「親子上場」
そのために、日本全国に営業所を出す。
その資金は親会社が出す。
その時の、
まずは、
口頭で、
「これくらいかかるんじゃないか」
そう、先輩、成海、ボクで計算したのが「3億円」って金額だった。
1拠点3千万円・・・・・事務所、車両、備品、人員・・・・
で、
日本全国で、北海道から九州まで8拠点。
まぁ、1年は利益は出ない。・・・・赤字をなんとか3年で解消して、5年目でV次成長。そんな皮算用だった。
だから、
「5億円の出資ってことからスタートしよう」
そんな話だった。
で、それが反故になってしまった。
・・・・・しかし、
すでに、銀行から3億円を借りて走り出していた。
で、
「ゴメンナサイ」でもらったのが1千万円。
「裁判だ!!」
声が上がった。
確かにこちらに落ち度はある。
何より「契約」がなされていない。
口頭で、
口約束で決まっただけの話だ。
・・・・いや、
ボクから言わせれば、
「口約束」ってより、
「指示」
「業務命令」
って意味だったわけだけどね・・・
じっさい、先輩は、
建前、
形式としては、
法的には、
先輩の会社と、ウチは、全くの「別会社」ってことだ。
上下の関係はない「別会社」だ。
しかし、実質は、
上司と部下の関係だった。・・・・これまで描いてきた通りでね。
だから、
「契約」というのは、あくまで「形式」・・・・・世間に対しての「形式」って意味でしかなかった。・・・・ボクの認識はね。
それで、走り出しちゃったわけだ。
ボクにしてみりゃ、もう、上司からの指示が出ちゃってるわけだから。
しかも、
銀行から金まで借りて走り出してる。
全てが上手くいけば、
「仕事の早いデキる部下」で終わる話だ。
ところが、頓挫。
反故にされてしまった。
「裁判だ!!」
当然に声が上がった。
5億円の出資が1千万円で終わりにされた!
いくらなんでも、裁判やれば、1千万ってことはない!
・・・・まぁ、確かにそうかもしれないけどな・・・・
しかし、
裁判やって、
勝って、
例え1億円になったとして・・・・
それはいつの話だ?
2年後か?
3年後か?
それじゃあ遅い。
必要なのは「今の金」だ。
・・・・・いずれにしろ、
けっきょく、借金が返済できるほどの賠償金になるとは思えない。
・・・・・なんせ、
全ては契約前の話だ。
「法的」に考えれば、こちらの「勇み足」でしかないのは明白だ。
裁判起こして、
自分の馬鹿を晒し、
「オレだけが悪いんやねーんだ!オレも騙されたんだ!!」
言ったところで何になる。
そう思う。
さらには、
「裁判だ!!」
そう息巻いていたのは、ウチの顧問弁護士だった。
・・・・・おいおい・・・そもそも、お前のせいだろうが・・・・
ボクの中にはその思いがある。
今回の「出資」
それは上司としての業務命令。
だから、
「契約」は、世間に対しての「形式」
そう諭したはずが、
どういうわけか、
双方の弁護士が、
双方の会社の利益を主張して、
話がどっかにいってしまった。
・・・・・もう、
こいつらに関わるのが嫌だった。
ボクには、
自分の責任回避のために、
「裁判だ!!」
そう息巻いてるようにしかみえなかった。
けっきょく、
こいつら、
自分の「優秀さ」を世間に誇示したいだけの人間なんだよな・・・・・
・・・・失敗したよ。
まったく・・・・
ツマンナイ、クソ人間にひっかかっちまった・・・
弁護士。
顧問契約を破棄した。
「だったら違約金だ!」
騒いだが、
「本気で言ってんのか・・・・?」
睨みつければ、
モゴモゴ言いながら部屋を出ていった。
それっきり姿を見せなかった。
・・・・・ほらな、
自分で悪いって思ってんじゃねーか・・・・
・・・・ったく・・・・
人生は、
どこに地雷があるかわからない・・・