イヌイットとJW | ひとりごちる ~エホバの証人(JW)・ものみの塔(WT)・jw.orgについて考える~

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一般人りんごの思うこと、あれこれ書いてます。
基本的に公開記事が多いので、個人情報に気をつけてコメントして下さいね。

久々にJW.ORGを覗いてみたら、新着情報に
「カナダ極北で特別な聖書キャンペーンが感謝される」
という記事がありましたね。

カナダのイヌイットの集落に、150人ものJWが自己負担で数千ドル(・_・;)もの旅費をはたいて、カナダ支部が組織した特別な聖書キャンペーンに参加した、というものです。


カナダ支部が組織しておきながら、旅費は自己負担というところが、いかにもな記事なんですけれど(笑)


この記事を読んだときに、ふと思い出したのがこの本↓


カナダ=エスキモー (朝日文庫)/朝日新聞出版
¥518
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以前、古本屋で見つけて読んだのですが、カナダ=エスキモー(イヌイット)の方々の暮らしに迫るドキュメンタリーとして鮮烈な印象を受けました。


かつて、イヌイットの方々は、極北の過酷な自然条件の中で生き抜いてきました。


野菜なんて簡単に手に入らない極北の地で、なぜ彼らが生き延びてこられたのか。

狩りによって捕まえたアザラシが貴重な食料品です。

彼らは、アザラシを文字通り余すことなく食べ、利用できるものはすべて利用してきました。

そう、彼らはアザラシの肉だけではなく、その血液も内臓も大切に食べてきたのです。


アザラシを捕まえると、その場で即座に解体作業にはいります。

急がないとせっかくの獲物が凍ってしまいますからね。

解体しながら、まだ温かい流れ出る血を飲み、生肉を食べます。

もちろん、1度にすべては食べられませんから、解体した肉は凍らせて持ちかえります。


イヌイットの方々が野菜を食べられなくても健康に生きてこられたのは、こうやってまるごとアザラシを食べてきたからです。

気候の違うイスラエルでしていたように血抜きなどしていたら、彼らが生きる上で必要な栄養素を取ることはできません。


だって、そもそもの生きてきた環境が違うのです。


そして、皆さまもちろんご存知のように、JWでは聖書に基づいて、血液を身体に取り入れることは禁忌としています。

おまけにその解釈が行き過ぎて、輸血拒否をしてあちこちで問題になっているわけですが。。。


さて、イヌイットの方々に対して聖書教育をするということは、当然血を避けるということが含まれるでしょう。

もちろん、現在のイヌイットの方々は、流通の普及によって暮らしぶりもすっかり変わってきているらしいのですが。

それでも、彼らの先祖が血によって命をつないできたことに変わりはありません。


そういう生きてきた環境も歴史も違うイヌイットの方々に、安易に

「聖書の原理的解釈の常識」を押し付けるのって。。。

それって、彼らの歴史の全否定ですよね(-_-;)


まぁ、JW(に限らないだろうけれど、排他的宗教の場合)他のどの地域に行ったとしても、結局はその地域での伝統や歴史は全否定するようなものなんでしょうけれど。


今回は特に獲物の血液を飲むことが生命維持に必要だった地域への宣教だけに、なんだかすごくイヤ~~な気持ちになりました。


イヌイットの方々が、JWの宣教によって、自分たちの先祖の生き方を恥じたりしないことを切に願います。

そして、そうやってつながれてきた自分たちの命のことを恥じないように。

本来ならば、そうやって命をつないできてもらえたことを誇りに感じてほしいです。


と、同時に、歴史的背景も環境も、ついでに時代も違う

「聖書の原理的解釈の常識」

を現代のさまざまな地域の人すべてにあてはめることの愚かさを改めて感じました。