【JAPAN最新号】異質でポップな名曲“タイムパラドックス”誕生! 充実作『replica』の先に広がっていた新たな地平をVaundyとともに見晴らすインタビュー



子ども向けに曲を作る時は、絶対に簡単な歌詞にはしない。
最低20年は保たないといけない曲だから、大人になってもわからないくらいにしないと強度がないんで

優しくて柔らかなストリングスのイントロ、そして軽快なピアノの伴奏、《あのね》で始まるVaundyの語りかけるような歌。この“タイムパラドックス”という曲は『映画ドラえもん』の主題歌としてストレートに子どもたちに寄り添うような、とてもシンプルな曲に聞こえる。でももちろんそれだけの曲ではなくて、むしろそのポップな形と色の中に限りないほどの音楽の不思議と言葉の仕掛けが大胆に織り込まれた曲になっている。何しろVaundyだからね。しかもあの世紀の傑作『replica』を経ての次なる一歩となる重要な楽曲なのだから。
その「不思議」と「意味」について、Vaundyは今回もすべて残さず語ってくれた。曲の構成、歌唱、演奏、歌詞、そのすべてにプログラムされたポップの秘密とクリエイティブの本質をすべて解き明かしてくれた。

一方でド迫力の肉体派ライブで圧倒したアリーナツアーについても語ってくれて、Vaundyの「音楽制作」と「ライブ」に対する基本姿勢が伝わるインタビューになった。
Vaundyは日本のポップのあり方を根本から変えようとしている、そのことが改めて伝わるインタビューになったと思う。

インタビュー=山崎洋一郎 撮影=太田好治、日吉"JP"純平
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)