ラストのカオティックな展開に至るまで、

まさに真骨頂の一曲だと言える。

 ライブ前半はアッパーな楽曲がカラフルな照明とともに次々演奏され、

TKの卓越したギタープレイや345の伸びやかなハイトーンが高い熱量で臨場感たっぷりに届けられていく。

ディレイのかかったギターと回転する照明によって、

まさにトルネードのような雰囲気を作り上げた「竜巻いて鮮脳」では、

ピエール中野がスティックを高く掲げ、

8ビートでパンキッシュに疾走するラストの展開で、

この日最初のハイライトを作り出した。 

途中のMCで、TKが「いろんな曲で皆さんを揺さぶろうと思ってます」と話したように、

今回のツアーは近年あまり演奏されることがなかったレア曲が多数演奏されていることも大きな特徴。インディーズ時代の楽曲、

シングルのカップリング曲、凛として時雨としては珍しいアコギを用いて、

TKと345がともに座って演奏する曲など、

イントロと同時にオーディエンスからは「おー!」という驚きと喜びのリアクションが続出した。

その一方で「DISCO FLIGHT」や「Telecastic fake show」といったライブでの定番曲ももちろん披露され、

このセットリストは長くバンドを追いかけているファンにも、

最近知った新しいファンにもたまらないものだろう。





ライブ後半では、ピエール中野が恒例となっているドラムソロを披露し、

手数も足数も多いアグレッシブなプレイでオーディエンスを魅了。

続くMCは、やはり今回のツアーがピエール中野の加入20周年を記念したものであるためにいつもよりも長めで、

「セトリがやばい。緊張感が半端ない」と笑いつつ、

インターネットの掲示板で凛として時雨に出会ったこと、

北越谷のリハーサルスタジオで正式な加入のオファーを受けたこと、

当時からやっていたスティック回しがピエロみたいで、

そこからピエール中野という名前になったことなど、

20年前の思い出を感慨深く語る場面も。

TKと345に感謝を伝え、

「バンドっていいよね!」と叫ぶと、

場内からは大きな拍手が贈られた。 

ピエール中野のMCの最後に、

こちらも恒例となっているXジャンプで場内にさらなる一体感が生まれると、

ライブ終盤では「狐独の才望」や

「アレキシサイミアスペア」といった比較的最近の楽曲を並べて、

現在のバンドのモードを伝えていく。

過去の曲と最新の曲を混ぜることによって、

表現の軸に関してはいっさいブレることなく、 この3人で確かな進化と深化を遂げてきたこの20年の歩みが確かに感じられる。

ラストは今回のツアーの締め括りにふさわしい“あの曲”が演奏され、

ピエール中野は再びスティックをくるくると回し、

すさまじいフィードバックノイズとともにライブが終了した。 

ツアーは残すところ、

8月22日の東京・Zepp DiverCityと、8月30日の愛知・Zepp Nagoyaの2本。

バンドの歴史と最新の姿を同時に体験できる貴重なライブを、ぜひとも体験してほしい。 

TEXT BY 金子厚武 P

HOTO BY Takayuki Okada ※ライブ写真 


リリース情報

 2024.07.18 ON SALE DIGITAL SINGLE「Trrrrrrrrrrrrrrrrrrrue Lies」 THE FIRST TIMES編集部