動きを作るにはバランスを崩す | ゴルフ直線打法

動きを作るにはバランスを崩す

今回からは19番ホールということで、話が粗雑になってもお許しを願いたいと思います。まず、腰の回転です。優れたゴルファーのスイングを見ると、腰を回す動きが目に入ります。これを見る人は腰を回してクラブを振っていると考えます。こうして腰の回転がクラブを振る原動力だという迷信が生まれます。ところが、腰を回す動きは難しい問題を含んでいるのです。

じっと静かに立っているのは簡単です。ところがここから動きに入る仕組みは簡単ではありません。その証拠として、指導者の書くゴルフの本では、このために「体重移動」とか「重心移動」などという「専門用語」を使います。これらの言葉で話されると、何となく分かったような気がしますが、実は易しい話ではありません。その内容は明瞭ではないのです。

まず「重心移動」を考えてみましょう。重心とは、地球が物体を引っ張る力を一纏めにして考える時、これが作用する点を意味します。体の場合には、地球の引力が体重に比例する力でこの点を引っ張っている、と考えればよいでしょう。体の重心は腰椎の前の辺りあります。体を上下左右に移動させれば重心が動くわけで、この「重心移動」を実現するのは当然ながら体の動きです。

体重は体を引っ張る重力の大きさで、これを移動させるという「体重移動」は、地球を押して体を支える力(これまで荷重と表現したもの)の地球に対する作用の仕方の変化を意味します。重心を佐右に移動すれば、両足に掛かる力も変化します。「体重移動」が生まれるわけです。しかし、重心を安定に保っていても、肩を右に傾けたり左に傾けたりすれば、両足に掛かる力は変わります。

問題の、静かに立っている所から動きに入る動作は、体のバランスを崩す動きです。しかし崩れ過ぎたたバランスは、即座に恢復させなくてはなりません。立っていられなくなるからです。

瞬発的な力を発揮する「火事場の馬鹿力」と呼ばれる現象は、通常の動きでは考えられないバランスの崩れの中で現れるものと思われます。ここから、上手くバランスを崩すことで予期以上の力を出す可能性が見えて来ます。優れたゴルファーは、普通の人が想像しない体のバランスの崩しを利用し、大きな飛距離を確保している可能性があります。

こうなると、腰の回転の動きでクラブを振るという常識的な見方とは異なり、体のバランスを崩すことで腰の回転が生まれ、これで強力なスイングの動きが実現する、という見方が生まれます。尻を左に振って腕を左に振るのではなく、体の左への動きの限界で尻が逆に右に回り、これとバランスして腕とクラブが左に振られると見ることになります。

結局、「体重移動」や「重心移動」そのものではなく、これらを生み出す、体のバランスを崩す動きの作り方が問題なのだということになります。イメージのコペルニクス的転換です。

ゴルフの話は奥が深い、と詠嘆的になっても何の役にも立ちません。これらの問題の具体的な解決の手段は既に「核心打法」で示されているのです。足の「螺旋」と「回転」の動きがそれです。