「自然落下」はナンセンス? | ゴルフ直線打法

「自然落下」はナンセンス?

まず始めに、ゴルフのスイングに自然落下などあり得ないことを確認します。そもそも、何が自然落下するのでしょうか。ダウン直前の体勢から腕とクラブが自然に落下するには、腕とグリップの力を抜いてクラブの動きに任せる必要があります。明らかにこれではボールは打てません。「言葉で動きを表現する難しさ」(08-03-29)がここにもあるのです。

政木博士の「ゴルフ300ヤード打法」では、自然落下打法とは、「ダウンスイングに入るとき、少しも力を入れずに手首も腕もやわらかくしておいて、上体のねじれを元に戻すように回せばクラブヘッドは自然的に落下することを意味している」(27頁)と書かれています。上体の捻れを元に戻すという、複雑な体の動きに引かれてヘッドが「落下」しているのです。

体の動きで腕とクラブが引き下ろされると考えると、「自然落下」にいくつかの型があることが分かります。まず、ダウンの動きの検討には開始時の条件、すなわち初期条件の明確化が必要です。バックスイングの腕の動きには、右腕を内側、左腕を外側に捻る「魔法型」と、右腕を外側、左腕を内側に捻る「反魔法型」の二種類があり、したがってダウンの初期条件も二種類になります。

更に面倒なことには、トップで絞り上げられている腕を体に繋ぐ肩の緊張を解放しないと、上体の捻れは解放できないのです。これは両手をグリップの形に握り合わせてトップに上げて見れば分かります。そこでトップから肩の緊張を緩めてみます。ところが、ここでもまた問題が生じます。

両肩を同時に緩めると、腕と体の繋がりが切れ、両腕がだらんと下がってしまいます。文字通りの自然落下で、これではクラブは振れません。そこで、まず右肩を緩めてみると、クラブが右水平の位置に来る形に腕が動きます。この時腰が左に引かれます。一方左肩を緩めると、クラブが右脇前方向に下がる形に腕が動き、左腰が後ろに引かれて踏ん張ります。

こうして見ると、体の捻れの解放ではなく、実は肩の動きでダウンが始まること、その動きの型で腕の振り下ろされ方が変わることが分かります。右肩甲骨を下に引き左肩甲骨を引き上げれば「反魔法型」、左右の肩甲骨の動きを逆にすれば「魔法型」の腕の動きが現れます。これらの肩の動きが、肩に繋がる筋群の新しい緊張を引き出し、結局体全体のダウンの動きが始まります。

これらのバックとダウンの腕の動きの組み合わせで、四種類のスイングの動きの型が可能になることが分かります。これは「スイング動作を構成要素で捉える」(08-01-14)や「足の「螺旋」と「回転」の動きの利用」(08-02-05)などでの検討結果に対応する結果です。

「魔法型」と「反魔法型」では、体の捻れの構造が異なり、当然「自然落下」の動きも異なります。しかも、スイングの実行中、体中の筋群は強力に活動し続けています。一箇所が緩めばどこかが緊張します。これがなくては立っていることもできません。このことを無視して「事前落下」の議論をしても、ナンセンス(無意味)な結果にしか到達しないでしょう。