●先日、とある大ベテランの講談を聴きました。
味がある好きな先生だったのですが、その一席は気持ちが入ってないように感じられ、ちっとも面白くありませんでした。
さすがベテランだけあって、話は淀みなく出てくるんです。頭にはすっかり入ってるんでしょうね。
ところが、記憶してる話を、単にすらすら口から吐き出してるだけで、気持ちや感情が伝わってこない。
ギャグもすらすら、台本どおりに言ってるだけ。
終始、笑顔でしたが(おめでたい席でしたし)、その笑顔も固まってる。まるで音声ソフトが、文章をそのまま読み上げてるような。
もちろんベテランだって生身なので、気持ちが入らない高座もあるでしょうが、それにしても、これほどまで…。
逆に、どんなによく出来た話であっても、語る人の気が入ってない惰性だと、味けないものになるんだなーということが分かり、そこは興味深かったです。
●私も書く仕事して長いので、小手先でささっと書くこともできます。
要求された分量を期限内にそつなく書く、そういう技量は、さすがにあります。
たとえば忙しかったり、他のことで頭が一杯だったり、体調が悪かったり…でも仕事を請けてしまった、そういう時、小手先でやっちゃうかも。
下手に小手先でできてしまうがゆえに。技量があるがゆえに。
だけど「やれやれ。なんとか切り抜けたな」と安心したとしても、読む人が読めば、魂がこもってないことが分かってしまう。
たとえ、いつもはきっちりやってたとしても、手抜きの一作で評価されてしまうことも。
落とし穴だなと思いました。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
★HP・・・http://hinokida.moo.jp/
★ツイッター・・・@hinokida_m
★ブログ(過去ツイートをまとめて格納)・・・http://ameblo.jp/linestaff/entrylist.html