「バックはゆっくり」の意味 | ゴルフ直線打法

「バックはゆっくり」の意味

古くからゴルフの世界ではゆっくりしたバックの重要性が指摘されて来ています。しかし、ゆっくりバックと言われても、これを気持ちの問題と捉えるだけでは、実際の動きをどうすればよいのかは分かりません。分かっている人だけに分かる話がゴルフには多いのです。

そこで今日は、この「ゆっくりしたバック」の本質を明らかにすることを試みます。急な動きは筋肉を固めますから、ダウンの準備動作としてのバックでは、ゆっくりした動きでダウンに必要な筋群を引き伸ばす必要がある、ということは容易に想像できます。

ゆっくりバックと言うと、力を入れない動きのように思われますが、十分な重さのあるクラブをゆっくり動かして安定なバックを実行するには、実は強力な体の動きを利用しなくてはしてならない筈です。このように考えると、バックの実行には、背骨を脚腰に繋ぐ筋群の動きを活用し、背骨の動きの感覚を捉えて実行するのが合理的であることが推測できます。

ここまで来ると、背骨の動きが作り出す両肩が上がるバックの動き、という前回の説明が説得力を持ちます。そこに書かれた背骨の動きのイメージで、両肩が引き上げられて行くような動きで深いトップまでの動きを実行してみれば、これがゆっくりしたバックになることが確認できます。クラブをひょいと引き上げるような動きとは全く違います。

これで安定な深いトップが確認できれば、そこからは前回に書いた急速なダウンに入れます。この動きは急激で、ダウンもゆっくり実行するという教えには添いません。深いトップから体で腕を振り切れば、これは当然急速な動きになります。

実は、今日はダウンの脚の動きを詳しく検討するつもりだったのですが、これは危険な課題で、いろいろ動きを細かく見ると、却って急速な動きの実態が曖昧になる危険が生まれます。それでも右脚左脚の動きの関係は気になります。これについてもこれまでいろいろな説明がありますが、まず実例を頼りに考えを纏めてみましょう。

これまでに度々登場した、アーネスト・ジョ-ンズが右下腿を失い、左脚一本での復帰最初のラウンドを前半38、疲れ切った後半45で回った話から、左脚一本でもダウンはできることが分かります。感覚的には右脚一本の場合は更にクラブが振りやすいように思えます。ということは、ダウンは右脚でも左脚でもできるということです。

こうなると、両脚の動きを区別してダウンの動きを検討する危険を避け、両者が一致してダウンの動きを実行すると考えるのがよいことになります。しかし、瞬間的な脚腰の動きの微妙さには直感的な考えを遙かに超えるものがありますから、まず深いトップにしっかり入れ、そこから一気にダウンの要領を体感的に会得することを試みるのが有利、ということになるでしょう。