EXILE NAOTOが渋滞中だ。

先月3月20日に自身が率いる

ヒップホップグループ、HONEST BOYZがファーストアルバム『HBZ』を配信リリースし、

翌21日にはファースト写真集『Onestà』を発売。




4月7日からは自身初となるソロツアーも始まった。

不惑を迎えた彼に、今のHONEST(正直)な思いを聞いた。 

 EXILEらが所属するLDH JAPANには、

いくつものプロジェクトを掛け持ちし、

いろいろなアプローチでエンタテインメントを届ける人物は少なくないが、

EXILE NAOTOも間違いなくその1人だ。

EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSで活躍。VERBAL(m-flo / PKCZ)、SWAY(DOBERMAN INIFNITY)、MANDYこと関口メンディー(EXILE / GENERATIONS)からなるヒップホップグループのHONEST BOYZのリーダーであり、そしてアパレルブランド「STUDIO SEVEN」ではディレクターを務める。  






3月末、都内のスタジオで話を聞いた。

「いっぱいあるんですよ、今週は。

今週なんですよ、全部!……いろんなことが噛み合ったらこうなってたみたいな」と、EXILE NAOTO。屈託のない笑顔にこちらもつい笑ってしまう。 

 先日、ファースト写真集『Onestà』(幻冬舎)を出した。

タイトルは英語のHONESTをイタリア語で、NAOTOが自身の活動で使う屋号ともいえる「HONESTBOY」から取ったもの。

HONESTBOYは自身が親からもらった直人という名前に由来するという。

  昨夏、40歳になった。以前に写真集の話もあったというが、なぜ今、このタイミングで写真集に”挑戦”したのか? 


「写真集のようなもの? そういうのを出しませんかという話があったのはもう随分と前のことになります。

ただ、その時は自分が写真集を出すイメージがつかなかった。

写真集って、めちゃくちゃイケメンだけに許された世界みたいなイメージで、

自分はそんなつもりは全くないから(笑)」 

 そんな思いを動かしたのはファンの声。

「この写真集は、自分が作ったというのも確かにあるんですけど、

ファンの皆さんと一緒に作ったと思っています」と、NAOTOは言う。 




 昨年、三代目 J SOUL BROTHERSはライブツアーと並行し、ファンと触れ合うミーグリ(Meet & Greet)ツアーも行った。 

「ミーグリツアーではファンの方々とかなり近い距離で会話ができるんです。

ただ、ファンの方々にしたら(会話ができる時間は)数秒……その限られた時間で、写真集待ってます!って。待ってくれてる人がそんなにいるんだなって思いました。

そのほかにも、”HONEST BOYZのアルバム出してください!”だとか、”ソロツアーやってください!”っていうのもありました。

……それを全部やろうって思って。

そしたら今、アルバムと写真集が一緒に来て、

まもなくソロツアーも始まるっていうことになっている(笑)」






写真集の準備は、本人によれば「7月?8月?……そんなわけないか、その少し前。初夏ぐらい」からスタート。

撮影地は、あこがれていたイタリアのシチリア島に決まった。

 「打合せをしていく中でロケ地はどうするかってなったときに、言ってみたんです、例えばシチリアはどうですか?って(笑)。

シチリアはあこがれの場所でしたけど、遠いし、実現するとは正直思っていませんでした。

でも、最高のチームに恵まれましたね。

最初の写真集でいけるなんて夢みたいな話です。  なぜシチリア島にあこがれていたかっていえば映画です。

ジャン・レノの『グラン・ブルー』が大好きで、舞台はシチリア。

他にも『ゴッドファーザー』『マレーナ』、

『ニュー・シネマ・パラダイス』もそうですよね。あと漫画もです!





『ジョジョの奇妙な冒険』は、シチリア島の隣りのサルデーニャ島に行くんですけど、

海を渡るときにスタンド攻撃を受けてね……

そういうのを見て、行きてぇ!って思ってました。」  

パレルモ、そしてタオルミーナと移動しながら、丸3日間で撮影した。

 「感動したのは、やっぱり街並みかな。海外に行って、特にヨーロッパに行くと、歴史をそのまま今も大切にしているのが分かって。

外側は古い建物なんだけど内部は最近のお店が入ってたり……

そういうのが当たり前のようにある。

日本にも京都であるとか残っている場所はありますけど、

東京のド真ん中ってなると。

火災もあったり、

自然災害が多い国だから仕方ないんですけど、

ちょっとあこがれますよね」 

 海辺で、街中で、ホテルの一室で、

ずっとカメラを向けられ続けた。 

「撮ってる最中はわりと無心な感じでした。

カメラを全く意識しないなんてことは無理だし、飾ってる部分もあるけど、

できる限り、素の状態も見てもらいたいし。


素といいつつもそれが素ともいえないし、

素って何だろう?

みたいなところにもなるんだけど(笑)、

これまで見せてきてない部分を詰め込まないと意味がないと思ったし。

ただ、カメラマンがちゃんと狙ってくれてるんで。

上がってきた写真を見て、ここ撮ってくれてたかって思ったりしたものもありますね」  

そのなかに自分が知らなかった自分の表情はあったかと聞いてみると、 

「うーん」と少し考えて、

「水の中に入ってブクブクしている顔とか? 

こんな顔するんだなあって(笑)。

オネストに答えると、そういう感じ」  

”聖地巡礼”もしっかりしている。

 「(写真集を作るにあたって)映画で見たあのシーンの場所でこんな写真が取れたらなとかイメージを膨らませていたので、

『グラン・ブルー』に出てくるレストランで撮影できたのはうれしかったなあ。

ジャン・レノが演じるエンゾのお母さんがやっているレストランなんです……

皆さんにもぜひ行っていただきたい!」 

 まるでつい先ほど帰ってきたばかりかと思うほどのテンションで、シチリア島を満喫したのかビシビシと伝わってくる。






シチリアの美しい風景を背景に見せるさまざまな表情はもちろん、

NAOTOの美しい肉体もまた写真集の見どころだ。  

普段の「パフォーマンス能力を上げることと怪我をしない体を作るのが8割、

残りが魅せる」という目的のトレーニングに比べて、少しだけ写真集よりに。

「撮影前はさらに追い込みました」と本人。

 「食事制限をしたり、今までやったことがない”水抜き”も経験しました。

水を抜かないと、この表紙のような感じにはならないんですよね。

なんていうのかなあ、

筋肉と皮の間がない感じ(笑)。

健康的にはどうかわからないけど、

写真で見るという上ではいいのかなって、

ちょっとチャレンジしてみました。

友達にトレーナーがいるのでアドバイスしてもらって」 

 3月末の写真集の発売イベントでも話していたが、

写真撮影直前は干し芋を食べて過ごしたという。「飛行機では機内食は断って干し芋……トレーナーにも今から干し芋を食べます!って報告してました」。

友人のトレーナーから干し芋は口にしていいと言われたんだそう。 

 グルメなNAOTOが美食の地であるイタリアで干し芋とは切ない話だが、

シチリアに到着して露出多めのシーンを初日に撮影して、お楽しみの食事に出かけたという。

抜かりない。

 「結構リサーチして行きたいところを選んでいったんですが

なかでも一番行ってみたいと思っていたレストランを表紙の撮影の後に組み込んでご褒美にしたんです……

最高でした、最高!! 海に囲まれた街なのでお肉というよりは魚介、

魚介系のパスタとカポナータ、

アランチー二っていうライスコロッケみたいなやつがあるんですけど、

これがめっちゃうまいんですよ。

街にアランチー二屋がいっぱいあったんですけど、

おにぎり屋みたいな感覚なのかなあ……」  

おいしいものの話になったら語りは加速。

撮影地にシチリアを選んだ理由は食事の部分もあったのでは?と聞くと、

「ははは。それを言ったらイタリアはどこでもうまい」。  

完成した写真集はずっしりと重い。

「いろいろなところが出ている」という写真はもちろん、

さまざまなNAOTOの表情が詰め込まれている。

そして自身の半生を綴ったエッセイもあり読みどころも十分。

NAOTO自身も「写真集、やって良かった!」と満足そうだ。





ファンの声から制作に拍車がかかったHONEST BOYZのファーストアルバムも歓迎されている。

DEAN FUJIOKAをフィーチャーした「TOY BOY feat. DEAN FUJIOKA」を筆頭に、PKCZとのコラボ曲「Put Your Hearts Up feat. PKCZ」、

Chaki Zuluのトラックによって仕上げられ、

サビをNAOTOが歌う小沢健二の「ラブリー」など全8曲。

とにかく濃厚。短いとはいえなくなったグループのヒストリーのなかで、

ようやく出した初めてのアルバムなのだから、

当然と言えば当然でもあるのだが……。 




「HONEST BOYZって、

こんな言い方はちょっとすごいあれですけど、

正直言っちゃうと、

好きなことだけを好きなタイミングにできるグループなんですよ。

本当はそんなのが許されるわけがないんだけど(笑)。

だから、HONEST BOYZはオアシスですよ、

心の。だって楽しさしか詰まってないんだから」  この作品を携えて、

NAOTOは初めてのソロツアーに出ている。 

「リハーサルを始めたら完走できるのかなっていうぐらいのとんでもない体力の消耗で。

でも、めちゃくちゃ面白いです。

HONEST BOYZとしてのツアーなら、

みんなでラップをしてという事にもなるんでしょうが、

基本は僕ひとりなので、

パフォーマーとしての側面が強いツアーになります」  

ライブには、後輩のKID PHENOMENONが同行し、ステージを盛り上げる。

「彼らも本当にアーティスト。

一緒のステージに立ってお互いに勉強しあいたい」と話した。 

 2024年も4分の1が過ぎたところだが、

HONEST BOYZのファーストアルバム、

初写真集、そしてソロとしての初ツアーと、

初尽くしの春。

この後もさまざまな挑戦をしながらグループやソロでエンタテインメントを届けてくれるだろうし、

”初めて”もまだ増えるかもしれない。 

 不惑を超えてNAOTOはどうなっていくのだろう。 

「それは想像つかない(笑)。

でもチャレンジをするなかで、

また新しいチャレンジが生まれるはず。

自分自身がその先を見たいと思ってやってみてというのもあるからね」  

三代目 J SOUL BROTHERSのドームツアーも決まった。きっとまだまだ何かありそうな、EXILE NAOTO。目を離してはいけない。 (TOKYO HEADLINE・酒井紫野)