流行に敏感なアンテナを持っジョン?ガリアーノと、若年層に強い支持を受けるアレキサンダー?マツクイーン。ロンドンの若手べスト2を陣営に引き込んだというそれだけで、LVMHはメディアの注目を大いに集め、ジャーナリストは記事を書き立てた。ただ、ファッション業界に身を置く人々は、ケバケバしいアレキサンダー?マックイーンに、上品なジバンシィが務まるかと懐疑的で、冷淡な反応だった。カール?ラガーフェルドも、マックイーンのことを'粗野で下ロ関'と切って捨てていた。
アレキサンダー?マックイーンがジバンシィのショーの準備を始めるにつれ、メディアの注目はさらにヒートアップした。あの嫌悪感や恐怖感を煽るようなショーは、何といってもメディア受けしたからだ。怖いもの見たさや、次の題材は何だろうかといった関心も含め、年ニ回のマックイーンのショーは、中虫母症まで引き起こすぐらいにキャッチーだからだ。
アレキサンダー?マックイーンは最初のコレクションで、いきなり"マックイーン節"を披露した。ジバンシィのオートクチュールのテーマは「ギリシャ神話」。襟が口の高さまである彼らしいクチュール、牛の角の形に作ったへア、金粉をまぶしたバストなど、まったくの"マックイーン節"だった。
およそ、オードリー?へプバーンのイメージや従来の"ジバンシィらしさ"とは似ても似つかなかった。九六年当時のマックイーンの発言にこんなものがある。「最初はジバンシィを引き受けるべきか決めかねた。でも今は"征服"として捉えてる。すごく興奮しているよ」。彼らしい発言だが、このコレクションは不評であった。