スイングの基本構造:腕は押し体が引く | ゴルフ直線打法

スイングの基本構造:腕は押し体が引く

良いスイングの動きとは、楽な動きでパワーが発揮できるものです。これを実現するのは、腕でクラブを押しながら体の動きでこれを引く、という動作です。これが分かると動きの見方が自然になります。

ところが著名なゴルフ教師でも、右腕の押しを排除し、左腕の引きで打つ、と教える例が見られます(ジム・フリック ディック・オールトマン 普及版 アメリカ打法 金田武明訳・解説 実業之日本社 1979年)。この本では「ダウン・スウィングを、両脚、左腕、左手で引くことは、インパクトエリアでヘッドを飛球線により長く保つ助けになる」と書いています。

本人の実際の動きが良くても、この説明は危険です。クラブを握ってこの動きをすると、必ず左肘が内側に曲がります。試しに左手をグリップの形に固め、これを左に引いてみれば分かります。この体勢では、右の指先で軽く振れるだけで楽にグリップが引き上げられます。これではインパクトでヘッドの高さを保持できません。左腕を外側に回す動きが必要なのです。

意図する動きを確実に実現するには、腕を固めてこれを体(実は広背筋)で引く動きが必要なのです。腕を固めれば上腕が外側に回り、肘が伸びてグリップを押し出します。その意味では、インパクトでは腕の動きはクラブを押し、この腕を背中の広背筋で左に引いているのです。このような基本的な動きの理解がないとスイングが難しくなります。

肩と腕の「魔法の動き」では、常に両腕が固まり、グリップを押しているのです。これを実現するのが右腕を内側に回し、左腕を外側に回す、肩と腕の動きです。この時の肩の動きは肩と背骨の繋がりを固めます。こうしてグリップの動きが緩みなく背骨の動きに繋がるわけです。

このことを確認すると、スイングのイメージも変わって来ます。右腕の動きのイメージで言えば、グリップが右外側から回って上に上がり、そこから前に押し出され、インパクト圏で左に引かれます。これは腕が広背筋に引かれて現れる動きです。その限界からは更にグリップが押し出されて上がります。車のギア・チェインジのレバーを押す動きに似た形の動きになります。

この腕の動きによるダウンの動きは、見かけ上グリップを引き下ろす動きになりますが、腕はグリップを押し続けているわけです。ダウンで腕を固めて押せば、右肩が後ろに押し戻される動き、すなわち「上体を右に回す」動きが現れます。これでこの動きの違和感は消えます。

対応する左腕の動きも試してみて下さい。グリップを押し続ける体の動きが分かります。この動きを誤ると左腕が曲がります。フリックとオールトマンが注目したインパクトの左腕の動きは、グリップをしっかり押し続ける左腕の動きが確保するもので、引く動きに入ると背骨との繋がりが消えてしまうのです。ゴルフの動きを言葉で表現するのは難しい仕事です。