どうしても、風が吹く必要がある。
どうしても風を感じなければいけない。
それは川崎さんが匂いを大切にするのと一緒で、幸せという瞬間に必要不可欠なのだ。
いい天気
とは、どういう天気だろうか。
いい とは何だろう。
わるい とは何だろう。
いい わるい の取り扱いには注意が必要だ。
いい わるい の押し付けによって
人はくっついて、離れていく。
何ともくっつかなければ、離れない。
例えばその先が真っ白で、本当に何も残っていなくても
そこに風が吹いていれば充分に幸せだ。
そして、風を感じながら温かい飲み物が飲みたい。
というわけで、夜な夜なテラス付のカフェに繰り出した。
しかし、無人だったはずのテラスに出ようとする3秒前に
数人のおばさんと一人の少年のグループに先越されてしまった。
まさに奇跡だった。
心洗われるサウンドと、目を閉じそうになる心地よい風に温かいコーヒー。そして、おばさん、少年。
近くのスポーツジムから出てくる筋肉
隆々の成人男性達。
ここに幸せを求めにきたのに。
幸せとは、自分と風があれば成立すると思っていたのに。
そして、おばさん達が去った今
何故か少し心細い自分がいる。
新宿二丁目の話の続きがききたい。
モデルだという少年の姉の写真を、私にも見せてほしい。
あっという間に私の心は雑念まみれだ。
そして、また少し大人になった。
きっとそうだ。
こうして少しずつ色々なものを受け入れていく。
人生の邪魔になると排除しているもののなかに、とてつもない喜びと幸福がつまっているのかもしれない。
だけど、動けない。
100%ではないものに、ぶつかっていけない。
これまでも、これからも。
過去に一度だけ、可能性を信じたことがあった。それどころか、完全にイメージをとらえ、成功を確信していた。
だが、失敗したのだ。
跳び箱のハンドスプリングに。
マットに叩きつけられ、少しばかり気を失いながら今度こそ確信した。
私は、平凡なのだと。
あ、また筋肉隆々の人が前を通り過ぎていった。
ジム、通いたいな。
だけど、100%じゃないから
やめた。