入退院を繰り返した。

 

 

・・・・最後は、

 

「高度先進医療」という治療を受けて・・・・まぁ、とりあえずは、命は助かった。

 

 

そのため、

 

1か月に1度、大学病院への通院が必要だった。

 

 

 

・・・・しかし、

 

 

「コロナ渦」

 

 

通院は、3カ月に1度となった。

 

 

 

世の中は、

 

 

不要不急の外出が禁止され、

 

不要不急の通院も認められなくなっていった。

 

 

・・・・それでも、

 

ボクたちのような重症患者は、

 

 

3カ月に1度の通院が認められた・・・・それをしなければ命の危険があるからだった。

 

 

 

3カ月に1度。

 

 

大学病院への通院。

 

 

患者は、圧倒的に減っていた。

激減していた。

 

 

大学病院と言えば、

 

 

待ち時間が長く、

 

いつでも、患者がワンサといたもんだ。

 

 

 

ところが、

 

その患者の姿がめっきり減っていた。

 

 

 

病院内。

歩く人は、全てマスク姿だ。

 

 

・・・・いや、

 

日本、全てがマスク姿となっていた。

 

 

異様な風景。

 

SF映画に出てくるような異様な風景だった。

 

 

 

3カ月に1度の通院。

 

 

精密検査に周される。

 

 

採血から始まって・・・・エコー・・・・各種の検査という名の「病院ツアー」に送り出される。

 

 

 

・・・・おそらくは、

 

 

全ての患者が、3カ月に1度といったタイムスケジュールにされているんだろう。

 

 

・・・・・ということは、

 

 

3カ月に1度。

 

 

同じメンバーが、顔を合わせるという状況が生まれる。

 

なんとなくの「知った顔」という仲間ができてくる。

 

 

 

・・・・なんとなくの「会釈」が始まっていた。

 

 

 

「マスク姿」

 

 

年齢も、容姿もわからない。

 

 

ただ、3カ月に1度会う。

 

 

「闘病仲間」

 

 

そんなメンバーがいた。

 

 

 

・・・・・その中に「彼女」がいたんだ。

 

 

 

黒髪のショートカット。

 

ボーイッシュな雰囲気。

 

スポーツ選手のような、

 

背が高くて・・・女の人ではって意味だけど、

 

均整の取れた、

 

パンツルックの似合う、バネの利いたスタイルの女性だった。

 

 

キリリとした眼。

 

 

年齢はわからない。

 

・・・・もちろん、声を聞いたこともない。

 

 

エコーの待合室。

 

 

いつも、そこで、会ったんだった。

 

 

いつからか会釈・・・というか、目礼をするようになり、

 

 

今では、

 

ハッキリとした会釈を交わすようになっていた。

 

 

 

3カ月に1度会う。

 

会釈だけの関係だったんだった。

 

 

 

・・・・それが、何度か続いていた。