■市村正親さんの演技力はすごいです。
エンジニアでもテビエでも、広い舞台に一人いて、単に歌ってるだけなのに、
手の動きひとつ、息づかいひとつで、劇場の空気を支配します。
これぞスターのオーラ、でしょうね。
劇団四季『エレファントマン』、広島公演を見たことがあります。
もう30年以上も前ですが。引きこまれました。
NHK大河ドラマ『獅子の時代』ダメ弟、おっぺけぺーも。
ロボックルみたいな容貌だったという記憶(ファンの人お許しを。悪口じゃないです)。
■そんなオーラ発散の市村さんですが、一度だけ「食われた」のを見たことがあります。
相手は『スイニートッド』の大竹しのぶさん!
さすがの市村さんも、ぶが悪かった。
常に私の視線は、大竹しのぶに引き寄せられてた。
大竹しのぶは発散ではなく、吸い寄せるタイプ。重力が半端じゃない。
私は昔むかし、野村芳太郎という映画監督のもとで、映画の勉強をさせていただいてました。
その時、大竹しのぶさんとも仕事したことがあります。
大竹さんは、その何年か前に、野村監督の『事件』という大傑作映画で、高い評価を受けた女優さん。野村組の常連でした。
その時、松竹の撮影所のスタッフさんからよく聞いた話が、「大竹しのぶは、相手を食っちゃう」。
ほんものの天才女優です。ものすごい集中力で、NG無しという伝説もあります。
だけど、あまりにも凄まじすぎて、共演俳優は巻きこまれ、自分のペースを崩してボロボロになっちゃう。
協調型ではないんですね。
これも野村組常連だった岩下志麻さんは逆だったそうです(伝聞)。
ご自分が主役なので、もちろん映画全体では柱になるけど、引くところは引く。
「この場面は、**さんの見せ場だな」という時は、ご自分は下がって、その人に花を持たせる。
市村正親さんは、(仕事はご一緒したことないけど)おそらく、この協調型。
他共演者を活かし、全体も活かし、ご自分もはえる。
そして、客席の空気も読みとってる。
それでいてオーラがあるんだから、まさにスター。
■そんな市村正親さんと大竹しのぶさんが、ガチ対決した『スイニートッド』。
おお、まさに、今話題の「ほこたて」ではありませんか!
その勝敗はいかに!?・・・って、さっき言っちゃいましたか。