あらすじ
ある夏の日差しがジリジリと照りつける日、
善良な男が旅をしていました。
村はずれの広い野原で、
カエルを狙っている蛇に気が付きました。
憑りつかれたように凝視する男の目の前で、
蛇はカエルに食らいつき頭から飲みはじめました。
男は思わず、
竹棒でやたらめったら蛇を打ち据えました。
打たれた蛇はぐったりしてカエルを吐き出しましたが、
それでも男は竹棒で繰り返し打ち続けました。
その夜、
旅から帰った男はひどい寒気に襲われ寝込んでしまい、
ガタガタと何かに怯える日々を過ごしました。
そんなある日の事、
男の家に目の不自由な巡礼の娘が立ち寄り「病で困っているご主人を看病してあげましょう」と言い、
泊まり込んで男の世話をする事になりました。
かいがいしく世話してくれる娘に、
女房はいい人が来てくれたと喜びましたが、
男の病は悪くなる一方でした。
そこへ、一人の山伏が男の家に立ち寄り「コウノトリの卵を飲ませると治る」と言いました。
この卵は「二十歳前の未婚の娘が取って来ないと効き目が出ない」という事で、
巡礼の娘が採りに行くことになりました。
コウノトリの巣のある大木を登っていった娘が鴻の巣へ入ると、
コウノトリの鳴き声が聞こえ、
それっきり娘は降りてきませんでした。
実はこの娘は、あの時打ちのめした蛇の化身で、巣に入ったところでコウノトリに食われてしまったのでした。
そして山伏は、あの時助けたカエルの化身で、
蛇が男を呪い殺そうとしていることを知って助けに来たのでした。
その後、男の病はすっかり治りました。