耳も人を騙す? | ゴルフ直線打法

耳も人を騙す?

前回の「目が人を騙す」の話では、体の正面から左拳(こぶし)を右の遠くへ伸ばし、ここから左の遠くへ一気に振ると体の正面に相当する位置が左に移ることから、左右対称の教えも目の騙しではないかという疑問が浮かび上がりました。この疑問に答えるには、動きの理解の仕方について考える必要があります。

そこで今回は「耳も人を騙す」という話を取り上げて、この問題を解く鍵を提示します。「目が人を騙す」と同様、甘い話し方には騙されるわけで、この場合も自分の思い込みが生み出す誤解が関係します。この誤解の危険を避ける方法の話が今回の目的ですが、まずこの問題を身近に感じさせる経験について書きます。

ある国際研究集会で、日本人研究者の発表を聴く機会がありました。もちろん英語での話です。立て板に水を流すように流暢な発音で話し続けます。聞いていると、これに比べ自分の英語は何とみすぼらしいことかと、情けない気分になります。

ところが、隣に座っていたアメリカの友人が突然顔をのぞき込み、お前は彼の話が分かるかと聞きます。ますます情けない気持ちになりながら、分からないと答えると、彼がニヤッと笑い、俺にも分からないと言うのです。これで納得しました。この日本人の英語は日本人風、あるいは日本語風の流暢さだったのです。これは嘘のような本当の話です。

日本人が初めてアメリカに出かける時に苦労するのが発音です。中でも「思い込みの怖さ」(08-02-06)のオペラの話のように、日本語風に使われている言葉が問題になります。バニラ・アイスクリームのバニラが、殆ど通じないのです。逆に、英語の表現を輸入して日本人がゴルフの話をしても、その内容が正しく捉えられない場合もあり得るわけです。

「思い込みの怖さ」(08-02-06)に続き、何故ここでまた英語の話が出たのかと、納得できない気分の人がいるかも知れません。それ以前に、そもそも戦時中の日本に育って、戦後初めてアメリカの将校と話した時に、英語が通じたという話は本当かと疑う筈です。これは全く恩師であった英語の先生のお陰だったのです。

一般に言葉の曖昧さの困難は、言葉の指し示すものの内容を、誰にも分かるものを使って表現することで避けることができます。英語の発音を確認する場合にもこの考え方が役に立ちます。同じ考え方はゴルフの動きの確認にも適用できる筈です。

次回は、先生が英語の発音を「構造的」に教えたこと、同じ構造的な見方が「体の正面」を保つ仕組みを明瞭に捉えることなど、具体的な内容について話します。