フランスでは一般的に若さよりもワインのように成熟した知的でエレガントな女性が人気だ。

仏女優ジュリエット・ビノシュ(60歳)もまさにその代表格のひとり。

年齢を重ねてこそ手にすることができるもの、

そして彼女が人生で常々大切にしていることとは?





Apple TV+で2月から配信がスタートした、

クリスチャン・ディオールココ・シャネルの伝記ドラマ「ニュールック」に出演中のフランス人女優ジュリエット・ビノシュ(60歳)。

ナチスによるパリ占領の時代を舞台にした本作では、

ファッションアイコンのココ・シャネルを演じている。



オートクチュールブランドを代表するシャネルを立ち上げた天才ココ・シャネルは当時、

敵国ドイツ将校との愛人関係にあり、

ナチスの情報工作員としても活動していた。



「ココ・シャネルについては当初あまりよく知らなかったけれど、彼女の人生を掘り下げることに興味があった。

彼女の複雑なキャラクターを魅力的だと感じた」と語ったジュリエット・ビノシュ。

ジュリエット自身もまた自由奔放な性格で、

これまで4度もプロポーズを受けたにも関わらず、一度も結婚することなく、ラファエル(22歳)とハナ(17歳)を産み育ててきた。

そして子育てが一段落した60歳の今、人生を謳歌している



■年齢と引き換えに自由と強さを手に入れられるジュリエット・ビノシュ(60歳)は、以前、年齢について尋ねられた際、次のように語っている。「フランス人女性は40歳で花開く。

年を重ねると、価値観が変化し、より自分らしくなれる。

加齢とともに自由が手に入れられるわ。

さらに強さも加わる。

(加齢を恐れている)あなたが直面しているのは年齢や数ではなく、

満たされていないから、愛されていないからなのだと思う。」

 また先日、エンターテイメントチャンネル「ScreenSlam」のインタビューで「エイジング」ついて意見を求められると、

次のように告白した。

「私は年齢を考えるのではなく、自分自身のエネルギー、トレーニング、毎朝のストレッチ運動にフォーカスしている。

(年齢とともに)自分のニーズが変わってきていることを受け入れ、今の自分の人生を受け入れて、できる限り最善を尽くす必要がある。」






■自分の価値観を明確化し、残りの人生を楽しむ年齢は気にしない一方、

人生のリミットは常に意識しているという。

「時間が限られているので、

自分が今からどれだけ生きられるかを考えている。

これから最長で20年、30年程度しか生きられないかもしれないと考えると、自分が何を必要とし、何を望んでいるか、何を与えたいか、ということを考える。

そうすると、自分の価値観がより明確になってくる」と述べた。

 また、「明日死ぬかもしれないので、未来にあまり自分を置きすぎず、過去にも過度にこだわらず、

現在を生きることが大切だと思う。

今を大切にし、自分がしていることに集中することが重要。

私たちは、変化と成長、そして美しい何かを成し遂げるために地球上に存在しているのだと思う」と自身のエイジングに対する考えを語った。


 ■様々な創作活動を楽しむジュリエット・ビノシュはダンスや絵画など様々な創作活動に取り組んでいる。

「いろいろなことに挑戦するのって良いでしょ?


すべてをマスターする必要はないと思うわ。

好奇心を持ち続けることは楽しいし、

アートとは、自分を通して生まれてくるものを知ることだと思う」と語り、多方面にアンテナを張っており、好奇心旺盛な様子がうかがえる。



■定期的にセルフメンテナンスを行うジュリエット・ビノシュは仕事のない期間を 


「リペアタイム(修理の時間)」と呼んでいる。「20代であろうと80代であろうと、運動することは常に良いことだし、必要なこと。

自分の身体と向き合うことは常に重要よ。

役者ならなおさらね、身体はツールだから」。

そしてプライベートな時間には祈りも欠かさないという。

「祈りはとても大切。魂と心の栄養になるから。心を開く場所へと私を引き上げてくれる」。



 出典:Oscar winner Juliette Binoche sees freedom, strength in agingJuliette Binoche talks about ageing | ScreenSlam 


 文/山口華恵