更に背骨の動きの仕組みを考える | ゴルフ直線打法

更に背骨の動きの仕組みを考える

これまでいろいろな角度から背骨の動きを議論して来ました。そこで今回は最近の動きの感覚的な把握に関連して、背骨の動きを動きの感覚と繋げながら構造的に捉えることを試みます。

背骨(脊柱)が、数多くの脊椎の縦に繋がる重なりで出来上がっていることはよく知られています。この背骨には、腰椎で前、胸椎で後ろ、頸椎で前に膨らむ彎曲があり、これで重い荷重も安定に支えています(参考:下出真法 せぼねの不思議 講談社 1998年)。これらの下に仙骨、尾骨が続き、仙骨部分の動きが「尻の先端部」の動きとして捉えられます。

脊椎は少しずつずれて動き、背骨の彎曲部分は交互に左右に動きます。これで頭を安定に保つわけです。この脊椎がずれて動く動きが、背骨が回る感じの動きを生みますが、一本の軸のように回るわけではありません。常に受け身の動きで、肩の動きに引かれて回る動きと、腰の動きに引かれて回る動きで感覚に違いが現れると考えれば、背骨の動きが納得しやすくなります。

椅子に浅く腰掛けて、左腰を左手で押さえ、少し上体を前傾させてから、背中の中程(胸椎)を右に引くと、左手が左に引かれ、腰が左に引かれる動きが現れることがわかります。この時首は左向きに引かれます。逆にこの腰の動きを脚腰で強めると、背中の中程はますます右に引かれ、首は右向きに引かれます。これは前回に確認した、スイングの特徴的な動きです。

これで、腰椎、胸椎、頸椎の彎曲が、頭を安定に保つように交互に逆方向に動くことがわかり、胸と腰のどこから動きを作っても、同じ方向の動きを継続することができることもわかります。これだけでも面倒な話ですが、更にこれらの動きは、それぞれ左右の脚に繋がり、左右の関係は肩との繋がりにより、バック方向の動きと、ダウン方向の動きで異なることもわかります。

このような背骨の動きの複雑さに加え、背骨の動きでは体のバランスの安定保持機構が働く筈で、その動きの仕組みは外からは見えません。これらのことを考え合わせると、体の動きを最小限に止めてクラブを能率よく振るのが合理的なスイングであることがわかります。プロゴルファーの一見華麗な動きに魅せられるのは危険です。

体の動きを最小限に止めるには、脚腰の働きを主として地球方向に向けるのが有利になります。かくして「螺旋」が前面に登場します。「螺旋」の動きと対応させて背骨の動きを制御するのが、効率的なスイング実現の王道になるわけです。

この場合、地球を押す上下の方向は変わらないままに、腕の動きはバック、ダウンの引き下ろし、フォーワードへの振り抜きと切り換えることができます。これは「深いトップ」への動きが実現する肩甲骨の位置の変化と「螺旋」の動きによるもので、これでベン・ホーガンが書こうとしたダウンの動きの全貌が構造的に明らかになります。その詳細の議論は次回に回します。