腕を振るのは肩の回転ではない | ゴルフ直線打法

腕を振るのは肩の回転ではない

バックで腰の動きに対して肩をより大きく回転させれば、ダウンで腕が強く振れると考える人は多いと思います。有名なマクリーンのX-Factor(腰と肩の回転角度の差)は、トップでこれを測るものです。ところが、ダウンで更にこの角度を増すことの重要性が、何人かのゴルファーの計測結果に基づいて指摘されています。
(http://cgi.cnnsi.com/golfonline/instruction/science/secondprize.html)。

そこではこの動きをthe X-Factor Stretch(X-Factorの引き伸ばし)と呼んでいますが、この動きを生み出す体の動きの構造は明確にはされていません。実は、これは「核心打法」のダウンで「上体を右に回す」時の動きなのです。このことについてもう一度説明を加えてみます。

腕を振る動きには確かに肩の動きが関係します。しかしそれは肩を首の回りに回す動きではないのです。ダウンで肩を回して腕を振るには腰を回さなくてはなりません。これは実際に肩を回す実験をしてみればすぐ確認できます。この動きでは、体の動きに引かれて腕が振られるだけで、力強くクラブを振る腕の動きは現れません。

クラブを振る腕の動きを生み出すのは、上腕を回転させる肩周りの筋群の動きなのです。これは螺旋を回すようにしてワインのコルク栓を抜く時の右腕の動きを考えれば分かります。同時に、この動きに対してワインの瓶を逆回しして対抗する左腕の動きを考えれば、左腕の動きも分かります。

右上腕は内旋、左上腕は外旋で力を出すことが分かります。更に、この動きに対して踏ん張る両脚の動きが、両足の「螺旋」の動きを生むことも分かります。この両上腕の動きは、バックのスタートとから、「深いトップ」を経てダウンの振り抜きに至るまで、一貫して続きます。これでグリップが強く固められたまま、緩みのないスイングができるのです。

ダウンでこの両足の「螺旋」の動きが適切に働けば、「上体を右に回す」動きが現れます。この動きで、腕を振る最大の筋である広背筋が引き伸ばされ続け、インパクトの強力な振り抜きを実現します。ダウンのX-Factorの引き伸ばしを単にX-Factorの拡大と考えると、引き伸ばされた筋を縮める動きでインパクトの腕を振ることになります。これでは大きな力は出せません。

腕の振りの動きには、ローテーター・カフ(肩回旋筋腱板)が働きます。この肩周りの筋群がスイングで活発に働くことは、フランク・ジョーブ博士らの研究が指摘しています(「オーバーハンド型の腕の動きの実態と効用」(07-11-01))。更に肩甲帯の動きを見れば、腕の動きと肩甲骨の動きの関係も分かります(身体運動の機能解剖学 栗山節郎監修 中村千秋 土屋真希訳 医道の日本社2001年17頁)。

腕の動きの仕組みが分からないままに、漠然と「肩を回す」と言われても、動きの実態は理解できません。これに対処するには、「核心打法」のように、余計な動きを排除して望ましい腕の動きを作ってみる必要があります。曖昧な動きが含まれていると、憶測を重ねて苦労することになります。