動きの文化の壁を科学で超える | ゴルフ直線打法

動きの文化の壁を科学で超える

西欧ではノコギリを押して使い、日本では引いて使うという、一見単純な思い付きが持つ深い意味に圧倒されながらこのブログを書いています。これまでゴルフについて書いて来ましたが、その内容はゴルファーには歓迎されていないという感じが強まるばかりでした。その原因が西欧と日本を隔てる動きの文化の相違にあることが明白になって来たのです。

この事を科学的に説明するのは、力を出す動きを作る時の背骨の使い方です。ノコギリを使って丸太を切る動きで具体的にその違いを明らかにしてみましょう。地面に横たわる大きな丸太を日本型の手前に引くノコギリで切る場合には、一旦腕の動きで切り込みを作り、木の抵抗が大きくなると両足の足場を固め、両脚を踏ん張って両腕を引っ張ります。この動きに応じて背骨が固まり、脚と腕の動きを繋ぐ固定軸として働きます。

これに対して、重いノコギリを押して地面の丸太を切る時には、先ず背骨で体重を腕に掛けて押し、同時にこの動きを受けて脚が踏ん張り腕を前に押します。腕や脚は背骨の動きに導かれ、目的とする強い力を発揮します。背骨が主なエンジンで、脚や腕の筋群は背骨の動きに応じて力を発揮します。

これと対比すれば、日本人風にノコギリを引く場合は、先ず脚が踏ん張って腕を引くというように、体の外側の筋群の利用が主体となり、内側の背骨はこれらの動きの心棒として働く、という違いが明らかになります。このような背骨の使い方の違いは、歩行動作の違いをも生み出します。

嘗ての名優ヘンリー・フォンダの扮する海軍士官が悠然と歩く姿は印象的でした。ゆったりとしたテンポで腕が振り出されていた記憶があります。今年のマスターズの勝者、フィル・ミケルソンのゆったりとした歩みも、ゴルファーにとっては印象的なものでしょう。この歩き方の特徴は、背骨を前に引き出す動きと共に、腕が前に振り出される動きです。腕を後ろに振って脚を引き上げ、脚を踏み下ろして腕を前に振る、ちょこまかとした歩き方とは動きの仕組みが全く異なるのです。

これまでこのブログで議論して来たスイングの動きは、すべてこの背骨の動きの積極的利用を目指すもので、肩と腕の「魔法の動き」を手懸かりに捉えたものです。最終的な飛距離と方向性の確保については、背骨を固定軸として脚と腕の動きで作り上げるスイングと、背骨を主エンジンとするスイングでは格段の相違があります。体の動きの文化(型)の壁を科学的接近で乗り越えない限り、日本のゴルファーはローカルな文化を超えられないのです。ここまで来ると、この壁を一気に乗り越えた日本人第一号、戸田藤一郎プロの偉大さが見えて来ます。