救急車で運ばれる。
1週間の入院。
退院した。
「親子上場」
動きが止まっていた。
そもそもは、
「親子上場」
その重要会議の日に事故にあったんだった。
・・・・もう、こんなことあるのかって感じだけど・・・・
交通事故なんて、人生で何度も起こることじゃない。
一度もあわないで人生過ごす人もいるだろう。
それが、
よりにもよって、
人生の重大局面で起こった。
「親子上場」
それから、何も進展していなかった。
・・・・まぁ、退院したばっかりだし・・・・
病み上がりだし・・・・
無為の日々を過ごしていた・・・・
ボクは、
毎晩、
夜の経済ニュースを見ながら、遅い夕食をとる。
画面で、
元CAだったニュースキャスターが喋っていた・・・・
ここのところ、世間を騒がせていた、経営不振の二部上場企業・・・・建築会社、その買収劇のニュースだった。
買収、傘下入りが表明された。
二部上場企業の社長、
買収した方の会社の役員がガッチリと握手を交わしていた。
・・・・買収したのは、先輩の会社だった。
先輩の会社は、「上場カウントダウン」に入っている。
先輩の会社は、
言ってみれば建築の、設計事務所。
コンサルタント会社になる。
自前で「施工会社」を持っていない。・・・・・その「施工部門」が、ウチであったわけだ。
それで、ウチを完全子会社にするために、出資をする、・・・つまり株を持つ・・・・「買収」するというかたちだった。
それが、
目の前で、
別の会社に対して行われていた。
「寝耳に水」
まさに、このことだった。
まったく、塵ほども想像していなかった、聞かされていなかった話だった。
ポッカァ~~~~ンと口を開けて画面を見つめていた・・・
呆然とした。
誰が見ても明らかだった。
ウチから乗り換えたってことだろう。
・・・・しかし、
ウチはすでに、日本全国に営業所の立ち上げまで行っていた。・・・・銀行から莫大な借金をして。
見事に、
二階に上げられ、
梯子を外されたって形だった。
当然に、
次の日から、
蜂の巣をつついた騒ぎになった。