ワンオクTakaがオーガニックスーパー、海外ツアーが契機に | ⭐おみ⭐呟きダイアリー⭐

    世界的に活躍するロックバンド、ONE OK ROCKのボーカル・Taka氏と、美容と健康事業などを運営するONPA JAPAN(オンパジャパン、東京・渋谷)の代表・恩地佑亜氏が共同で、3月3日、東京の表参道にオーガニックスーパー「15/e organic」をオープンさせる。日本各地で農薬や化学肥料に頼らず育てた農家から届くオーガニックな青果をはじめ、デリ(惣菜)、オリジナルに開発したコスメなど、自らの目や舌、肌で確かめ厳選した品を並べた、いわば有機食品のセレクトショップだ。まさしく“畑違い”の2人が、なぜオーガニックスーパーを開くに至ったのか。1988年生まれ、同い年の2人は、それぞれが多忙により食をおろそかにしたことで不調を感じたことが直接的な動機となっているという




    恩地佑亜(おんち・ゆうあ
    1988年生まれ、和歌山県出身。20歳でONPA JAPANを設立。物販事業からスタートし、現在は美容プロデュース、WEBマーケティング、エンタメDX(デジタルトランスフォーメーション)、M&A(合併・買収)仲介など、多角的な事業展開を行っている



    Taka(たか)
    1988年生まれ、東京都出身。ロックバンドONE OK ROCKではボーカルを担当する。世界規模で活動しており、2023年は、日本での6大ドームツアー、欧州ツアー、アジアツアーを開催した。現在はロサンゼルスに在住



    恩地佑亜氏(以下、恩地) 今、私は35歳ですが、30代に入ったころに体調を崩したり、太ったりと今までと違う体の変化を感じるようになり、食べ物にもっと気を使ったほうがいいなと思うようになったんです。そんなとき、米国でTakaと一緒に食事をしたらオーガニックがいいと聞いて進んで食べるようになったんです。

    Taka氏(以下、Taka) 米国で暮らしていると、オーガニックの食べ物にアクセスしやすいなと思います。僕自身、子どものころにチェーン店のハンバーガーや甘味料入りの炭酸飲料はダメという厳しい家庭で育ちました。そうした素地があったうえに、バンドで年間100本近くもライブツアーで国内外を回るようになって、体に変調をきたしたのが直接的なきっかけですね。自分の身体に合ったものを食べないと、喉が腫れたり熱が出てしまう。ライブを楽しみに待っているみんなをがっかりさせたくないので、体調管理にきちんと向き合うようになりました。はじめはビタミン剤などをとるところからスタートして、体の声を聴きながらオーガニックの食が僕には合っているなと思うようになったんです。



    恩地 米国でTakaがどんなものを食べているかを聞いて、僕と食生活があまりに違うのでびっくりしました。僕はそれまで、栄養とか健康とかを全く考えずに、食べたいものを食べたいときに食べたいだけ食べていましたから。今思い返すと、我ながら恐ろしい食生活でしたね(苦笑)。

    Taka こっちこそびっくりしたよ(笑)。分かりやすく言えば、添加物がたくさん入っていて腐りにくいものばっかり食べている人だなって。僕もたまには食べるし、すごくおいしいんだけど、それが毎日というのはどうなんだろうと友人として心配になりました。でも、きっかけさえあれば180度変えることができるんです。

     誰もがそうだと思いますが、ストレスフルな現代社会で生きていると体に害のない生活を送るってすごく難しいですよね。僕自身もロックバンドをやっていて、お酒を飲んだり付き合いもあります。そうした日々の中で、1週間のなかでせめて2日くらい自分の体にいいことをしてあげてもいいと思うんです。体にも土日をつくってあげてほしいなと。その助けになるようなお店を自分たちでつくりたいと思いました。




    実際に農家に足を運んで気付いたこと

     Taka氏は米国を拠点に活動し、恩地氏は東京でビジネスを行っている。そうした場所や違いを乗り越えながら、互いに納得できる店づくりを進めるのは決して簡単ではなかっただろう。2人で話を深めるなかで、純粋さが鍵になると意見が一致したという。

    Taka 僕は今、米国で暮らしていて、恩地は日本で生活しています。僕らがこのオーガニックスーパーをやろうと話し始めたのは、3年くらい前ですが、お互いに何度も何度も話をするなかで、既存のルールや認証制度に頼らない、僕ら独自のやり方を見つけていったほうがいいなと思うようになりました。僕は音楽活動の中で、曲を作ったり、ライブをクリエートする。恩地のような起業も、ある種のクリエーティブだと思うんです。今回、自分たちなりの基準をつくる、新しいやり方を構築するという意味では、これまで自分たちがやってきたクリエーティブの延長線上にあるのかなと捉えています。




    恩地 そうだね。「15/e organic」は、見た目は不ぞろいですが自然栽培された栄養価の高い野菜や、全国からえりすぐった食品やコスメ、デリ(惣菜)などを扱うことが誇りであり、認証制度に縛られることなく天然由来100パーセントにこだわっている点が最大の特徴です。日本には有機JAS認証、米国はUSDAオーガニックなどの認証制度がありますが、その基準をクリアするために必要な資金がない農家さんがいたり、ごく一部ですが農薬の使用が許されていたりします。一般的な慣行栽培(標準的な栽培方法)をしていたという生産者の中には、農薬を使って育てた農作物と、自宅で食べる野菜を分けていて、それに対してずっと疑問を持っていたという方もいらっしゃいました。わずか数パーセントでも、そうした僕らが自然だと言い切れないものは扱わないようにしました。その純度にはこだわって、胸を張れるセレクトになっています。

    Taka 実際に2人で農家さんへ足を運んで、どんな思いで作っているかをうかがいました。種からこだわって、育てる過程でもどんな肥料が使われているかなど、1つひとつを丁寧に遡って確認しながら透明性を大切にしました。おじゃました農家さんで、生まれて初めて畑から採ったばかりの野菜をまるかじりしたんですよ。作り手の愛情をじかに感じながら食べたこともあって、本当においしかったですね。そうした、志のある農家さんの畑からは僕らが残っているものなどは全て買い上げることもやっていきたいと思っています。良いものを作る人たちが持続可能になるような長期的なプロジェクトになっていけるよう、僕らももっと勉強が必要だなと感じています。



    恩地 実は、僕らと同じようにオーガニックを扱う小売業の方から、「100%自然由来だけのお店は絶対無理だよ」とさんざん言われました。だからこそ絶対やりきろうと思って闘志が湧きました(笑)。諦めずにやっていくと、次第に農家さんの間で噂になり、他の生産者さんを紹介していただけるようになりました。うれしかったですし、ありがたいなと思いました。

     既存の枠組みに頼らず、自分たちで新しい基準をつくるという発想は、ゼロから音楽やライブを創り上げるアーティストならではの発想かもしれない。古民家をリノベーションした店内には、グリーンを使ったモダンなオブジェがあり、イギリスから取り寄せたという約100年前の重厚感あるドアを取り付けるなど、Taka氏の表現者として培ってきたノウハウも詰め込まれている。

     一方、恩地氏が開発の中心となったオリジナルのシャンプーやコンディショナー、ヘアオイルなどのコスメは、周囲から無理だと言われるなかで実験を繰り返しながら2年半もかけて完成にたどり着いたという。

     これらのコスメは、「Makuake」で先行販売も行っていて、すでにこのブランドに期待する多くの人たちから熱量の高い応援コメントも寄せられているようだ。こうした試みからも「15/e organic」はファンとともに作り上げるプロジェクトであることが伝わってくる。 


    ても人に薦められるものではありませんでした。納得いく品になるまで、トライ&エラーを繰り返し、結局2年半もかかりました。そんなに時間をかける商品って、あまりないんじゃないかなと。開発コストもかさみますし、開店までの期限も迫ってきてかなりハラハラしましたが、僕がここで中途半端なことをしたら、お店自体が台無しになってしまうと思い踏ん張りました。最終的には納得できるサロンクオリティーのシャンプーができました。 



    Taka あんまり勉強してこなかった僕が言うのもなんですが、たぶんテストで100点を取るには120%、130%の力で準備をすると思うんです。ライブでも、ものすごく入念に準備をして、ようやくステージで100%を出せます。エビデンスとかではなく、根性論みたいになってしまいますが、そうしたところも新しいものを生み出すには必要なのかなと。ただ、恩地は一度のめり込むと深く入り込んでしまう性格。僕はと言えば、一歩引いて考えてから動き出すタイプなので、俯瞰(ふかん)で見ながら恩地を引っ張り上げる役目もありましたね(笑)。

    恩地 見た目や職業から想像すると、どちらかというと逆に思う方もいますよね(笑)。僕はコスメの開発のほかに、店舗スタッフの採用なども担当しました。Takaには、クリエーティブ周りのほかに、デリの味の最終決定もしてもらっています。というのも…。

    Taka 恩地はかなり味付けが濃いものが好みなんです。僕は逆に薄めの味が好き。健康やおいしさのバランスを取るには、お互いの極端な食の好みのいいあんばいを見つけるようにしています。2人でいろいろと試食して意見を出し合いながら、最終的には僕に決めさせてもらっています(笑)。




    恩地 自分自身や身近な人から、健康の大切さを実感したこともあり、店舗スタッフは全て栄養士、または管理栄養士にしましたが、そうしたプロたちからも濃い味付けにはあまりいい顔はしてもらえません(笑)。お店では、お客様一人ひとりに寄り添えるよう、カウンセリングルームで相談に乗ることもできます。身近に、健康や食の相談ができる場所があるといいなと思ったからです。

     いずれは、この店のノウハウを生かして病院の食も変えていきたいと思っています。入院中の食事は、管理栄養士が栄養価などを細かく計算して作るのですが、場所によってはおいしく食べてもらえず捨てられてしまうとも聞きます。せっかくなら、おいしくて体にも良い、みんなが喜ぶ食を提供できたらいいなという夢も膨らんでいます。

    Taka まずは、そのためにも「15/e organic」を愛してもらえる店にしなきゃいけないね。個人的には未来を担う若い世代に、この店に来てもらって体にうれしい食を体験してもらいたいです。個人的な経験や身近な人を見ていると、健康的な食は若いころにとるほど、体にいいなと思うので。そのためにもオーガニック=高価というイメージも、徐々に覆していきたいと思っています。

    恩地 僕としては、いろんな世代の方に来ていただきたいですし、表参道という場所柄、ふらりと立ち寄っていただけるような、気軽にオーガニックを体験できる場所にしたいです。




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      エンタ!インタビュー

      ワンオクTakaがオーガニックスーパー、海外ツアーが契機に

       読了時間: 10分

      世界的に活躍するロックバンド、ONE OK ROCKのボーカル・Taka氏と、美容と健康事業などを運営するONPA JAPAN(オンパジャパン、東京・渋谷)の代表・恩地佑亜氏が共同で、3月3日、東京の表参道にオーガニックスーパー「15/e organic」をオープンさせる。日本各地で農薬や化学肥料に頼らず育てた農家から届くオーガニックな青果をはじめ、デリ(惣菜)、オリジナルに開発したコスメなど、自らの目や舌、肌で確かめ厳選した品を並べた、いわば有機食品のセレクトショップだ。まさしく“畑違い”の2人が、なぜオーガニックスーパーを開くに至ったのか。1988年生まれ、同い年の2人は、それぞれが多忙により食をおろそかにしたことで不調を感じたことが直接的な動機となっているという。

      恩地佑亜(おんち・ゆうあ)(写真・左)
      1988年生まれ、和歌山県出身。20歳でONPA JAPANを設立。物販事業からスタートし、現在は美容プロデュース、WEBマーケティング、エンタメDX(デジタルトランスフォーメーション)、M&A(合併・買収)仲介など、多角的な事業展開を行っている
      Taka(たか)(写真・右)
      1988年生まれ、東京都出身。ロックバンドONE OK ROCKではボーカルを担当する。世界規模で活動しており、2023年は、日本での6大ドームツアー、欧州ツアー、アジアツアーを開催した。現在はロサンゼルスに在住

      恩地佑亜氏(以下、恩地) 今、私は35歳ですが、30代に入ったころに体調を崩したり、太ったりと今までと違う体の変化を感じるようになり、食べ物にもっと気を使ったほうがいいなと思うようになったんです。そんなとき、米国でTakaと一緒に食事をしたらオーガニックがいいと聞いて進んで食べるようになったんです。

      Taka氏(以下、Taka) 米国で暮らしていると、オーガニックの食べ物にアクセスしやすいなと思います。僕自身、子どものころにチェーン店のハンバーガーや甘味料入りの炭酸飲料はダメという厳しい家庭で育ちました。そうした素地があったうえに、バンドで年間100本近くもライブツアーで国内外を回るようになって、体に変調をきたしたのが直接的なきっかけですね。自分の身体に合ったものを食べないと、喉が腫れたり熱が出てしまう。ライブを楽しみに待っているみんなをがっかりさせたくないので、体調管理にきちんと向き合うようになりました。はじめはビタミン剤などをとるところからスタートして、体の声を聴きながらオーガニックの食が僕には合っているなと思うようになったんです。

      恩地 米国でTakaがどんなものを食べているかを聞いて、僕と食生活があまりに違うのでびっくりしました。僕はそれまで、栄養とか健康とかを全く考えずに、食べたいものを食べたいときに食べたいだけ食べていましたから。今思い返すと、我ながら恐ろしい食生活でしたね(苦笑)。

      Taka こっちこそびっくりしたよ(笑)。分かりやすく言えば、添加物がたくさん入っていて腐りにくいものばっかり食べている人だなって。僕もたまには食べるし、すごくおいしいんだけど、それが毎日というのはどうなんだろうと友人として心配になりました。でも、きっかけさえあれば180度変えることができるんです。

       誰もがそうだと思いますが、ストレスフルな現代社会で生きていると体に害のない生活を送るってすごく難しいですよね。僕自身もロックバンドをやっていて、お酒を飲んだり付き合いもあります。そうした日々の中で、1週間のなかでせめて2日くらい自分の体にいいことをしてあげてもいいと思うんです。体にも土日をつくってあげてほしいなと。その助けになるようなお店を自分たちでつくりたいと思いました。

      「Makuake」ではプロジェクトを2月28日18時まで実施。2月11日に目標金額の1000万円を達成した
      「Makuake」ではプロジェクトを2月28日18時まで実施。2月11日に目標金額の1000万円を達成した
      ▼関連リンクMakuake

      実際に農家に足を運んで気付いたこと

       Taka氏は米国を拠点に活動し、恩地氏は東京でビジネスを行っている。そうした場所や違いを乗り越えながら、互いに納得できる店づくりを進めるのは決して簡単ではなかっただろう。2人で話を深めるなかで、純粋さが鍵になると意見が一致したという。

      Taka 僕は今、米国で暮らしていて、恩地は日本で生活しています。僕らがこのオーガニックスーパーをやろうと話し始めたのは、3年くらい前ですが、お互いに何度も何度も話をするなかで、既存のルールや認証制度に頼らない、僕ら独自のやり方を見つけていったほうがいいなと思うようになりました。僕は音楽活動の中で、曲を作ったり、ライブをクリエートする。恩地のような起業も、ある種のクリエーティブだと思うんです。今回、自分たちなりの基準をつくる、新しいやり方を構築するという意味では、これまで自分たちがやってきたクリエーティブの延長線上にあるのかなと捉えています。

      恩地 そうだね。「15/e organic」は、見た目は不ぞろいですが自然栽培された栄養価の高い野菜や、全国からえりすぐった食品やコスメ、デリ(惣菜)などを扱うことが誇りであり、認証制度に縛られることなく天然由来100パーセントにこだわっている点が最大の特徴です。日本には有機JAS認証、米国はUSDAオーガニックなどの認証制度がありますが、その基準をクリアするために必要な資金がない農家さんがいたり、ごく一部ですが農薬の使用が許されていたりします。一般的な慣行栽培(標準的な栽培方法)をしていたという生産者の中には、農薬を使って育てた農作物と、自宅で食べる野菜を分けていて、それに対してずっと疑問を持っていたという方もいらっしゃいました。わずか数パーセントでも、そうした僕らが自然だと言い切れないものは扱わないようにしました。その純度にはこだわって、胸を張れるセレクトになっています。

      Taka 実際に2人で農家さんへ足を運んで、どんな思いで作っているかをうかがいました。種からこだわって、育てる過程でもどんな肥料が使われているかなど、1つひとつを丁寧に遡って確認しながら透明性を大切にしました。おじゃました農家さんで、生まれて初めて畑から採ったばかりの野菜をまるかじりしたんですよ。作り手の愛情をじかに感じながら食べたこともあって、本当においしかったですね。そうした、志のある農家さんの畑からは僕らが残っているものなどは全て買い上げることもやっていきたいと思っています。良いものを作る人たちが持続可能になるような長期的なプロジェクトになっていけるよう、僕らももっと勉強が必要だなと感じています。

      恩地 実は、僕らと同じようにオーガニックを扱う小売業の方から、「100%自然由来だけのお店は絶対無理だよ」とさんざん言われました。だからこそ絶対やりきろうと思って闘志が湧きました(笑)。諦めずにやっていくと、次第に農家さんの間で噂になり、他の生産者さんを紹介していただけるようになりました。うれしかったですし、ありがたいなと思いました。

       既存の枠組みに頼らず、自分たちで新しい基準をつくるという発想は、ゼロから音楽やライブを創り上げるアーティストならではの発想かもしれない。古民家をリノベーションした店内には、グリーンを使ったモダンなオブジェがあり、イギリスから取り寄せたという約100年前の重厚感あるドアを取り付けるなど、Taka氏の表現者として培ってきたノウハウも詰め込まれている。

       一方、恩地氏が開発の中心となったオリジナルのシャンプーやコンディショナー、ヘアオイルなどのコスメは、周囲から無理だと言われるなかで実験を繰り返しながら2年半もかけて完成にたどり着いたという。

       これらのコスメは、「Makuake」で先行販売も行っていて、すでにこのブランドに期待する多くの人たちから熱量の高い応援コメントも寄せられているようだ。こうした試みからも「15/e organic」はファンとともに作り上げるプロジェクトであることが伝わってくる。

      恩地 オリジナルコスメを作るときに、はじめに2人で思い描いたのは「食べられるシャンプー」でした。それで、天然由来成分だけでシャンプーを作ってくれる会社さんを探したのですが、僕自身、全くの素人ですし、どこも門前払いで。それでも粘り強く探していくと、協力してくださる会社さんと出合うことができました。そこから試作品作りが始まったのですが、最初は髪がギシギシして、とても人に薦められるものではありませんでした。納得いく品になるまで、トライ&エラーを繰り返し、結局2年半もかかりました。そんなに時間をかける商品って、あまりないんじゃないかなと。開発コストもかさみますし、開店までの期限も迫ってきてかなりハラハラしましたが、僕がここで中途半端なことをしたら、お店自体が台無しになってしまうと思い踏ん張りました。最終的には納得できるサロンクオリティーのシャンプーができました。

      Taka あんまり勉強してこなかった僕が言うのもなんですが、たぶんテストで100点を取るには120%、130%の力で準備をすると思うんです。ライブでも、ものすごく入念に準備をして、ようやくステージで100%を出せます。エビデンスとかではなく、根性論みたいになってしまいますが、そうしたところも新しいものを生み出すには必要なのかなと。ただ、恩地は一度のめり込むと深く入り込んでしまう性格。僕はと言えば、一歩引いて考えてから動き出すタイプなので、俯瞰(ふかん)で見ながら恩地を引っ張り上げる役目もありましたね(笑)。

      恩地 見た目や職業から想像すると、どちらかというと逆に思う方もいますよね(笑)。僕はコスメの開発のほかに、店舗スタッフの採用なども担当しました。Takaには、クリエーティブ周りのほかに、デリの味の最終決定もしてもらっています。というのも…。

      Taka 恩地はかなり味付けが濃いものが好みなんです。僕は逆に薄めの味が好き。健康やおいしさのバランスを取るには、お互いの極端な食の好みのいいあんばいを見つけるようにしています。2人でいろいろと試食して意見を出し合いながら、最終的には僕に決めさせてもらっています(笑)。

      恩地 自分自身や身近な人から、健康の大切さを実感したこともあり、店舗スタッフは全て栄養士、または管理栄養士にしましたが、そうしたプロたちからも濃い味付けにはあまりいい顔はしてもらえません(笑)。お店では、お客様一人ひとりに寄り添えるよう、カウンセリングルームで相談に乗ることもできます。身近に、健康や食の相談ができる場所があるといいなと思ったからです。

       いずれは、この店のノウハウを生かして病院の食も変えていきたいと思っています。入院中の食事は、管理栄養士が栄養価などを細かく計算して作るのですが、場所によってはおいしく食べてもらえず捨てられてしまうとも聞きます。せっかくなら、おいしくて体にも良い、みんなが喜ぶ食を提供できたらいいなという夢も膨らんでいます。

      Taka まずは、そのためにも「15/e organic」を愛してもらえる店にしなきゃいけないね。個人的には未来を担う若い世代に、この店に来てもらって体にうれしい食を体験してもらいたいです。個人的な経験や身近な人を見ていると、健康的な食は若いころにとるほど、体にいいなと思うので。そのためにもオーガニック=高価というイメージも、徐々に覆していきたいと思っています。

      恩地 僕としては、いろんな世代の方に来ていただきたいですし、表参道という場所柄、ふらりと立ち寄っていただけるような、気軽にオーガニックを体験できる場所にしたいです。

      Taka もちろん、そうだよね。僕らの目指すものは、前例がないため手探りで進めていく部分も大きいのかなと思います。でも、会社の経営者としていろんな人を見てきた恩地と、エンタメの世界でいろんな人と出会ってきた僕が、それぞれ居場所は全然違うけれど、通じ合えるものがあったように共感を広げていくことはできると思っています。僕がエンタメ業界で感じた、形、パッケージありきのこれまでのやり方に違和感を覚えたように、既存の在り方になじめない人たちもいると思うんです。誰もが喜んで集える場所、そのはじめ一歩としてのアクションです。いまは、SNSなどでつながれる時代ですから、僕らは僕らで築いた新しい価値観や基準を示し、一緒に学びながら、それを次の世代につなげていけたらいいなと思っています。