2024年度前期連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)に出演する花岡悟が一足早く退場を迎えた。そんな花岡を演じたEXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田剛典(いわた・たかのり/35)がモデルプレスら報道陣のリモート取材に応じ、花岡の最期に思いを馳せた(※取材は4月上旬)。<インタビューVol.3>





◆伊藤沙莉ヒロイン「虎に翼」
 


第110作目の連続テレビ小説となる本作は、日本初の女性弁護士である三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんをモデルに描くリーガルエンターテインメント。主人公の猪爪寅子(いのつめ・ともこ/通称・トラコ)を、ヒロインの伊藤沙莉が演じる。



そして岩田演じる花岡は、社交的で学生たちの中心的な人物。寅子にとっても気になる存在だった。


 
◆岩田剛典「花岡は武士だったんだ」最期を語る
 
― 栄養失調で餓死という衝撃的なラストを迎えた花岡ですが、台本を読んだときの印象は?
 
岩田:多くは語らず思いを馳せながら身を引くところに、武士らしさを感じました。途中で再登場したシーンでは婚約者を連れていて、そのときは「なんて奴だ!?」と思うわけですよ。取っ替え引っ替えというか、あれだけ寅子に対して恋心を抱いているように見せときながら切り替えが早いなと視聴者の皆さんは感じると思うのですが、実はそこの切り替わった裏側も徐々に明らかにされていきます。一方で、すごく男らしいところもあって、相談もせず決めるタイプなんだなとも感じましたし、決断したことは人に何を言われようとも変えない“男に二言はない”というような武骨さも含めて「花岡は武士だったんだ」と思いました。
 
― 花岡の最期については、オファーを受けたときから知っていたのでしょうか?
 
岩田:花岡にはモチーフになった方がいらっしゃるので、オファーをいただいたときから知っていました。花岡は当時の食糧管理法について自分の信念を貫き、餓死で死んでしまいます。現代の日本だと餓死なんてほとんどないと思いますので、最初はリアリティに欠けるような印象を受けましたが、最終的に餓死で亡くなるんだということを念頭に置いたうえで初登場シーンの「ごきげんよう」も言っていました。



◆岩田剛典、花岡悟の半生を演じた思い・意識していたこと
 
― 花岡の半生を演じるにあたり、感情の出し方や振る舞いなど大事にしていたことや気をつけていたことはありますか?
 
岩田:ベースで言うと、学生役なので声のトーンや表情、姿勢などを意識しました。また男性社会の中だと、ヒエラルキーの中では上の位置にいる生徒だと思うので、その中で自分の立ち振る舞いに対して自己満足しているような人、言わば小心者だなという捉え方をしていました。でも寅子という異質な存在が率いる“魔女5”(寅子の明律大学女子部の同級生)から感化され、物事の捉え方が柔らかくなっていくことで、女性目線の気持ちも理解してきて、女性が夢を追う志に対しても寄り添えるような考え方を持っていきますし、花岡自身も崖から落ちた日から徐々に本音を話せるようになっていきます。なおかつ恋心なのか、純粋に応援したいという思いなのか…きっと両方あると思うのですが、寅子に対して様々な思いを馳せながら最終的には自ら身を引いていく。そして引くときにも1本芯は通っていて、自分の信念を曲げずに生きていくことを誓うと轟(戸塚純貴)に言うシーンがありますが、その通り信念を貫いた結果、自分の命を落としてしまうという…なかなか現代にはいないぐらいの武士っぷりですよね。こうした花岡という人の人生の流れは最初から脚本で読んでいたので、その思いを踏まえながらできたので演じやすかったです。


◆岩田剛典、伊藤沙莉を称賛「彼女自身のフランクな性格が作品の血として通っている部分がすごく大きい」
 
― 一足先の退場となりましたが、岩田さんから寅子こと伊藤沙莉さんに一言お願いします。
 
岩田:沙莉ちゃんは本当に立派な座長さんだと思いますし、心身ともに強くて度胸があって「なんなんだこの人は!?」と思ってしまうようなパワフルな女優さんです。今回共演できてすごく嬉しかったですし、機会があればぜひ別の作品でもご一緒できたら光栄です。また仕事面での魅力だけではなく、彼女自身のフランクな性格が作品の血として通っている部分がすごく大きいかなと思います。やっぱり彼女がこの作品を作ってくれていますし、包み込んでくれているような気がして僕にとっても大好きな作品の一つになりました。
 
― 花岡の思いを寅子に託した部分もあるのでしょうか?
 
岩田:いや、(花岡は)武士なので人に背負わせることなんてないですよ(笑)。もう“死人に口なし”ですね。それもきっと花岡の美学なのではないかと僕は勝手に解釈しています。もちろん、共に学生時代を過ごした思い出があるので、残された者の宿命というか、辛さというのは寅子も含めて同級生皆さんにあったかなと思いますが、そこで僕が何かを背負わせようという思いでは演じていませんでした。



― 今後、この作品で得たものをご自身の活動にどう生かせると思いますか?
 
岩田:まだ登場してないので皆さんがどのように観てくださるのか、どんな風に活動に昇華していけるのか想像がつかないところでもあるのですが、「虎に翼」を通じて“こういう人間がいるんだぞ”ということを知っていただけるきっかけになればという思いは常々持っています!(※インタビューは4月上旬)
 
― ありがとうございました。
 
(modelpress編集部)