「まぁ、大丈夫でしょう」

 

 

 

けっきょく、なんともないって判断がされた。

 

 

医師二人が、腕の各部の確認をしていた。

 

時間が経っていけば痛みも和らいできた。

 

 

注射。

 

針先が、どっかの神経に触れたんだろう。

 

けど、大事はない。・・・・・一応、処方箋は出しておきますね。

 

 

・・・・何かあったらいつでも言ってください。

 

 

 

まだ、「病院ツアー」の最初だ。

 

 

このあと、いろいろ検査がある。

 

 

・・・・・そして、検査終わりに診察がある。

 

 

「何かあったら、主治医に言ってください」

 

 

 

・・・・ってことで、

 

 

「病院ツアー」に戻った。

 

 

 

「採血」の仕切り直し。

 

 

その後は、快調に進んでいった。

 

 

各検査が、

 

 

「ボク待ち」って状態で、

 

すでに、他の患者さんたちは終わっていた。

 

 

渋滞のない高速道路を走るように、

 

メッチャ快適に進んでいった。

 

 

「病院ツアー」終了。

 

 

病院で会計を済ませて外に出る。

 

未だ、ヒラヒラと雪が舞っていた。

 

空も相変わらずの真っ暗だ。

 

 

院外処方箋。

 

400mくらい先の薬局で薬を受け取る。

 

 

 

外に出れば、相変わらず大きな雪が降っていた。

 

スキー場で降ってるようなやつだ。

 

すぐに、頭に積もる・・・ってか、乗ってくる。

 

頭が濡れてくる。

 

 

 

・・・・傘は持ってきてない。

 

 

傘は持たない。

 

めんどくさい。

 

 

何かを「持つ」ってのが嫌いだ。

 

 

なるべく「手ブラ」で歩きたい。

 

 

 

大きな雪。

 

冬。

 

・・・・寒い。

 

 

っても、

 

防寒ジャンパーだ。

 

 

頭が濡れるってだけだ。

 

 

病院に戻った時には・・・・駐車場に戻るため・・・・散々に頭が濡れていた。濡れネズミだ。

 

 

 

・・・・ったくなぁ・・・・

 

今日は、

踏んだり蹴ったりって日だな・・・・・

 

 

 

・・・・けっこう、身体が冷えた。

 

 

こりゃ、

 

とりあえず、「暖かいもの」を身体に入れなきゃまずいかも・・・・

 

 

無性に「ほうじ茶」が飲みたくなっていた。

 

 

冬に、

 

あったかい「ほうじ茶」って良いもんな。

 

アツアツのやつが飲みたい。

 

 

 

病院に戻った。

 

 

この病院で入退院を繰り返している。

 

 

病棟のことなら、けっこー隅々まで知っている。

 

 

「大学病院」だ。

 

 

同じ敷地に「大学」もあって、

 

医大生たちが闊歩してたりする。

 

・・・・・で、「学食」があったり・・・・

 

「本屋」があったりもする。

 

 

これが、面白くて、

 

 

「医学の専門書」

 

 

これが、ズラぁ~~~~~と並んでいたりする。

 

 

 

「学食」は、安くて旨い・笑。

 

 

奥の方にあって、・・・・わかりづらいんだけど・・・病院だけに来てる人にはわからないと思う。

 

けど、

一般の人の利用も OK なんだった。

 

 

 

「大学病院」

 

 

当然に、

 

病棟には、

 

 

「消灯時間」があるわけで、

 

 

「門限」もある。

 

 

「門限」である「面会時間」が終わってしまえば、

 

各入り口には「ロック」がかけられる。出入りできないようになる。

 

 

出入りは、

 

「救急」入口のみで、

 

そこには、警備員が立っている。

 

 

 

・・・・が、

 

 

こそぉ~~~~~っと、出入りできる「秘密の出入り口」ってのもある・笑。

 

 

ボクは、

 

そこを使って、門限時間以降に、コンビニスイーツを買いに行ったりしていた・笑。

 

 

 

・・・・ってわけで、

 

 

「広い病院敷地内」

 

 

どこに、何があるのかを熟知していた。

 

 

 

病院を突き抜け、

 

大学キャンパスの方に進んでいく。

 

 

建物沿い。

 

雪を避けて歩く。

 

 

建物と建物の間。狭間。

 

 

ポツンと、ガラス張りでできた建物が見えてきた。

 

電話ボックスの大きいヤツのような感じ。

 

 

小さな照明がひとつ。

 

薄暗い。

 

周りは雪で真っ白だ。・・・・足跡はない。

 

ほとんど、誰も使っていない感じ。

 

 

雪降る中にポツンと存在している。・・・・なんとなく、雪国の「かまくら」を思い出す。

 

 

「喫煙ルーム」だった。

 

 

今は、時節柄「全面禁煙」となっている。

 

 

灰皿は撤去されている。・・・・それで、出入りが少ないんだろう。

 

 

しかし、

 

 

中には、自動販売機がズラ~~~~と並んでいた。

 

 

・・・・んで、

 

 

 

「安い」んだった。

 

 

 

他の自販機より、10円~20円安かった。

 

 

たぶん、学生相手の自販機。

 

何かの理由で・・・・組合とかさ、

 

そんな理由で、安く提供されているんだろうと思う。

 

 

それもあってか、

 

「量」の多い、ラージ缶とか、ペットボトルの飲料が多かった。

 

 

入院中。

 

ボクは、

もっぱら、ここでお茶だの、珈琲を買っていた。

 

 

・・・・で、

 

「ほうじ茶」もあった。

 

 

 

ガラス戸を押して、中に入ってみれば、紫煙が漂っていた。

 

先客。

吸ってた人間が、慌てたように、煙草を消した。

 

灰皿に・・・・ってか、バケツだ。

 

 

「全面禁煙」

 

 

とはいえ、

 

一部の学生とかが、ここで吸っているんだろう・・・・

 

 

そのバケツに吸い殻を落として、慌ててマスクをしている。

 

 

「人がいればマスクをする」

 

 

それが、コロナ下のルールだった。

 

 

 

・・・・・別に気にしてませんよ・・・・何も見えてませんよ・・・・

 

 

 

そんな空気を出して、自販機の前に、

 

目指す「ほうじ茶」の前に立つ。

 

 

スイカで支払う。

 

 

 

ガタン!!

 

 

 

ほうじ茶を取り出して、振り返る。

 

 

初めて、先客と顔を見合わせた。

 

 

薄暗い照明の中・・・・

 

 

 

「・・・・・あっ・・・!」

 

 

お互いの心の声が聞こえた。

 

 

マスク越し。

 

表情はわからない。

 

けど、空気が揺れた。

 

 

キリリとした眼元。

 

ボーイッシュな髪形。

 

 

「The・宝塚」

 

 

彼女がベンチに座っていた。