1999年、東南アジア某国でPKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊が反政府ゲリラ部隊と接触、
本部からの発砲許可を得られないまま一方的に攻撃を受けて壊滅する。
たった一人の生存者として破壊されたレイバーから脱出した男がそこで見たのは、異教の神像が見下ろす古代遺跡であった。
そして、彼は「彼岸の人」となった。
かつての特車二課第2小隊は、
隊長の後藤と山崎を除いて新しい職場に異動し、
それぞれの日々を送っていた。
そんなある日、横浜ベイブリッジで爆破事件が起こる。
当初は自動車爆弾かと思われたが、
自衛隊の支援戦闘機・F-16Jらしき飛行機から放たれた一発のミサイルによるものであることがテレビによって報道される。
そして、これがすべての始まりであった。
事件に関する様々な情報が錯綜する中、
ベイブリッジを爆撃したのは自衛隊機ではなく米軍機であることや、
元々この事件はあるグループが立てた軍事的茶番劇であり、
それを何者かが改変して利用したことを語り、
その容疑者として「柘植行人(つげ ゆきひと)」という人物の捜索への協力を依頼する。
柘植は元陸上自衛官で、
レイバーの軍事的価値にいち早く着目して柘植学校と通称される研究組織を発足させ、
レイバーの有用性を実証したことで有名な人物だったが、
1999年、東南アジア某国でのPKOにレイバー小隊を指揮して参加したところ反政府軍の襲撃に遭い小隊は壊滅、
ただ一人生き残ったものの帰国後は自衛隊を去って行方を晦ましていた。
荒川が話し終わるより先に、
航空自衛隊三沢基地所属機による幻の東京爆撃が演出されるという事件が発生する。
これに対して警察は、
事件を利用して警察の権限強化を図る政治的思惑から自衛隊に対して過剰な対抗行動に出るが、
これにより各地の自衛隊基地や駐屯地が抗議のために外部との通信を絶って篭城する事態にまで発展する。
そんな中、ベイブリッジ爆破事件を調べていた松井刑事は、
後藤から渡された荒川の資料を元に柘植とその組織を調べ始める。
その後も状況は悪化の一途を辿り、
在日米軍の圧力もあって事態の早急な収拾を図ろうとした政府は、
警察に事態悪化の責任を押し付け、
警察の代役として「陸上自衛隊内の信頼のおける部隊」に東京への出動命令を下し、
都内各地に自衛隊部隊が配置され、
市街は戦争の様相を帯び始めた。
そしてとある雪の朝、
東京湾の埋立地から3機の戦闘ヘリが飛び立つ。
都内にある官民の通信施設、
橋梁、警視庁本部庁舎は戦闘ヘリの銃爆撃を受け、
通信ケーブル網は仕掛けられた爆弾で破壊され、
さらには特車二課も壊滅させられてしまう。
更に東京上空を周回する3機の無人飛行船が装備したECMポッドで高出力の電波妨害を開始し、
都内に展開した自衛隊部隊は通信が途絶して孤立していく。
警察によって無人飛行船の内1機のポッドは破壊されるが、
直後にその飛行船は自動的に墜落、
大量の着色ガスを放出して地上の自衛隊部隊や副都心一帯をパニックに陥らせた。
放出されたガス自体はほぼ完全に無害なものであり、
混乱を招くためのためだけの状況演出だったが、
一方で機内からは本物の毒ガスが入ったボンベも発見され、
これにより残りの飛行船への対処を封じられてしまう。
こうして東京を舞台にした仮想的な「戦争」が、現実のものとして創り出されていった。
同じ朝、後藤と南雲は緊急招集された警備部の幹部会議に召喚されていた。
緊迫した情勢下で南雲と警視庁上層部の対立が決定的となる中、
特車二課壊滅を悟った後藤は、
この期に及んでもなお権力闘争と責任転嫁に汲々とする上層部を見限り、
南雲と共に自らの手で事態を収拾する覚悟を固める。そして壊滅した特車二課に代わり、
かつての第2小隊メンバーが「AV-98 イングラム」と共に呼び集められた。
後藤は荒川から埋立地に位置する野戦本部の情報を提供されるとともに、
アメリカ政府が日本政府に対して軍事介入の通告を行ったことを聞かされる。
在日米軍による介入へのタイムリミットが迫る中、戦争という状況下に置かれた東京を舞台に、
野戦本部を奇襲し「状況」を演出した柘植を逮捕するため、
特車二課第2小隊最後の任務が始まる。
また、後藤は荒川を柘植の一味であると断定し、この時点で逮捕する。
旧第2小隊は敵の待ち伏せを想定しつつ、
本拠地とされた埋め立て地に向かうが、
抗戦に遭い南雲が単身突入する形となってしまう。
ついに柘植と対峙した南雲は、
かつての感情に葛藤しながらも逮捕することに成功。
同時に後藤も敵のジャミングを突破して通信も復帰。
こうして蜃気楼のように見える街に平和がもたらされた。