2022年・冬。年明け。

 

 

 

雪が降っていた。

 

 

東京も、年に2、3回は、けっこー本気で降る時がある。

 

 

運悪く、その日に当たってしまった。

 

 

今日が、

 

 

大学病院、通院の日だった。

 

 

3カ月に1度の、通院の日だ。

 

 

日にちを変更するにも、いろいろ手間がかかる。

 

 

行くしかない。

 

 

電車も不安定だった。・・・・東京の電車って、んとに、「雪」には、弱いんだよな・・・・いや、道路もだ。

 

 

積もってしまえば・・・・・

 

 

「積る」たって、

 

2cmとか、3cm

 

 

雪国の人からみれば、

 

大爆笑されるような状態で、

 

 

東京。

 

首都圏は、大パニックになる。

 

 

電車は止まる。

 

道路は大渋滞。

 

 

 

幸い、ボクのアクアは、

 

 

「スタッドレス」を履いてる。

 

 

仕事柄、

 

日本全国を走り回るからだ。

 

 

 

それで、

 

 

ちょー早めに、大学病院に向かった。

 

 

案の定で、大学病院のある都心は大渋滞だった。

 

 

それでも、

 

ちょー早めに出発したので、

 

まぁ、いつもの時間には到着した。

 

 

「コロナ渦」

 

 

大学病院も大変で・・・・ってか、

 

大学病院だから、大変ってことか。

 

 

ボクが、お世話になってる大学病院は「国立」だ。

 

 

・・・・・ってことから、

 

 

「国」の、コロナ対策、最前線って病院だった。

 

 

なので、

 

まぁ、

 

コロナ患者が多い。

 

 

救急車は、ひっきりなしに走っているし・・・・

 

あとは、タクシー・・・・自家用車でやってくる患者さんも多い。

 

 

・・・・ってことから、

 

 

病院の駐車場が、すぐ「満車」になってしまい、

 

駐車場待ちの車が列をなすって状態になっていた。

 

 

それで、

 

ボクは、

 

いつも、病院が開く1時間前から駐車場に入るようにしていた。・・・・・それでも、並んでたりするんだぜ。

 

 

・・・・無事、駐車場にアクアを停められた。

 

 

 

「・・・・今日も会えるかな・・・・?」

 

 

 

3カ月に1度の定期健診。

 

採血・・・・エコー・・・・病院ツアー・・・・

 

 

いつも、同じメンバーが「待合室」に座ってることになる。

 

 

そこに「彼女」がいた。

 

 

別に、

 

 

好きだ嫌いだ・・・・もちろん、んな、感情はない。

 

 

ただ、

 

場所が場所・・・病院なだけに、

 

 

「若い」って女の人が少なかった。

 

 

だから、気になってたってだけだ。

 

 

オジサン的目線での、

「目の保養」って意味だった。

 

 

マスク越し。

 

顔もわからない。

 

声も聞いたことはない・・・・喋るってないからな。・・・・コロナ最中、「喋る」って行為自体が悪だった。

 

 

 

「定期健診」

 

 

楽しいものじゃない。

 

さらには、「コロナ渦」

 

コロナ対策最前線の病院。

「病院に来る」ってだけで、けっこーなストレスな行動だった。気が滅入ることだった。

 

 

そんな中での、

 

唯一、

 

「ホッとする」

 

 

それが、彼女の存在だった。

 

 

スラリとしたトラディショナルなパンツルック。

 

キリリとした眼。

 

 

・・・・たぶん・・・・絶対、美人だよな。

 

そう彷彿させる「瞳」だった。

 

 

・・・なんか、

 

こう、

 

オーラってか・・・

 

 

立ち姿。

 

歩く姿がカッコよかった。・・・・「男前」って感じだった。

 

背筋が伸びてて、

 

「The・宝塚」って感じだったんだよな。

 

 

年齢は、20代後半~30代前半ってとこか。

 

 

たぶん、背はボクより高い。

 

いつも言う通りで、

 

ボクが、背が低すぎるってことなんだけどな・笑。

 

 

 

・・・・まぁ、

 

 

んとに、

 

人生は、最悪だった。

 

 

入退院。

 

 

「コロナ渦」

 

 

無職。

 

 

・・・・ひたすら借金は増えていった。

 

・・・・さらには、

 

ブログでは叩かれ続けていた・・・・

 

 

人生は、

 

んとに、嫌になっていた。

 

 

そんな中での、彼女の姿は、

 

 

「街のホッとステーション」だったわけだ。

 

 

立ち姿が美しかった。

 

歩く姿がカッコよかった。

 

 

 

時間がきて、病棟に向かう。

 

 

窓の外。

 

ヒラヒラとした雪が降ってる・・・・こりゃ、本気で「積る」って雪だ。

 

 

 

・・・・・これだと、

 

今日は、「1日仕事」になっちゃうな・・・・

 

 

 

まる1日、病院で潰れちゃうな・・・そう思った。

 

 

 

・・・・まぁ、

 

 

どうせ「コロナ渦」

 

 

「自宅待機」

 

 

「引きこもり」

 

 

そんな毎日だ。

 

仕事があるわけじゃない。

 

1日かかろうが、別にいいんだけどね・・・・

 

 

ただ、「雪」が心配だなぁ・・・・

 

 

 

一応、天気予報では、

 

午後から止んで、回復に向かう・・・・

 

 

しかし、

 

とても、そんな風に思えない。

 

 

・・・・まぁ、

 

 

「雪」ってのは、気まぐれだ。

 

 

思わぬ時に、吹雪・・・・大雪ってな状況になる時がある。

 

 

しょせん、人間、自然には勝てない。

 

 

・・・・むっかし・・・・

 

「町中」で、遭難しそうになったことがあるからな・笑。

 

 

大阪育ち。

 

 

雪なんか知らない。

 

 

・・・・・で、

 

中学生。

 

田舎に「夜逃げ」となった。・・・・見ず知らずの雪国へ。

 

 

そこで、

 

危うく「遭難」って事態になったことがある。

 

 

 

あんときは、怖かったよなぁ・・・

 

 

「雪の怖さ」ってのを、マジマジと思い知らされた。

 

 

「山の中」じゃないんだよ。

 

「町の中」での出来事だった。

 

 

・・・・そっかぁ・・・

 

 

こうやって、

 

人間は、遭難して死んでいくんだ・・・・

 

 

中学生のボクは、

 

前後、上下、全ての視界を奪われた吹雪の中、自然の猛威に晒された。

 

 

 

病棟についてみれば、

 

患者は、

 

いつも以上に、少なかった。

 

 

「コロナ渦」

 

 

ただでさえ患者が激減しているところに、・・・・一般患者はって意味よ。

 

今日の「大雪」

 

さらに減ったってことだろう。

 

 

 

やっぱり、

 

 

患者さんは、お年寄りが多い・・・・あるいは、身体が不自由な方とか・・・

 

 

要は、

 

 

「交通弱者」って人が多いわけで、

 

 

今日の通院を見合わせたって人が多いんだろう。

 

 

こっから、今日一日の「病院ツアー」が始まる。

 

まずは、

 

 

「採血」からだった。

 

 

混んではないとはいえ、番号札は40番とかだ。

 

 

 

採血のカウンターがずらり・・・・・30口くらい並んでるのか、

 

だから、まぁ、すぐに順番はやってくる。

 

 

カウンターの向こうには、看護師さんたちが並んでいる。

 

 

銀行の呼び出し窓口みたいに、

 

モニター画面。アナウンスで呼び出される。

 

かんっぜんな「流れ作業」の態だ。

 

 

 

「採血」

 

 

今の採血って、んとに、そんなに痛くないんだよな。

 

 

むっかし、

 

高校生の頃、

 

 

「献血」をしたり、

 

 

あるいは、

 

治療で、採血されたときは、

 

 

 

「針刺します!」

 

 

 

そんな

覚悟がいるくらいの痛さだったと思うんだけど、

 

 

今は、

 

針が、メチャメチャ細いんで、

 

全く、ストレスなく刺さってくる。

 

 

 

んとに、

 

 

「チクっ・・・」

 

 

ってくらいで終わる。

 

 

「蚊が刺しました???」

 

 

ってくらいで終わってしまう。

 

 

カウンターの向こうでは、看護師さんがテキパキと採血を終わらせている。

 

 

 

じゅうぶんな「オジサン」から見れば、

 

「女の子」

 

ってな、若い看護師さんが多い。

 

 

・・・・たまーに、「男の子」もいるよな。

 

 

男性の「看護師」さんにもお目にかかるようになった。

 

 

・・・・・で、

 

最近になって目につくようになったのが、

 

 

「オバサマ」看護師さんたちが目につくようになった。

 

 

オバサマというからには、ボクよりも年上って意味だけど・・・・

 

 

数は少ないんだけど、

 

急に増えてるような感じがしていた。

 

 

 

「コロナ渦」

 

 

医療はひっ迫している。

 

 

・・・・おそらく、

 

 

「現役復帰」組の方々なんじゃないかと思っていた。

 

 

前に看護師さんをやっていて、

 

結婚して退職された方とか、

 

そんな方々なんじゃないかと思っていた。

 

 

子育てもひと段落したし・・・・

 

 

 

さかんに、

 

 

「エッセンシャルワーカー」の不足とかって騒がれていた。

 

 

・・・・まぁ、

 

 

それだけじゃない。

 

 

日本は、慢性的な「人手不足」に入っている。・・・・人口自体が減っているわけだから、しぜん「労働人口」が減っているわけだ。

 

 

昨今では、

 

 

「教師」ってのも、人手不足らしく、

 

 

授業が成り立たないってなことがあるらしい。

 

 

それで、

 

 

教員免許のある人に、片っ端から電話して教師に採用してたりするらしい。

 

 

・・・・びっくりしたのは、

 

 

「OB・OG」の採用とか。

 

 

もう、

 

すでに、

 

「定年退職」された、先生方を、再雇用して、授業を受け持ってもらったしもするらしい。

 

 

「校長」で、定年退職して、

 

その後、

 

「いち教員」として、教団に立つ。

 

 

そんなことが、

 

今、日本の教育現場で起こっているらしい。

 

 

 

入院してた時にも、

 

 

「OG」看護師さんに当たったことがある。

 

 

・・・・どうにも、

 

ボク自身は、あまり良い印象がなかった。

 

 

たまたま、

 

 

「個人的」な問題なんだろうけど、

 

 

どうにも・・・・

 

なんというか、

 

 

「機敏さ」みたいなものがない人が多かったような印象なんだよな。

 

 

若い、

 

現役の「看護師」

 

 

テキパキ、分刻みで動く。

 

 

そんな感じがなくてさ、

 

 

ちょっと「ボヤぁ~~~~・・・」っとしてるというか、

 

 

何かを頼んでも、

 

指示をお願いしても、

 

どこか、「抜けてる」って感じが多かった。

 

 

・・・まぁ、

 

 

何度も言うけど、

 

 

たまたま、

 

当たった、

 

 

「その人」の資質なんだろうけどね・・・

 

 

 

 

番号が呼ばれた。

 

 

カウンターに行ってみれば、

 

 

あらら、

 

「現役復帰」組の看護師さんだった・笑。

 

 

あっきらかに、ボクより、「お歳上」

 

 

・・・・で、

 

採血。

 

 

針が刺さる・・・・

 

 

・・・・・!!!

 

 

痛てぇ!!

 

 

 

よく、

 

採血、

 

針が刺された後で、

 

 

「痺れるとかはないですか・・・???」

 

 

聞かれるけど、

 

それは、こーゆーことを言うのかぁーーーーってわかった。

 

 

 

痺れてます!!!

 

 

痛ってぇぇぇーーーーーー!!!

 

 

 

オネー様看護師さん、慌てて針を抜く。

 

 

メッチャ、あたふたしてる。

 

 

 

・・・・が、痺れは収まらなかった。

 

 

あっきらかに、どっか、神経刺しちゃったんじゃないかと思う。

 

 

ジーーーン・・・・ジーーーン・・・・ジーーーン・・・・ジーーーン・・・・

 

 

腕。

 

脈が痺れていた。

 

 

んで、血が流れている。

 

 

オネーさん、パニック状態。

 

 

すぐに医師が呼ばれた。

 

 

採血カウンター脇。

 

小さなベッドのある場所に移動させられた・・・・・・・

 

 

 

駆け付けた医師が、腕を確認していく・・・・

 

もうひとり、医師が増えた。

 

 

カーテンが引かれて、

完全に隔離されたような雰囲気・・・

 

 

なんだか、慌ただしくなってきた・・・・

 

 

 

あーあぁ・・・・

 

どうやら、よけいな時間がかかりそうだぞ・・・・

 

 

こりゃ、

 

今日は、「The・宝塚」彼女の姿が見られないな・・・・

 

 

 

・・・残念・・・

 

 

腕から流れる血を見て思った。

 

 

 

・・・・しっかし・・・痛てぇぞこりゃ・・・・