ギャスパー・ウリエルは、2022年1月19日(水)、
スキー事故で亡くなった。
享年37歳。デビューから人気俳優への軌跡、交友関係やロマンスを辿る。 


優雅で儚い貴公子、ギャスパー・ウリエルの佇まいを振り返る 2003年、
ひとりの若い俳優がフランスで一躍知られるようになった。
シャープな顎のラインに突きさすような青い目、

頭を剃り上げたギャスパー・ウリエルはアンドレ・テシネ監督の『かげろう』でエマニュエル・ベアールの相手役に抜擢され、
人気を得る。
それから20年近くが経った今日、透き通った瞳の俳優はもういない。
ベルトラン・ボネロ監督の長編映画でイヴ・サンローランを演じた俳優は2022年1月19日、
サヴォワ県のリゾート地ラ・ロジエールでスキー事故に遭い、
37歳で亡くなったと親族がAFPを通じて発表した。
 
「素晴らしいストーリーは終わりを予感させない」
 


「素晴らしいストーリーの映画は、
冒頭で終わりを予感させないそうだ」 と2017年、

ギャスパー・ウリエルはセザール賞主演男優賞を受賞した際にメッセージを寄せ、
不在の彼に代わってグザヴィエ・ドランがこれを読み上げた。
ギャスパー・ウリエルのストーリーは順風満帆だった。
1984年11月25日、ブローニュ=ビヤンクールで生まれた少年は、
ファッション業界で働く両親のもとで育つ。


この環境のおかげだろう、
自然でこなれたエレガンスの持ち主だったのは。

シャネルの香水「ブルー ドゥ シャネル」のイメージパーソンに選ばれたほどの魅力にあふれていた。
 
鮮烈なデビュー
 
10代の頃、ギャスパー・ウリエルは映画監督に憧れていたらしい。
しかし運命は違う道に彼を導いた。

テレビドラマ『Une femme en blanc(原題:白の女)』で俳優としてデビューする。
いくつかのテレビドラマに出演後、
2000年代初頭の頃から注目されるように。
コメディ映画『キスはご自由に 』(2002年)の出演で人気が出た翌年、
『かげろう』の演技でセザール賞有望男優賞にノミネートされた。
もっとも、栄えある同賞を手にしたのはさらに翌年の『ロング・エンゲージメント』(2004年)でだった。

監督や共演者に恵まれた
 
演じた役柄は反乱軍を率いる若い農民ジャック・ソード、
名デザイナーイヴ・サンローラン、
青年時代のハンニバル・レクター等々。
ギャスパー・ウリエルは、ガス・ヴァン・サントやグザヴィエ・ドランなど数々の監督と仕事をしてきた。
共演者にはメラニー・ティエリー、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセルといった名前が並ぶ。
2016年にはグザヴィエ・ドラン監督の『たかが世界の終わり』でセザール賞最優秀男優賞を受賞した。 
2019年にはジュスティーヌ・トリエ監督の『愛欲のセラピー』でヴィルジニー・エフィラと共演。

また、今年3月30日に配信 が決定しているマーベルの新作ドラマ「ムーンナイト」にも出演している。
あまり明かされることのなかった私生活では、パートナーでモデルのガエル・ピエトリとの間に6歳の男の子オルソがいる。
彼の死に、映画界は深い悲しみに包まれている。