実家の片付けをしていて、親世代(老年期)の「物との向き合いかた」に触れる機会がありました。


①自分たちの物だけではなく、子供たちの物にも囲まれている

両親は2人で暮らしていますが、家の中の荷物は2人の物だけではなく、私たち子供の物もあり…
家族構成は変わっているが沢山の物に囲まれている…という事に、あらためて気づかされました。

これは、ある程度子供たちそれぞれの元へ移動する、あるいは処分する必要性を感じました。

と同時に、母が自分の子供たちの物を手元に置いておきたい気持ちもある事を感じました。
一緒に片付けていた際、袋の中から姉と私の子供の頃の絵や習字・成績表などが出てきた時のこと…
母が「今すぐ捨てなくてもいいよ、置いておいたら?」と言ったのです。
私は自分の物を見て、当時の出来事や感情を思い出し懐かしさを感じましたが、一方で母も、その当時を一緒に思い出しているのだなと…
きっと母も、その当時の懐かしさ愛おしさを感じられる物たちを捨てたくないと思ったのでしょう。

物の中に家族の歴史や思い出があるんだなと感じた瞬間でした。


②物を大切にする精神

実家には沢山の物がありました。その沢山ある物の内容は…自分の子供たちの物、衣類、食器が大半でした。
母は特に服や服飾雑貨が好きで、昔から気に入った物を購入し、使ったら手入れなどメンテナンスもして片付けていました。
ですが、年齢を重ねていくとデザインや自分の体型に合わなくなってきた物もあり、使われずにしまわれたまま、ずっとそこに在り続けました。

処分できない、したくない理由は…高価だった・痛んでいない・ブランド品だから・持っておきたい…などです。
しかし、私と一緒に何度も片付けをして目の前にある物と向き合ううちに、「もう似合わないし着られない」「窮屈な服は着られない」「足に合わない」「これは冠婚葬祭に使う」など、「今」の自分を軸に考え、仕分けることがスムーズになっていきました。

仕分けによって、残しておく物と手放す物になるわけですが…手放す物の中には、処分ではなく、子供や孫へ受け継がれる物も沢山あり…きっと自分が大切にしてきた物や愛着を引き継げる嬉しさもあり、手放すことができたのだと思います。

物が沢山あるという事の裏には「物を大切にしてきた背景」もあるのだなと感じました。なので、物が沢山あるからすぐに処分する…のではなく、その人の物との歴史も尊重し、丁寧に向き合い、納得できる方法を一緒に考えていくのがいいのかではないか、と思います。
↑↑引き継いで我が家にやって来た靴やブーツたち✨




③安全な空間を確保する

片付けをしている中で、こんな所からこんな物が出てきた!ということが度々ありました…。

それはタンスや引き出しではなく、ダンボールや空き箱など外から中が見えない物の中からでした。
ただ保管しておくという理由でダンボールを使っているうちに、それが段々と増えて床の面積も狭くなり、窓も半分隠してしまうほどになっている部屋もありました。

中の物が見えない→出し入れしにくい→使わずにしまったままになる→どこに何があるかわからなくなる
という悪循環になり、物が増えていく原因にもなってしまいます。

そこで、片付けの際、極力ダンボールは使わない収納に変更しました。
そうすることで、物の量も減り、生活空間も広くなりました。見通しが良くなることで、無理な動線がなく、つまずくリスクも減るのではないかと考えています。このことは万が一の災害時にも大切になってくるように思います。


親と一緒に片付けをすることで、自然とお互い話しをするので、昔の話しや、親の気持ちにも触れられたように感じています。
その時間が貴重なコミュニケーションの場となっていました。
また、老年期にある親の先を見通し、元気な間に片付けを一緒にできる事は、私たち子供にとっても有意義だと考えます。