腕を伸ばす動きの不思議 | ゴルフ直線打法

腕を伸ばす動きの不思議

これまでに腕を伸ばして突く、「突き」の動きについて書いたことがあります(「腕を伸ばすことの意味」(07-01-29)、「腕を伸ばすことの意味:再論」(07-02-08))。これは剣道の突きの動きに関連した経験の話で、身構えることなくスパッと腕を伸ばして突く動きの重要性を示しています。銃に剣を着けて突く銃剣術でも同じような経験をしています(昔の話です)。

その内容は、胸の動きで腕を伸ばせば、これにバランスする動きが腰に現れ、腕が素早く伸びるというものです。これに対して腰で腕を押し出そうとすれば、背中が後ろに引けて腕が固まり十分に伸びません。これは体の安定を保つ仕組みの働きが生むもので、自分が意識しなくても現れる動きです。これを活用しないと、急速な動きは思うようには得られないのです。

このことはダウンの動きでも確認できます。右手を握ってグリップの形に固め、肩の高さに上げてからダウンの動きを確かめます。まず脚腰の踏ん張りでグリップを引き下ろそうとすると、小指側が右に引かれます。これはダウンの動きとは反対の方向です。左手で同じ実験をしてみると、小指側が右後ろ方向に引かれます。これもダウンの方向とは逆の腕の動きです。

これに対して、右手のグリップを下向きに振り下ろす動きを試すと、両脚が踏ん張って腰を右向きに引き止め、腕は素早く伸びて左へ引かれます。左手のグリップを右脇前に振り下ろすと、同じように脚腰が踏ん張り、腕が素早く伸びて左へ振り抜かれます。これが「魔法の動き」によるダウンスイングの急速な引き下ろしの構造です。

グリップを力一杯に振ろうとして脚腰の動きでダウンに入れば、両腕はしっかりこれに逆らって遠回しの(減速の)動きに入り、グリップをスパッと右脇前に振り下ろせば、両腕が素早く伸び急速に左へ振り抜かれる、という結果になります。この素早い振り抜きには肩と腕の「魔法の動き」が必要なことは、前回(07-09-29)に確認してあります。

実際のダウンでこの反射的な動きを活用するには、胸と腰を繋ぐ背骨の動きに腕を直結させて振る必要があります。これには「深いトップ」への動きで肩の「魔法の動き」をしっかり実行して肩甲骨を固め、その体勢のまま一気に両腕を振ります。肩が緩んで体から離れた腕を振っても、脚腰の反射的な踏ん張りは現れません。これは大切な注意点です。

腰の左への動きでダウンを振ろうというのはごく「自然」に見える考えですが、クラブを急速に振るという目的に反する動きに導く誤った先入観であったわけです。この先入観から脱却するには、清水の舞台から飛び降りるような意識の転換が必要です。肩と腕の「魔法の動き」は正しい体の動きを要求し、その結果としてこの先入観の打破が可能になったわけです。