腰で引くダウンは不可;尻で逆向きに引く | ゴルフ直線打法

腰で引くダウンは不可;尻で逆向きに引く

ダウンは腰の動きで始める、という教えがあります。これは極めて危険な教えです。腰の動きでダウンを始めようとすると、必ず胸が左へ回ります。試してみて下さい。腰をその場で動かそうとしても、腰を左へ引こうとしても、同じように胸が左へ向きます。ダウンを腰の動きで始める意識は、胸を左に回して腕を振る動きを引き出すのです。

胸を左に回すと、右肩が前に引き出され、左肩が後ろに引き込まれて腕が振られます。このことは、両手をグリップの形に握り合わせて、腕を軽く右に振った状態から胸を左に回してみれば確認できます。この動きでは胸より大きく肩が動くことから、腕の動きが体から切り離されて平らに回るのが分かります。結局腕だけでクラブを振る動きになるわけです。

腰を動かしてクラブを振れば、大きな力でクラブを振れると思うのが自然な考え方ですが、腕が体から切り離されてしまっては体の動きがクラブに伝わりません。結局弱いスイングの動きになるのです。ベン・ホーガンが言っているように、本能的に使いたくなる動きの反対が正しい動きに近いのです(Ben Hogan, POWER GOLF, Pocket Books, 1953)。

このことを文字通りに実行すれば、ダウンでは腰の動きを逆転することになります。しかし、直接腰を右に回したり動かしたりしてダウンを実行することは不可能です。ホーガンの指摘は正しいのですが、その根拠は明瞭ではありません。実は、体の動きには内外の二つの動きがあり、その何れに注目するかが問題なのです。

このことについては、既に「腹の動きは押し、背中の動きはは引く?」(06-12-24)で、腹と背中の意識と実際の動きとの関係について議論してあります。この場合、腹の意識が腰に、背中の意識が尻に繋がります。腹は前、背中は後ろですから、体の前後を入れ替えて考えれば、腰を右に動かす代わりに、尻を右に動かせばよいことになります。

この考え方が役に立つかどうかを確認するには、まず手の握り(グリップ)を右に振り、そこから尻の先端部を右に引く動きを作ってみます。左手で尻の先端部を押さえ、右手だけの握り(グリップ)を固めて右に引くと、尻を押さえる左手が左に引かれるのが分かります。この左手が右に引き戻されるように尻の先端部を右に引くと右腕が強く左へ引かれます。

これでスイング面を決める動きの基本的な構造が殆ど完全に決まります。実は、「魔法の動き」によるバックの切り返しから、腕の引き下ろしでダウンに入る時にも、この動きが必要なのです。したがって、ダウンを腰の動きで始める意識があると、腕の引き下ろしができなくなるのです。

一見至極自然に見える、ダウンは腰の動きで始めるという教えが、実は極めて危険なものなのです。ゴルファーは、狼に狙われる赤頭巾ちゃんのように、危険が一杯な情報の渦の中で生きているのです。